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悩んだら唱えたい。「八方ブスより良くね?」

文章に精通している人からのオススメは間違いない。あぁ、あのとき私に余裕があれば、これを読んで気持ちが浮かばれたのかもしれない…!


仕事に追われて倒れるギリギリ寸前のところで、「これ、読んでみるといいですよ」と紹介してもらったマンガがあった。グラマラスな女の子が描かれた表紙が私の目に飛び込む。あああ、読みたい気持ちはあっても余裕がない。ふあああ……。

そしてパタリと倒れた私。オススメされたマンガはドラマ化され、人気を集めた。けれど結局、それさえも見ずに今に至る。


先週、そのドラマがまとめて放送されていたのをちらりと見たことで、今ならと思ってマンガをまとめ購入してみた。タイトルは『凪のお暇』だ。

読めば読むほど、「あれ、凪のモデルって私…?」と怖くなるほど思い当たる節に出会う。アパートの舞台も私が通っていた高校の駅周辺だし、ドラマでは予備校の前によく寄ってた"鬼公園"が映ったし。


「自分のこと面白おかしくなんて話せっこないから とにかく一方的に相手の話を聞くことしかできなくて」
「お酌すらまともにできないもん 注いだらいらないって言われるんじゃないか 注がなかったら気が利かないって言われるんじゃないかって ビクビクして結局固まっちゃって」
「自己評価低ない? いやちゃうな 自己評価水準が高いんや」

そんなセリフを見るたびに、過去の自分がフラッシュバックしてくる。

ゼロヒャク思考なところもしっかり描かれていて、いったい誰が見ているんだ…と周りを確認してしまった。けれどこの物語が人気になったってことは、もしかしたら同じ悩みを抱えている人も多い…?


震えあがる言葉を先に紹介したけれど、マンガの中には凝り固まってしまった考え方にメスを入れるような言葉も詰まってる。

「八方ブスより良くね?」

が、最たる例だ。

小学生、中学生、高校生。ふとした時に「八方美人」という言葉が私の周りをまとった。誰かの悪口を言っていたわけでもないのに、人間関係で疲れた時に、友達や先輩に相談すると「八方美人だもんね」と言われることがあった。

マンガの中にも八方美人なキャラクターが潜んでいて、その悩みを打ち明けた時に言われた言葉が「八方ブスより良くね?」だ。

深刻に悩んでいる人に対するゆるい回答、「確かにそうかも」なんてちょっと肯定できる内容、頭の中で固まっていたものが、ゆるゆる溶けて温かくなっていく。

まぁ確かに、誰に対しても不愛想な人よりは、もしかしたらマシなのかもしれない。

短所は長所。八方ブスか八方美人、どちらかを友達に選べと言われたら、私は八方美人を取るだろう。「あなたに嫌われてもいい」と不愛想な態度を取られるくらいなら、八方美人に向かって「大丈夫だから、本音で話そう」と説得し、心を開いてもらい、唯一無二の友人へと導いていきたい。

「八方美人」にあたることはすべて直さなきゃいけない、絶対ダメなことだとずっと思っていた。けれど"誰にも好かれようとする"こと自体は悪いことではないし、人は誰だって誰かから嫌われたくないはず。悪い面もあるけれど、ちゃんといい面や当たり前な面もあるのだ。


少しタイミングはずれたものの、余裕ができて読むことができてよかった。ドラマもどこかでまとめて見たい。

こっちは一巻のみ。

気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだスミヨ。さん。月~土までのうち、私は月・水・金を担当しています。


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