土井みほ

1989年東京生まれ。編集者、ライター、歌人集団かばん所属。絵本出版社勤務を経て、20…

土井みほ

1989年東京生まれ。編集者、ライター、歌人集団かばん所属。絵本出版社勤務を経て、2016年からドイツ在住。雑誌編集のかたわら、エッセイを書いたり、短歌を詠んだり、絵を描いたりしています。「どいちぇん日記」を中心に、短歌や短編も発信中。IG @mihodoi.de

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    手元にたまった短歌から、毎週1〜2首ずつアップ。

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    ドイツでの暮らしのあれこれをちょっと違う視点から。過去のブログをリライト中。

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週末短歌 Nr.8|即詠「50日間世界一周」

先週の土曜の朝、急に思い立って即詠に挑戦した。一首を詠むのにものすごく時間がかかるので、作品の完成度はともかく、肩の力を抜いて歌を詠む練習をしてみたいと思ったのだ。 今回のテーマは、「50日間世界一周」。20歳のとき世界一周した際に訪れた18都市を題材に1都市1首ずつ、詠み終えては当時現地で撮影した写真とともにツイートし、3時間かけて計18首を詠んだ。まだまだ拙い歌だが、ここにもまとめておこうと思う。 ちなみに、世界一周といえば、わたしが学生のころ(10年ほど前)一時期ブ

    • 週末短歌 Nr.7|長井めもさん「没a」

      かばんに入ったのも、Twitterを再開したのも、同世代で短歌をやっている人と知り合いたい……というのが大きな理由のひとつだった。とはいえ、そんなに簡単に見つかるわけないか、とあまり期待をしていなかった。ところが、ここ数カ月で同世代、しかも同じ1989年に生まれた歌人が何人も見つかり、とても驚いている。 Twitterでひときわ注目を浴びている89年生まれ歌人のおひとりといえば、長井めもさん。シンプルな言葉で深みのある短歌たちの魅力はさることながら、次席短歌連絡会をはじめ、

      • 週末短歌 Nr.6|「月歩」第1号

        春原シオンさんのネプリを入手することに成功してからというもの、ネプリがほしい場合は制作者に直接交渉する……という方法に、すっかり味をしめてしまった。おかげで手元には、日本から取り寄せたネプリが少しずつ集まってきている。今回は、結成されたばかりの「月歩」のネプリ第1号について書いてみたい。 11人からなる月歩には、わたしが所属するかばんの会員の方をはじめ、Twitterのフォロワーさんやタイムラインでお見かけする人が多数所属している。オリジナルロゴがあり、ネプリにはきちんと表

        • 週末短歌 Nr.5|春原シオンさん「夏秋冬春+うつくしい」

          また少し間が空いてしまったし、もはや「週末短歌」ではなく「週明け短歌」になってしまっているが(本日は月曜日)、このシリーズを改名するのも面倒なので、もうこの際、週末じゃなくても書きたいときがあれば書いてよいことにしたいと思う。 「ネプリ童貞」だったわたしドイツに住みはじめてそろそろ丸5年が経つし、コロナ禍で1年半も帰国できていないこともあって、わたしの浦島太郎ぶりは加速している。そんななか「ネプリ」という言葉を知ったのは、1月に短歌を始め、4月にTwitterを再開させてか

        週末短歌 Nr.8|即詠「50日間世界一周」

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          週末短歌 Nr.4|ブラウスの移り香

          短歌をはじめてそろそろ5カ月。はじめてかばんの歌会に参加した。ここ1年はZoomを使ってオンラインで開催されているため、こうしてドイツに住んでいるわたしも気軽に顔を出せることはありがたい。とはいえ、日本時間13時開始なので、当日は朝5時に起床しなければならず、ふだん7時半起きのわたしには苦行のようなスケジュールである。なんとか6時までに身支度を済ませ、軽く化粧もした上でラップトップの前に座った。 はじめての選評、ドキドキ…… 今回はかばん5月号の選評。そもそも歌会自体がはじ

          週末短歌 Nr.4|ブラウスの移り香

          週末短歌 Nr.3|茶柱アザラシ

          ドイツは聖霊降臨祭月曜日(Pfingstmontag)というキリスト教の祝日で、この週末は三連休だった。とはいえ、日曜祝日は基本的にお店が閉まっているし、仮に開いていたとしても、陰性証明がないとスーパーかドラックストアしか行く場所がなく(それか散歩)、いつもどおり家でゆっくり過ごすことになった。※実は昨日靴下を履こうとしてぎっくり腰気味になり、動くのがしんどいのもある。 最近うたの日がおもしろい。できれば毎日出詠したいが、それは時間的にも精神的にもちょっとしんどいことがわか

          週末短歌 Nr.3|茶柱アザラシ

          週末短歌 Nr.2|うさぎの平和演説

          毎週末、手元の短歌から少しずつアップしていく……という決意はどこへやら、前回の「週末短歌」から1ヶ月が経ってしまった。このままだと「月イチ短歌」になってしまいそうだが、ひとまず名称は変えないでおく。 先週、毎日開催されているオンライン歌会「うたの日」に、はじめて出詠した。うたの日は以前から気になっていたのだけど、海外からはアクセスできず、VPNを駆使してやっとページに入ることができたその日は、うたの日がオープンして2600日目という記念すべきタイミングだった。 その日のテ

          週末短歌 Nr.2|うさぎの平和演説

          シュプレーヴァルトの魔女おじさん

          わたしが魔女おじさんとはじめて出会ったのは、ベルリンで毎年開かれているグリューネヴォッヘ(グリーンウィーク)の会場だった。食品・農業・園芸の国際見本市で、10日間に40万人ものひとが訪れる。国内外のありとあらゆる食べものが集まり、会場内には大きなお花畑が現れたり、豚や牛などの動物たちと触れあえるほか、ちいさいけど立派な馬場までできている。何棟にもつらなる広い会場(泣く子も黙る、総展示面積は幕張メッセの2倍!)は、一体どこを歩いているのか途中でわからなくなり、こうなったらもう勘

          シュプレーヴァルトの魔女おじさん

          週末短歌 Nr.1|ドイツから春の味覚

          はじめまして、ドイツ在住編集者の土井みほと申します。本業の雑誌編集のかたわら、趣味でエッセイを書いたり、絵を描いたりしてきたのですが、このコロナ禍に、新しい創作活動として「短歌」をはじめました。 今のところ「かばん」に掲載される作品以外はどんどん手元にたまっていく一方なので、週末になったら、このnoteに挙げていこうと思います。短歌の出来栄えについてはさておき、まずは「つづけること」、そして少しずつ磨きをかけていくことが目標です。 ーーーーーーーーーー ■今週の一首

          週末短歌 Nr.1|ドイツから春の味覚

          クリームつきホットココアください。

          Heiße Schokolade mit Sahne bitte! クリームつきホットココアください。 2016年10月2日。成田空港から12時間のフライトを経て、わたしは約5年ぶりにフランクフルト国際空港に降り立った。ベルリン行きの飛行機を待つ間、わたしはちいさなカフェバーで、はじめてのドイツ語を話したのです。「Heiße Schokolade mit Sahne bitte!(クリームつきホットココアください)」。 すると、店員のトルコ系のお兄さんがカップに注がれたコ

          クリームつきホットココアください。