ロンドンクリスマスのエスノグラフィ

昨年出かけた本場ヨーロッパのクリスマスを体験する旅、各地のクリスマスマーケットを巡った末にフィナーレであるクリスマス当日はイギリス・ロンドンで過ごしました。ロンドンのクリスマスと聞いて思い浮かぶのは映画「ラブ・アクチュアリー」の華やかなイメージ。ただ、実際にはロンドン市内では終日すべての交通機関が止まり、博物館や美術館はじめお店もほとんどやっておらず人通りが少ないです。みんな家族で過ごすのですね。そんなことはつゆ知らず、寂しいクリスマスになりかねなかったところ…ロンドン在住の友人がお世話になっているご夫婦に赤の他人である私までクリスマスパーティーに招いていただき、「これぞクリスマス…！」という忘れられない体験をすることができました。

まず、15時集合という開始時間におやつ？遅めのランチ？長めのディナー？と戸惑いながらも、せっかくなのでお昼を食べずに向かいました。ドアを開けるとなんと素敵なインテリア…！大きなクリスマスツリーの下にはプレゼントがたくさん並んでおり、卓上の大きなキャンドルもヨーロッパっぽいです。ホストのご夫婦は演劇関係の仕事をしていて、舞台衣装をつくったりもされるそう。置いてあるものひとつひとつにこだわりを感じる洗練された空間でした。

一通りはじめましての挨拶をした後、ウェルカムドリンクはザクロの入ったシャンパン。ヨーロッパ旅の間、ザクロがすっかり気に入ってしまいマーケットやスーパーでみつけるといつも買ってました。

そして次々と料理が運ばれてきます。ポテト、芽キャベツのソテー、あと食べたことない謎の野菜。にんじんのような大根のような不思議な触感でした。

ワインを注ぎあってようやく乾杯！と思ったら、ホストの方が何か配りはじめました。

この３連になった不思議な形をしたものはクラッカー！これをみんなで合わせて両端に引っ張ると、パンッ！という音とともに中から何やら紙が出てきます。

中身は紙でできた王冠と、何やら罰ゲームのようなことが書いてあるメモ。みんなで王冠をかぶり、メモをみながら和気あいあいとディナーがはじまります。

メインディッシュは七面鳥でなく、ガチョウの丸焼き！普段はほとんど食べず、クリスマスのみ調理するようです。

お手製のグレービーソースをかけるととっても美味しかった…！

これはトワイフル。フルーツや生クリーム、スポンジなどが何層かに重なっているイギリスの伝統的なデザートだそう。

お腹がいっぱいになったところで、何やら仮面が配られます。これはイギリスのクリスマス文化なのか、このご家庭の独自文化なのか、その時たまたま家にあったものなのかわからない。笑

シュールな姿で全員で記念撮影。パーティーにはご夫婦の父、兄弟や甥っ子も来ていました。甥っ子は普段海外で働いていて、クリスマスに合わせて帰省したそう。日本のお正月みたいですね。そのような家族で過ごす大事な場に赤の他人である私まで招き入れてもらえて本当に感謝です。

そして最後はプレゼントタイム！ツリーの下においてあったプレゼントを年長者から順番に配っていきます。ここで私たちは大きな過ちに気付きます。クリスマスパーティーでのプレゼントお作法を把握していなかったため、ホストであるご夫婦の分しか用意していなかったのです。

それにも関わらず、ホストの父、兄弟、甥っ子など全員から次々と私たちにも配られるプレゼント。嬉しい反面、お返しがないので肩身が狭く恐縮しっぱなし。。笑 「あなたたちはゲストだから気にしなくていいのよ」と何度も言ってもらいました。

結局6人から、お菓子やら靴下やらいただいてしまいました。次招いてもらえる機会があれば、プレゼントは抜かりなく用意するようにしたい。。

プレゼント交換の後はチーズやチョコレートを食べながらゆっくりと談笑する時間を楽しみ、21時ぐらいに解散でした。温かく歓迎してくれたホストのおかげで「クリスマスっていいなあ」と思える大事な記憶になりました。

ちなみに、人がぜんぜん歩いていないゴーストタウンのようなロンドン市内も教会だけは混みあっていました。クリスマスキャロルに参加しようと待つ行列。

セントポール大聖堂ではクリスマスイブの23時半から深夜礼拝があり、家族で来ている人たちがたくさん。小さな子どもも眠気と戦いながらお祈りしているのが印象的でした。

クリスマス当日はパーティーの前にウェストミンスター寺院のクリスマス礼拝にも寄りました。

イングランド国教会はカトリックのようなプロテスタントのような不思議な雰囲気。

そしてクリスマス翌日はボクシングデーという大セール！街中が静かだった前日とは打って変わって大勢の人で賑わっていて初売りのよう。ヨーロッパのクリスマスは日本のお正月なんだなと思いました。