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10分間で、あれれ。

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10分くらいで書き上げるコラム。みかげ雑感。
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#小説

煙草を吸う女は嫌いなんだよな

煙草を吸う女は嫌いなんだよな

こんな日々が続けばいい。

だれかと何かでつながって

あったかい気持ちで居られたら、わたしはそれでいい。

世はまだ、結婚をするかしないか だなんて討論を繰り返す。

どちらかというと、結婚願望はあるのかもしれない。

それは養われるから安定する、とでも?愛される安堵感?

「女の子は仕事の将来とか気にしなくていいだろ、どうせ家庭に入るんだから」なんていう、おじさまたちに対して
ショートヘアがよ

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いーよ、の魔法

いーよ、の魔法

だれかの”すべて”を許すのは、難しい。
存在を認める、それはできる。
でも、受け入れるのは難しいと常々思う。
それは、性格だったり特性であったり。

なんでも、「いいよ」「いいですよ」って受け入れてしまう人はすごい。
前に会社で、わたしのやりたいことを全面的に肯定してくれる上司が居た。

”わたしはここにいていい”っていう自己肯定感が持てる場所はとても居心地がよくて。

わたしも誰かの拠りどころ、

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また明日ってさようならしよう

また明日ってさようならしよう

「また明日」って、さようならできる日常が愛おしかった。
次の日にまた会えるって、素晴らしいことだ。

もうそんな日々からは卒業してしまったから、「また明日」といえば「明日も早番だなあ」とバイトのシフトを思い返すくらいだ。
おとなになるって、なんだか複雑だと思う。

缶チューハイのプルタブを開ける。ぷすーーーっと炭酸の音がする。
成人するまで気が付かなかったこと、3%で酔ってしまう人間だったなんて思

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よみもの「鍋底の焦げでも食ってろ」

よみもの「鍋底の焦げでも食ってろ」

喫煙所。隣は非喫煙者の女友達。
吸わないのになんでここにいんの。外で待ってればいいのに。

彼女は突然、軽く音を立てて息を吸って、なにか深刻そうな顔して
「さいきん、貧血がひどい」と、ゾンビみたいな顔して嘆いた。
うん、おまえ明らかに貧血って顔してるよ。

「なんで?夜ふかしでもしてんの?」
「いや、わかんないけど」

心底どうでもいいような気もしているけど
なんだか放っておけない彼女に
「明日さ

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尖った芯

尖った芯

先がつん、と尖っていた鉛筆の芯は、絵を描くごとにどんどん丸くなっていく。カッターナイフでまた削り、尖らせて、また描き始める。
しばらく描いていれば、また丸くなる。さあまた鉛筆を削らねば。と、その繰り返しで白紙を埋めていく。すこし余白を持たせると雰囲気が出る。
歌を作るのもたぶんそれと同じようなことだと思った。

わたしは「幸せは途切れていく」と、「ゆうやみ」という歌の歌詞に書いた。
その曲はまだ製

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ブラックコーヒー

ブラックコーヒー

喫茶店、奥の席。ついてすぐに注文。

アイス…えっと、ブラックでお願いします。

すっきりと、苦い。少しだけ酸味があって、そして奥が深い味。
この琥珀色の飲みものはいつも、アイスの無糖と決めている。
と、彼は言う。

「苦いな」
「なら飲まなきゃいいじゃん」

「いや、いいんだ」

「じゃあ文句言わないでよ」

「文句じゃねえよ」

わたしのは、お砂糖たっぷりで、ミルクもたっぷりだ。

この男のい

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ワインレッドの艶、指先に。

あの娘の爪はいつも派手。
ネイルアート、とかナントカ。あぁいうのしてる子は大人に見える。
わたしもああやって、爪に色を乗せれば大人になるのかなぁ。なんて考えて、コンビニで血豆みたいな色?多分ワインレッドというもののネイルを買った。
コンビニ袋をガサガサ言わせながら帰宅する。
心はなんだかほくほくしている。

愛するって決めたなら

愛するって決めたなら

(創作散文)

息を吸うだけで
息を吐くだけで
とても胸が苦しくなった。
なんだか、生きていてはいけない気がしてしまうのだ。
行き場のない思いは、例えば手首を切るだとかそういう、自傷行為で昇華しようとした。
でも、自分を傷つければ傷つけるほど、からだに傷が増える度に、嫌悪感や罪悪感。良くない気持ちでもう死にそうだった。

「ばか」
「そうだね、」
「死ぬつもりかよ」
「死なない、と思う。死ねないよ

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