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ヒッキーヒッキーシェイク

本当のことを言うと、手に取ったのは、Twitterで話題になっていたからだった。

タイムラインをながれてくる諸氏の議論や、Webニュースを見るともなく眺めているうちに、早川書房の編集者さんをして「この本が売れなかったら、私は編集者を辞めます。」とまで言わしめる小説とは一体どんなものかと、俄然興味が湧いてきた。

Kindleでサンプルをダウンロードして、子どもを寝かしつけながら布団に潜ってぱらぱらと読みはじめた。

何、このグルーヴ感!

そして文体の疾走感。

あっという間に引き込まれ、眠気も吹き飛び、子どもが寝てしまっても読むのを止められず、薄暗い部屋で布団の上に起き上がって夢中で読む。

こういうテーマを選択した小説にありがちな、もたつき感とかむず痒さ、かっこ悪さが1ミリもなく、したがって途中で酔いがさめてガッカリすることもなく、最後の1行までただひたすらにカッコいい。

綺麗に気持ちよく酔わせて良い夢を見せてくれる、純度の高いお酒みたいだ。

複雑に張り巡らされた伏線が鮮やかに回収され、そして最後の一行!

小説は、やっぱりこうでなくちゃ。

難しいことは分からないけど、きっかけがどうあれ、面白い小説との出会いは僥倖。津原泰水さんのほかの作品を読む楽しみが増えました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4150313792/ref=cm_sw_r_cp_api_i_4HBhDb8QXHPTT

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