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気まぐれな起承転結(小説)
#5
「細い棒が、あまりにもストローに似ていたから羨ましかったんだ。」
私が何を言おうか考えていた時に限って、
Aは口を開いて、訳も分からないことを言い出す。
「あるじゃん。宿題が終わって安心しているのに、どこか終わってないような…まだ勉強しないといけないような感覚になるとき。」
私は精一杯の頭の回転力を使って、今置かれている状況を整理する。
私があまりにも授業に集中しない
気まぐれな起承転結(小説)
#4
前例は、後から価値がつけられるもの。
初めて飛び込んだ世界の当たり前は、私が住んでいる世界にとっての特別なのかもしれない。
新しい物に出会うとき、かなりのショックを受ける。
Aは、セール商品を見るような眼差しで私をじろじろと見る。
「どうして、そのケースに入っていた細長い棒が吸い込まれていったのか、知りたい?」
不自然な言い方をするものだ。
細長い棒ってなんだよ。
気まぐれな起承転結(小説)
#1
1日。24時間。1440分。86400秒。
単位さえ見なければ、数の持つ大きさに目が回る。
地球のみに通用する時間の流れ。
深呼吸をして、両目をピタッと閉じた時に想像を膨らませてみると
見えもしない光の世界に吸い込まれそうになる。
吸い込まれたい。勉強は、今の自分には不向きなのだ。
ぜひ自分の意思で吸い込まれよう。
いや、そんな軽い気持ちを切り替えなきゃ。
気まぐれな起承転結(小説)
#2
その声があまりにも大きく、私の眠気は床に転がったように情けないものへと変わった。
転がっていったのは眠気だけではなく、誕生日に買ってもらったシャーペン、筆箱の中身にスッと馴染むハサミ…
意識を取り戻したように下へ下へと吸い込まれていく文房具たちを見るのは初めてだった。
それを私は、虚しい気持ちで見ていたのではない。むしろ、この文房具を使う意味について考えが巡るようになってい
気まぐれな起承転結(小説)
#3
人間は、好奇心で進化したのだ。
語るのは、
この世界に来る前に読んでいた新聞記事。
新聞をめくる乾いた音や、包装用紙のような香り、そして、縁の小さなギザギザがめくる手を擽ぐらせる感覚。
私以外「文字」という概念を知らない世界に紛れ込んでしまった。
まるで新しい言葉が辞書に入ってくるように、その言葉に対して知ろうという好奇心が向けられない限りは、誰も信じてくれない。
そ