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異国の地で”同じ”を見つけること

あなたは、日本を離れてどこか遠い国に行ったとき、
「変わらないなぁ」と感じるものは何ですか?

私のはじめての「変わらないもの」は、イギリスで見つけた。
高校2年生の夏、研修旅行という名目の卒業旅行で訪れたイギリスは、3週間のホームステイだった。
それが私の海外デビュー。

日本から10時間以上のロングフライトを経て、
ロンドンのヒースロー空港に到着。
飛行機から出た瞬間に、押し寄せてきた華やかな匂いと、聞きなれない言語の嵐。
そして、ゴミ箱からトイレ、自動販売機と、目に映るものすべてが「異国」だった。

ホームステイ先は、イギリス南部の海辺の都市ブライトン近くの、ルイスという小さな田舎町。
石畳の道しかなくて、建物は映画の世界のようにレトロで、ゆったりとした空気感のその町に踏み入れた時、
「あぁ。本当に遠いところまで来てしまった。。英語もまともに話せないのに、私はここでやっていけるのだろうか。」
と心底不安に思った。

今でこそ、海外が大好きな私だが、
当時は海外にそんなに興味もなく、「みんな行かなければならないから。決まっているから。」
というレールの上を歩かせてもらっての渡英。
またWi-Fiも普及しておらず、家族とは手紙でのやり取りしかできなかった。

そんな中、素敵な温かいホームステイファミリーに恵まれて、
身振り手振りと、カタコトの英語でなんとか町の生活に慣れてきた、1週間後のこと。

その日は同じクラスの友人ファミリーが、外泊で
私のホームステイ先にその友人が1泊することになった。
普段は夜外出禁止なのだけれど、(治安はとっても良い町なのに)
「お友達迎えに行ってあげてー!」と許可をもらい
日が落ちた町をとぼとぼ歩いた。

待ち合わせ場所に早めに到着してしまい、手持ち無沙汰な私。
何の気なしに空を見上げてみる。
するとそこには、
綺麗な満月が顔を出していた。
「えっっ。日本と同じ光景やん…!同じ月やん!!」

目に映るもの、体験することが、すべて今までの日常と違う、孤独な日々の中、
「生まれてからずっと見てきたお月様」を感じた瞬間、
とんでもない安心感に包まれた。

それはもう、かなりの衝撃で、
トトロで言う、めいちゃんの「夢じゃなかったーー!」状態。
「あぁ。。私は現実を生きていて、ここは異国だけど、同じ地球なんだ。」
そう感じさせてくれたお月様に、感謝でいっぱいになった。

感傷的になる暇もなく、その後友人がすぐに到着。
何気ない会話をしてベッドに入った。

でもそれ以来、
「どんな異国でも、同じ空でつながっている」
という気持ちが常に心の底にあり、
苦しかったり、悲しい経験がきても、それを乗り越えられるようになった。

「どの国に行っても空はおなじ」だなんて、
当たり前すぎる概念だけど、
これは私のはじめての海外での、初々しくて忘れられない記憶。

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