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#016自閉症児の習い事③ピアノ発表会編

ピアノ発表会のメリットは?

メリット①

野球やサッカーって、
レギュラーになれなきゃ
試合に出れないけど。

ピアノの場合は、
習い始めでもベテランでも
その時の自分に合ったレベルの曲で
発表会に参加することが出来ます。

生徒のその時点でのレベルに合った、聴き映えのする曲を先生が何曲か選曲して下さいます。

基本的にピアノは毎日の練習は欠かせなく、地道な努力が必要とされますが。

・発表会に向けて練習のモチベーションをあげる

・一年ごとに成長を感じることが出来る機会がある

自己肯定感にも繋がるし、
これは知的障害のあるKには
とてもいい機会でした。

ひたすた淡々と続ける、という凡人には極めて苦痛だと思えるような行為が。自閉症の特性がプラスに生かされた、ピアノとのいい出会いとなりました。

ピアノ発表会(8歳)

小3の4月からピアノを
習い始めて約半年。

なんと、初めての発表会は
スムーズに出来ました。

わけもわからずステージにあがってなんかよくわからないけど演奏した、という感じでした。

300人ほど収容の小さめのホール

客はほとんどが発表者の家族や友人のみ

アットホームな発表会です。

弾いた曲は

・ひげじいさん
・きらきらぼし

まだ、顔がぷくぷくしていて
あどけない表情のK
やりきった感を感じます(^^)


ピアノ発表会(9歳)

小学校4年生になったK

特別支援学校から

特別支援学級へ転校したこの頃。

この頃の変化としては、

小1から使用していた
イヤーマフを急に
使用しなくなりました

イヤーマフの締め付け感が
イヤだったのか?

それか、10歳くらいで
三半規管の機能が成熟してくる
という話を療育の時の先生から
聞いたことがありました。

音の受け入れに変化を感じたこの頃。

昨年しっかり発表できたのに。
発表会の会場に着くと…

ひどく泣き出しました。

昨年は発表できたのに
なんで今年はダメなんだろう?

トイレにこもって泣き続けるK

「ピアノ弾かない?」

と聞くと、

「弾かない!」

かたくなです。

「カーテン閉めたら弾ける?」

と聞くと

「カーテン閉めたら弾ける。」

と急に泣きやみました。

カーテンって…
緞帳のことだよね?

それを先生に伝え、
裏方の技術スタッフの方と相談し、
緞帳を下げていただけました。

すねの高さまで緞帳を
降ろしていただいたので、
靴しか見えません。

それでも安心したのか
ピアノの前に座り、
発表曲を演奏することができました。

なんとか無事にピアノ発表会は終了。

しかし昨年は発表できたのに、
なぜ今年はあんなに
泣いていやがったのか?
落差の理由がわかりませんでした。

誰でもステージに上がるのは
緊張すると思います。

ライトアップされた空間で、
たくさんの人がこっちを
見ているという緊張感が
耐えられなかったのかな?

昨年のそれを、
思い出したのか?

言葉を発しないK
いつまでも謎は謎のままです。

発表会の写真は残ってないので、当時のレッスン風景



ピアノ発表会(10歳)


小5で10歳になったK
この頃は荒れていました。

行方不明になって全国手配になり
夜中の12時半にパトカーに
乗せられて帰宅した事件

あったのもこのころ。

ピアノ発表会の会場に着きました。

衣装に着替えネクタイを締めると、
Kはまた泣き始めました。

昨年と違い、ワンワン鳴くのではなく
ただぽろぽろと涙を流しました

「発表会でピアノ弾くのイヤ?」

と聞くと、

「イヤ」

と答えました。

この辛そうな様子を見る限り、
発表会の参加は難しいと判断。
今回は不参加となりました。

じゃあ、発表会では
ピアノ弾きません」

と、伝えると。

「弾かなくてもいい。」

と分かった時点で、
ほっとした表情になりました。

本人なりにものすごく
プレッシャーだったようです。

意思表示のできない K に
それを無理強いすることは、
ある意味虐待かもしれない。

1年間頑張ってきた成果を発表できないのは、保護者としては残念ではありますが、本人の笑顔を見たらこれで良かったのだと思いました。

ピアノ発表会(11歳)

6年生になったK

中学校進学に向けて、
教育委員会と相談したり。
いろいろ見学し始めたこの頃。

発表会は…
まさかの展開となります。

Kの大好きなくまのプーさん。


Kのアイロンビーズ作品を持つプーさん


「くまのプーさん 」を先生と連弾することになりました。

昨年の失敗を教訓に。

少しでもプレッシャーを
減らそうと思い、 まず、
衣装に着替えることは諦めました。

一応、衣装は持ってきたけど
衣装に着替えることは本人が
嫌がったので諦めました。

舞台袖で。

不安そうに相棒の
プーさんを抱きしめるK

一緒に舞台袖で
私も付き添います。

自分の出番がやってきました。

ステージに上がろうとしません。

今年もダメかな…

そう思いました。

その時。

「プーさん弾く?」

と聞くと、表情が変わり

「プーさん弾く!」

と、言ってステージに上がりました。

え?大丈夫なんだ?

と、思いましたが…
その理由が後にわかります。


舞台袖からはKの背中と
ピアノの先生の背中しか
見えません。

Kのピアノを弾いている姿を見たい!

舞台袖から通路を通り、客席へ走る。

こういう会場って、
廊下とか妙に長い。

気持ちばかりがあせる。

基本的に演奏中の
入退場は出来ないけど、

事情を察してくれた
スタッフのおかげでギリ
客席へ入ることが出来た。

着席してステージを見ると。

Kはピアノを弾いて…
いませんでした。


なんとプーさんに〇〇させました。


「プーさん弾く?」

「Kがプーさんの曲を弾く」
という意味で聞いたのですが、

本人は「プーさんが弾く」
と捉えたようでした。

プーさん弾く?
→ プーさん弾く
→ プーさん弾く

毎週、プーさんの曲の
練習をレッスンで
頑張ってきたのだから。

「プーさんを弾く」

という意味に決まってるじゃん…(母、心の声)

いえ。

バリバリの自閉症児のKに、どっちにとってもいいような、あいまいな聞き方をしてしまった私のミスでした。結果、功を奏したので、オッケーですが。


なんともファンタジックなことが起こります。

しかし…

プーさんの手が鍵盤より大きくて、プーさんはかなり弾きづらそうでした

しかも、本人はいたって真剣。

必死にプーさんの手を動かし、
「winnie the pooh」
に弾いているので。

めっちゃシュールすぎて。
笑いをこらえるのに必死でした。

本人は必死です。



それと同時にドキドキでした。


一年間の努力の成果を
発表する神聖な場で。

プーさんのぬいぐるみに
ピアノを弾かせるとは…

いくらなんでも
「ふざけてる!」
思われないかな?

と、不安がよぎりました。

なんとか無事に(?)
ピアノの発表ができて。
満足そうな表情で
ステージを降りました。

ホッとしたいい表情をしていました。

ファンタジックKワールド

発表会が終わった後ロビーにて。

「ステージがライトアップされた空間で、プーさんがプーさんを弾くなんて!ものすごくファンタジックだったよ!」

と、声をかけてくれた方が。

まさかの好評価でした。

演奏中、小さい子供が
「プーさんが弾いてる!」
と喜んでいる声も
聞こえました。


上品そうな高齢の女性も
「素敵なお人形ね。
演奏上手だったわよ。」

と声をかけてくださいました。

この日、一番のインパクトだったようです。

もう一曲のソロ曲、
アラベスクは発表できず。

でもステージに上がって
発表できただけでも
大きな成長です

ピアノ発表会ってみんな
そつなく上手に
こなしていましたが。

そんな、健常なお子さんたちの
成長を毎年目の当たりにしてきて

「どうしてKは…」と考えては
落ち込んでいましたが。

成長の速度は本当にゆっくりですが、去年できなかったことができたというビフォーアフターの成長を褒めてあげたいです!


そして中学校1年生になりました。

心も体も大きく成長する思春期に突入。

次回、中学生編です。

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2021年11月の発表会
トルコ行進曲(モーツアルト)演奏


Kの芸術活動や自閉あるある等
インスタグラムに載せています。
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自宅の自室がアトリエです。


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