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ボイリング・ポイント/沸騰

ボイリング・ポイントという、一味変わった映画を観た。原題は「Boiling Point」訳すと沸点になる。怒りの沸点とか日本語でも言うが、まさにその意味。

これは、レストランの繁忙期を支える様々な人々が、今にもキレそうになりながら奮闘する様子を描き出しているイギリス映画。

この映画が面白いのは、ワンカットという手法をとることでまるでその場にお邪魔してるような雰囲気を味わえることだ。
このボイリング・ポイントの尺は90分程だが、その間ずっと撮影器具を使用し続け、そして俳優もずっと演技に集中しているなんてすごいと思う。

私自身、料理するのが好きなのでオーストラリアで料理の専門学校に通った経験がある。そこにはカフェレストランが併設されていて、お客さんの為にも作っていた。ホスピタリティの学科もありホテルや数々のレストランにインターンを派遣し就職させてる学校だったから本格的接客もしていた。
まあ長くなっちゃうのでここには書かないが、私自身ここで大変なトラブルに会い辞めたし、その学校自身も結局いろんな問題が起こりマスコミで取り上げられ潰れてしまった。

だから、この映像がどれだけリアルか理解できてそうなんだよね。裏側は戦場なんだよねと妙に納得してしまった 笑。
鑑賞後に調べてみたら、監督自身がシェフの経験があるなんて話も出てきてなるほどと思った。

私は、レストランの裏側を知ってからメニューもより一層注意深く選ぶようになったし、あまりに早く料理が出されると色々といらん事を考えるようになってしまった。
“それなりに手がかかるものは、じっくりと時間をかけていいよ。待ってるから”みたいな気持ちにも変わっているし、あまりにスムーズだと不安になる時もある。

このドキュメンタリー風の映像を観ると、そんな事を理解できるのではないだろうか。

どんな風に、社会がまわっているのかの縮図をレストランから垣間見る事ができるとも言える。

シェフやレストランで働こうとする人は、移民も多い。だから、文化もごちゃごちゃで英語能力やアクセントもバラバラ。それでもチームでコミュニケーションを取らなければいけない。
そんな様子も上手に描写されていて感心した。

英語習得中の人も耳のトレーニングになるし、コミュニケーションってなんだろうとかその本質を見直すのに良い映画と思った。
実際、英語はいろんな国の人が話してるから決して教科書みたいに聞き取りやすいものばかりではない。それでもみんなツールとして利用しているんだから…

学校で実際のレストランオープン初日の厨房のドキュメンタリーを見せてもらった事がある。
まさに怒りの沸点(boiling point)に到達しそうになる瞬間が各人に訪れる。感情が時としてぶつかり合うので、怒号や汚い言葉が飛び交っていた。喧嘩や怒鳴り合いもだ…。しかしそれでもチームを機能させなくちゃいけない。

お客さまをしっかりともてなし、満足させたい。その共通の目標のもと真面目で真剣であればあるほど感情がぶつかり合ってしまう。

もう納得しかなかった。

英語圏にいくと、感情を隠さない人が多い。だから時として汚めの言葉が飛び交う環境もある。又は、そうしないと多文化の環境では理解されない場合も多いから敢えてその言葉遣いを選ぶ人も多い。
そんな言葉の使い方を知っておくことには生き抜く上で非常に意味があるので、そんな面でも厨房の裏側のドキュメンタリーやこのボイリング・ポイントは英語習得途中の人にも大変良いと思う。

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