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Vo.1「ビーズおばちゃんとの出会い」

前回は私が運営するSoluna Beadsのコンセプトについてシェアしましたが、
今回は、「ビーズとの出会い」について。
”微笑みの国、タイ”を体感したお話です。

私が愛してやまないビーズと出会ったのは20歳の夏。

夢だった、世界一周バックパッカーの旅に出て2カ月、ミャンマー行のビザを取るため、タイの首都バンコクに滞在中だった。
バンコクでは、有名なカオサンロードというエリアがある。
別名は「バックパッカーの聖地」
安宿や飲み屋、屋台がひしめき合っており、当時3度目のタイ訪問であったが懲りずにこの地区に滞在していた。
カオサンロードが盛り上がるのは、日が暮れる頃から。
友人とプラプラと屋台を冷やかしながら歩いていると、1件、屋根もなくただ机に布をかけただけの店舗を見つけた。
その布の上には、ピアスやブレスレット、キーホルダーなど、色とりどりのビーズで作られた商品がたくさん並んでいた。
そのカラフルさと、美しさに一瞬で心を奪われた。
それは初めての、トキメキで時間が止まった体験だった。
いくつか気に入ったものがあり、すぐに購入したかったけれど、節約バックパッカーの身なので、初回はグッと我慢。

その後すぐにミャンマーのビザが手に入り、ミャンマーを10日間ほど旅をした。その道中、ふとした瞬間に思い浮かぶのが、バンコクの屋台で目にしたあのビーズたちだった。
「やっぱり買えばよかった。。」
そんな少しの後悔もあったが、ミャンマーの後、次はインドのビザ取得で再びバンコクに戻る予定だったので、
「次バンコクに戻ってまだあったら、絶対買う!
てか、自分で作れたら最高なんやけどな~」
とビーズに思いを馳せていた。

そして待ちに待ったバンコク再訪。
初夜に前回と同じ場所へ行くと、やはり同じビーズの屋台が出ていた。
今回は迷わず欲しい商品を手に取り、お会計。
その時に勢いで屋台のおばちゃんに言ってみた。
「私はあなたのビーズアクセサリーにとても感銘を受けています。
もし、可能だったら、お店の手伝いをするので、作り方を教えてもらえませんか?」
おばちゃんは少し驚いたような表情を見せた後、笑顔で、
「いいわよ!毎日19時~0時頃までお店を出しているから、そのころになったらおいで。」
と応えてくれたのだ!

インド行きまでのバンコク滞在は7日間。
「その間に、なにががなんでも習得するぞ!」と意気込む私は、
夜な夜な飲み歩く友達たちと別行動し、ビーズおばちゃんのもとに通った。
おばちゃんは、拙い英語の私よりも、さらに英語が話せなかった。
(もちろん、商品の値段など、商売に必要な最低限の英語は話せていた。)
なので私も無理に英語で話さず、日本語とタイ語で会話した。
あとは見よう見まねだ。
そして、「店の手伝いもする!」と言っていたのに、手伝わせてくれなかった。(笑)
「自分の作品作っていたらいいよ!」と。

2,3日経つと周りの屋台の人たちとも顔見知りになって
閉店後にジュースをくれたり、おばちゃんと私の間に入って通訳をしてくれたり、楽しい時間を過ごした。

そんなこんなで、四苦八苦しながらはじめて作った作品はブレスレット。
「おばちゃん!できたわ!これ商品に並べていい?」
「お!できたの?やるじゃない。これはあなたのはじめての作品だから,自分で使いなさい。商品はたくさんあるからいいのよ。」
「えええ!もらっていいの?おばちゃんありがとう!(実は、自分用に欲しかったのも見透かされていた笑) 」

そして日を重ねるごとに、
「このビーズ作りを旅中も続けたい!」
そんな思いで溢れていった。
そこでまたおばちゃんに相談。
「おばちゃん。私も教えてもらったビーズ作り続けていきたんやけど、材料買えるとこ教えてくれへん?」
「いいわよ。ここらへんだと○○スーパーの2階で買えるかな。ちょっと待って。」
そこで何やら紙を取り出し、タイ語でメモを書くおばちゃん。
「はい。これ店員さんに見せれば必要な道具は揃えてくれるわ。
そんなに値段も高くないからあなたにも買える範囲よ。」
「ありがとう!!!!明日買いにいくね!!」

おばちゃんのお陰で、迷うことなく、無事ビーズセットを購入し、
ついに迎えたバンコク最終日。
実は、おばちゃんに内緒で、コツコツとブレスレットのプレゼントを作っていた私。
いつもと変わらない営業終わりだけど、今日は最後のお別れ。
「おばちゃん、一週間、身元もわからないバックパッカーに、親身に教えてくれて本当にありがとう!!
出会えてよかったし、このご恩は一生忘れないよ。
これ、一生懸命作ったブレスレット。良かったら貰って。」
「こちらこそ、楽しい時間を過ごせたよ。
コップンカー(ありがとう)。私からのブレスレットも貰って。
これはタイカラーで作ったものよ。
タイでの思い出忘れないようにいつも付けていてね(笑)」

なんと私用にタイの国旗カラー(赤、白、青)で作ったブレスレットをプレゼントしてくれたのだ。


おばちゃんはいつも、私の一歩上をいって、愛をもって接してくれたけれど、
思うように言語が通じなくて、おばちゃんの家族のことや仕事のこと、考えていることなどは詳しく知れなかった。
でも、片言の英語とタイ語でも、そこには通じ合えるものがあったし、
私の「ビーズが好き!」という気持ちを汲み取ってくれた。

出会ってすぐにさようならの日々を繰り返すことに、少し疲れていた私だったけれど、
おばちゃんと過ごした7日間は、やさしさとトキメキに包まれていて、
さようならでも、またすぐに会えるような、そんな感覚だった。

おばちゃん、今でもよく思い出すよーーー。元気にしてますか?


次回は、私がはじめてビーズ作品を販売したお話です。

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