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UXリサーチャーとは何者か?

はじめに

前回リクルートの退職エントリを書きましたが、1月から株式会社メルペイにUXリサーチャーとしてジョインし毎日楽しく働いています!メルペイは社内にUXリサーチャーという職種がまだ加わったばかりなので、UXリサーチャーって何が得意なのか、事業にどのような形で貢献できるのかを言語化して伝えていくことも重要だと感じています。そこで、「UXリサーチャーは何者か?」という問いに対して自分のこれまでの経験から考えていることを整理してみようと思います。

UXリサーチャーの定義

私が最近いい表現だなと思ったのは、GoogleのUXリサーチャーのジョブディスクリプションです。

ユーザー エクスペリエンス(UX)リサーチャーは、プロダクトやサービスをデザインする上で最も難しい問いに答えるポジションです。ユーザーの皆様が Google のプロダクトに何を求めているのか。それを明らかにすることが UX リサーチャーの職務です。

Google 人材募集
https://careers.google.com/jobs/results/83130278735684294/?hl=ja_JP

「最も難しい問いに答えるポジションです」という表現がUXリサーチャーの心をくすぐる表現で、よくインサイトを掴んでいるなと思います(笑)お客さまが何を求めているかを明らかにして、それに対して自分たちはどのような形で実現すべきかの解へとファシリテートする役割、これが「UXリサーチャーとは何者か?」という問に対する私が考える答えです。ファシリテートと表現したのは、UXリサーチャーだけで全て出来るわけではないからです。特に私はデザイン・エンジニアリングなど形にする力を持っていません。そこでチームとしてどうこの問いに答えていくか、サービス開発のプロセスデザインをすることも重要だと考えています。

やっている仕事

UXリサーチャーの仕事は、大きくいうと調査企画仮説探索仮説検証の3つがあります。

①調査企画
事業課題やプロジェクト背景を整理し、何を明らかにしたいのか?という問いを設定し、そのために適切なリサーチ手法を選びます。ここはあまり語られないことが多いですが、知識や経験が求められ、実は最も難しいところなのではと思っています。

②仮説探索
リサーチを通して「お客さまは何を求めているのか?」という仮説を探索し、その結果を分析し次に検証すべき仮説を整理します。

③仮説検証
仮説の確からしさをリサーチで検証し、その結果を分析し解釈や考察を加えて事業の意思決定に繋げます。

リサーチ手法

よくUXリサーチャーというと、ユーザビリティテストをやる人だと想起されるようですが、実際にはもっと幅広いリサーチ手法を使っています。例えばエスノグラフィ調査や、アンケート調査など定性から定量までアプローチも多岐にわたりますし、アイトラッキング調査といった新たな技術を取り入れることもあります。また、リサーチの対象として扱う領域も広いです。お客さまが求めているものはサービス上の機能やUIだけでは提供できない場合もあります。例えばカスタマーサポートの応対や店舗でのオペレーションなどもユーザーエクスペリエンスの重要な要素です。最近私もカスタマーサポートに関するUXリサーチを初めて担当しました。

マーケティングリサーチとの違い

前職ではマーケティングリサーチ出身の方とお仕事をする機会が多かったのですが、マーケティングリサーチは名前の通りマーケティング戦略に活かすことが大前提なので、CMやウェブ広告などアウトプットから逆算しセグメンテーションの切りやすさから性別や年代などの属性をベースに語られることが多いように思います。一方、UXリサーチは「何を求めているのか?」という価値に着目し、ジョブ理論的に分析していくことが多いです。

UXリサーチャーの面白さ

私自身は、人間の面白さに触れられることが楽しいなと感じています。もともと文化人類学を専攻していたこともあり「相手の目から世界はどう見えているのか?」を知ることに興味があるのですが、UXリサーチを通して様々な人の価値観や世界を追体験をできて知的好奇心がくすぐられる日々です。どれだけリサーチの数を重ねても発見が尽きないのが、本当に人間の多様さを表しているなあと思います。また、それだけでなく、UXリサーチを通して探索した仮説をサービスという形を通して世の中に問うことができるというのが最高に面白い点だと思います。これは前述した通り、形にする力を持っていない自分ひとりでは出来ず、プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニアなどとチームであって初めて実現できます。これが私が事業会社に所属し、UXリサーチャーという仕事をしている理由です。

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