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週末短歌 Nr.2|うさぎの平和演説

毎週末、手元の短歌から少しずつアップしていく……という決意はどこへやら、前回の「週末短歌」から1ヶ月が経ってしまった。このままだと「月イチ短歌」になってしまいそうだが、ひとまず名称は変えないでおく。

先週、毎日開催されているオンライン歌会「うたの日」に、はじめて出詠した。うたの日は以前から気になっていたのだけど、海外からはアクセスできず、VPNを駆使してやっとページに入ることができたその日は、うたの日がオープンして2600日目という記念すべきタイミングだった。

その日のテーマは「お風呂で◯◯した話」。353人が出詠という、デビューにしては大規模すぎる歌会ではあったが、ひとまず一首出してみることに。

湯上がりのちいさなおしり母の手へにょろりとふるまうソフトクリーム

結果は♪9。このおしりの持ち主はわたしで、母から聞いた実話をもとに詠んだもの。改めて母に聞いたら、実際は手の持ち主は父で、ソフトクリームというよりはかりんとうだったそう……。

詠み手の先輩方の作品を拝読しながら、首席に送られる🌹(バラ)を獲得するには、出詠回数を重ね、経験を積まなければ! と決意した初日。ところが、それから2日後の3回目の出詠で、早くも🌹をいただく機会に恵まれることになる。

テーマは「占」。はじめは「占い」を思い浮かべるものの、ちょっと斜めからせめて「独占」の意味で捉えて、歌を詠むことにした。

月面の放映権を買い占めたうさぎが平和演説をする

結果は♡5♪16。昨今の五輪中止論争やパレスチナ問題を出発点に、穂村弘さんの手紙魔まみ的な世界観をイメージして仕上げた。とりわけ雨宮 司さんの選評(下記)では自分の意図していた以上に丁寧に考察されていて、朝から感動で何度も読み返してしまう。

「うさぎ」に戦争は似合いませんよね。「平和演説をする」というのは、逃げ足の速さが取り柄のうさぎに合っている気がします。戦争の恐ろしさを一番知り尽くしている動物かもしれません。もちろん、月にうさぎが住んでいるというのはお伽話の世界であり、実際には月面にうさぎはいません。しかし、うさぎが戦争を嫌い、月面の放映権を買い占めて(どうやったかは二の次です)、平和演説をするというのは、心情のうえで充分に説得力がある気がします。一度、演説内容を聞いてみたいものです。

さらに、はじめての🌹がうれしかったあまり、絵まで描く始末(静かなお祭り騒ぎ)。ちなみに、平和演説は地球にも中継されている設定だ。

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実は4月中旬くらいから、自分で満足いく歌が詠めなくなっていた。かばんに入会したりTwitterを再開したりしたことで、たくさんの方のすばらしい作品に圧倒されてしまっていたのだ。短歌をはじめて4ヶ月、早すぎるスランプである。

そんなとき、短歌をやっている大学の先輩から、穂村弘さんの『はじめての短歌』などの初心者向けの短歌本が何冊か届いた。それらを読んだことが、わたしにとってちょうどいいガス抜きになったらしく、今回の🌹につながったのかな……なんて。きっとまた落ち込む日も訪れるのだろうけど、進んだり立ち止まったりしながら、どんどん自分らしい歌をつくっていきたいなと思った週末なのだった。


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