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エリック・ロメール オールナイト上映@新文芸坐

2023年4月22日、エリック・ロメールのオールナイト上映。はあ〜楽しかった、楽しかった!楽しすぎたので忘れないように日記で残しておこう。

新文芸坐はかなりの頻度でロメールのオールナイト上映を組んでくれていて、私はその度に行くようにしている。ヴァカンス映画の巨匠と称されるほどに陽光や海の煌めきが印象的なロメールだけど、深夜に観るのが格別に良くて。やっぱりロメールは孤独にどこまでも寄り添ってくれる。だから深夜にしっとりと観ることで、「あ〜この人だけが私のことを知ってくれているんだな」と秘密を交わしたみたいな感覚を味っている。

今回のオールナイトラインナップはこちら。

①『海辺のポーリーヌ』
②『満月の夜』
③『緑の光線』
④『レネットとミラベル 四つの冒険』

……深夜に観たいロメール映画が詰まっている。
夜が更けたころに観る『満月の夜』と、夜明けに観る『レネットとミラベル』。まるで劇中の主人公と同じ時間を刻んでいるかのような組まれ方。

もう何度も観てる映画なのに、毎回発見があるロメール作品。今回は『満月の夜』で泣いていた。これまで観たときは好きだと思うだけで泣いたことはなかったのに、今日はパスカル・オジェのどうしようもない孤独と我儘さが心に染みた。『緑の光線』もそうだけど、何をやっても何処に行ってもなんか満足できない、というめんどくさすぎる感情を、ロメールは決して蔑ろにしない。放っておいてほしいのに、それはそれで無性に孤独を感じてしまい、周りに迷惑をかける。私も他人と会話してるときに「なんか違うな」となって退席したくなることがよくある。なんでロメールはそんなに分かるんですか。そんなことでグズってるなんてみっともないと思われるだろうから一生懸命隠していた感情が、ロメールには筒抜けなんですね。いつもそんなヒロインばっかり撮って、「私は人が嫌いです」なんて冷たいこと言いながら、面倒で癖のある人間たちを愛おしく描いてくれる優しくて賢い人。

ここ数年は、毎年どこかでロメールのリバイバル上映が組まれているからか、最近はロメール作品の客入りが以前に比べて減っているように感じる。今日のオールナイトも、これまでのロメールオールナイトに比べて全然お客さんがいなかった。映画館的には痛手でしかないけど、それもあったからロメールと密約する感覚を味わえたかもしれない。

私は夜が苦手なので、基本的に夜遊びはしないけど、唯一する夜遊びがオールナイト上映。池袋のなかで最も(?)ディープな場所へ夜遅くに行くのはやっぱり怖い。でも映画館へ入ればそこはセーフティゾーン。大好きなロメールが待っている。ここでは毎晩訪れる「眠らなきゃ」のミッションがなくなるし、なんなら眠ってもOK(周りの人に迷惑をかけない程度で)。朝4時頃とかいうとんでもない時間に食べるセブンティーンアイスは頭を気持ちよく冷やしてくれる。この時期だと終映後は完全に朝になっていて、外の景色がまったく変わっている。これは何度体験しても不思議に思うし感動さえする。ロメールと一晩いっしょに居たんだということを強く感じるから。でも朝になったら一旦ロメールとアデューしないといけない。寂しいなあ。ずっと居てくれたらいいのに。でもやっぱりどこか清々しい気持ちになっているからロメールの力はすごい。ロメール先生、今日もありがとうございます。また頑張って生きていきます。


朝4時頃に食べるセブンティーンアイス
夜とはまったく姿を変える池袋

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