見出し画像

エキストラのバイトをした時の話

(守秘義務のため、ある程度のフェイクやぼかしを入れつつ書いています。)

なんとなくの思いつきで、「アルバイト おもしろい」で検索をかけた。あまりに単純な検索キーワードからでも、しっかりばっちり私の希望に答えてくれるGoogle大先生は偉大。
「逃げる人」役のエキストラに参加できることになりました。

映画やMV、コマーシャルの撮影現場って面白そうじゃない?という完全なる野次馬根性から応募したのですが、ちゃんと日当も貰えてお得。
拘束時間が読めないのと、交通費含んで4000〜5000くらいなので、普通にアルバイトをしたほうが金銭的にはいいけど。

秋の私服数パターンを持ってきて欲しいとのことだったので、長袖の秋服に薄手のアウターをはおり、別パターンの雰囲気の違うアウターをリュックに詰めて向かいました。

駅集合、エキストラは私の他にも15人ほど。車に乗せていただき現場に移動する。
乗りこむ時に「おはようございます、よろしくおねがいしまあす」なんて、感じのいい挨拶をする方がいらしたので、私もそれに続く。撮影スタッフさんが会釈と挨拶を返してくれる。なんか自分、いま業界人っぽくない?と、挨拶ひとつでついテンションが上がってしまう単純な私。完全に浮かれている。

現場についたらまず衣装をチェック、スタッフさんが列に並んだエキストラに、「そのままでOK」「こっちの上着でいきましょう」と次々指示を出していった。
今回は幸い、そこまで現実の気候とミスマッチでない服装だったのだけど、場合によっては真夏に厚着、真冬に半袖、のような撮影もあるらしい。もし次エキストラに申し込むなら、室内撮影っぽい案件のほうがいいかもしれない。

メインの役者さんも到着し、いざ撮影、というところでまさかのトラブル発生。雷雨である。

こうなると、ひたすら待つしかない。スマホを眺めたり、役者さんの美しいお姿を眺めたりと、こちらはのんびり過ごすだけなので全く問題ないのだが、撮影スタッフはもう勘弁してくれといった様子。
別日に撮影をずらすしかないという可能性すら出てきて、スタッフさんが「この日空いてますか?」という確認をエキストラに取り始めた。

幸いしばらくして止んでくれたため、少し遅くなったけれど撮影することができた。
作品の世界観の説明を受けてから外へ出る。「あのビルら辺から、こっちに向かって怪獣が来ます」「皆さんはこのあたりを散歩していた市民です、あの役者さんの案内に従って向こうへ逃げてください」。

初めの立ち位置を決める時に、エキストラ同士を組み合わせて設定をつけていく。「ここの3人は友人」「ここの2人は夫婦で」、と撮影スタッフさんの独断と偏見で即席人間関係が生み出されていく。
私は知らないおじさんの娘になりました。この瞬間がまあまあ気まずい。はじめましてパパ。

あとは、走れと言われたら走る、「カット!」が聞こえたら初期位置に戻る、を繰り返すだけ。
「うわあああああ!」「にげろぉ!」と熱演する男性もいれば、「えっ、えっうそっ」と不安げに走る女性も、ただただ前を見て走る人も、とお芝居の仕方もまちまち。私は一度だけ振り返ってひとこと呟いてまた走る、のパターンを繰り返すことにしました。パパ(初対面)は私を気にかけながら守るように走ってくれました。
そのままカメラから映らないところまで走ったら、皆がすんっと何も無かったような顔で立ち止まり、また初めの場所に歩いて戻り、また大慌てで逃げる。ものすごくシュールな光景。

初期位置を変えたり皆の走る速さを変えたりしつつ何パターンもとったところで、エキストラの必要な撮影は終わり、また駅まで送ってもらい解散になりました。

以下、エキストラバイトで得た知見!
・拘束時間が読めない、なんなら天候によっては撮影できないことすらある
・油断してると思ったより大きく映ってたりする
・逆に立ち位置によっては全く映らないことも
・役者さんと話せるなんてことは全くないけど、思ったより近くで見れた
・エキストラ同士で即席カップルや親子になる瞬間が一番おもしろいかも。人によっては結構しゃべってくれる
・芝居が全くできなくても全然気にしなくていい
・現場によってはエキストラに高圧的な嫌なやつもいるらしい

楽しかった!

この記事が参加している募集

やってみた

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?