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私が保育士の資格を取ったわけ

noteで開催されている #この仕事を選んだわけ  について書いてみようと思います。

一言で言ってしまうと、生きづらさを抱えて生きている人達を多く見てきたから、そして私もそのうちのひとりだから、なのかもしれません。

保育士になる人の一般的なイメージは、子どもが好きだから、でしょう。

もちろん私は子どもが大好きです。一つ一つの無垢な表情や発想だけではなく、なんと言っても人の育ちに興味があります。

大学で初等教育科を専攻したのもその為です。元々私は、教育学を学んでいました。小学校の先生になりたかったのです。

大学で小学校教諭、幼稚園教諭の免許を取ったのち、訳あって職に就くことはなく結婚し、夢にまで見た子育てをしました。その期間はとても貴重で尊い時間でした。私自身の今まで生きた証と言っても過言ではありません。

けれども、自分の産んだ子ども達(息子二人)を育てる期間は、人生のたった20年程です。もしくはそれ以下でしょう。

そんな楽しい期間が終わろうとしている事に気付いた時、私はこれからの時間をどう使おうかと考えました。私の使命は子育てだけでは終わらないのではないか。
教育実習が終わる時に教えて頂いた先生に「世の中の困った人たちの役に立てるような人になってください」と言うメッセージを頂いたことを今でも思い出します。

その言葉は妙に私の心にしっくりと馴染み続けています。


自分の人生を構築するのは、想像以上に大変でした。そんな時を経てそろそろ一人になろうとしている今、私は次の自分の人生をどのように使おうかと考えています。

保育所保育指針が改定された平成30年。子育て支援制度が取り入れられました。私はそれまで福祉に携わったことはなかったので、保育所保育指針が改定されることすら知りませんでしたが、保育が変わろうとしている時だったのかもしれません。
福祉施設に留まるのではなく、そこに教育施設としての役割を求められました。それがいわゆる、よく耳にする「保育の質を高める」と言うことにつながります。それが私のイメージにぴったり合ったのです。

私が学生の頃は、保育士ではなく保母さんと呼ばれました。そして、教育的な観点よりも福祉的な施設のイメージが強く、働くお母さんが預ける場所、そこは「生活の場」と捉えていました。けれど、時代を経て今は、単にお預かりすることだけに留まる場所ではなくなっていました。

時代の変化に伴う子育て環境の変化。それにより、様々な視点から子育てに困るご家庭への支援のお仕事を私はしたいと思いました。当時、多く問題視されていた虐待問題が私を動かした理由の中では大きいです。被虐待児(虐待という表現もそろそろ何か別の表現に変えたいところですが)の心を支える役割を担いたいと思い、児童養護施設で働くことを決め、指導員をしていた時期がありました。色々な子どもと関わる中で、虐待は何故起こるのか、その一歩手前で何か出来ることがあるのではないかと考え、虐待は、時に手をかけている当事者の親も苦しんでいることが多いことも分かりました。


3回の受験で保育士資格を無事に取得して、まずは一般の保育園で現代の子育て事情を知りたいと思い面接を受けた時、園長に「何故、保育士になろうと思ったのですか?」と問われ、「子育て支援のお仕事がしたかったからです。」と答えた時に、少々驚いた園長が「そのような答えを聞いたのは、初めてですね〜」と仰ったシーンを今でもよく覚えています。


あれから4年。既に3カ所の保育園を経験し、現場での様々な現状を見て来ました。発達障害の疑いや診断を受けた子どもに対して、集団保育の中で出来ることは何か、一人一人の主体性を重んじることの具体的な意味や方法、時代の変化に応じた保育内容の変化の必然性を無視した保育がまだまだ残っている現状。これは新しい指針を学んでいない保育です。とは言え、昭和の時代の教えが全て間違っているとも思わない。新しい価値観を見出す時代に保育現場ではどのようなスタンスが必要なのでしょうか。

それはもはや、今の時代で育った新しい保育者と10年以上保育士を経験されているスキルを備えたベテラン保育士、そして、大人になってから社会経験を経て、他業種の仕事を経て保育現場に入ってくる国試組の保育士など、多様な価値観を掛け合わせることで、社会の中でたくさんある保育園の一つ一つがそれぞれのカラーを出しながら、子どもの最善の利益を守られるように、そして教育の平等性にも留意しながら、人生の基盤となる大切な時期の乳幼児期に携わって行けたら良いのだろうな、と思います。

まだまだ問題、課題がとても多い保育現場です。新しい指針が出来て既に4年ですが、保育園によって差があります。そして、これから未来を担うことになる子どもの育ちにとって何が必要で何がマルトリートメントに当たるのか、保育の学びはとても深く興味深いものだと思っています。
保育園の小さな社会の中では、様々な経験を持つ保育士達が意見を交わし、チームで保育していくのが望ましいと感じます。それこそが多様性の認められる社会の形です。またそれにより、保育士同士も高め合うことが出来ます。保育の質は上がります。


私は国試組。保育士としての経験はまだ4年と浅く、担任ももったことがありません。けれど、保育士のスキルとはどのようなことか、保育士としての立ち回りがある程度分かって来ました。国試組の強みは、子育て経験(保護者の気持ちに寄り添える)を経ていることや、他業種での仕事の経験から、保育現場の労働環境の問題を指摘出来ること。保育士の職場環境は、変えていかなければなりません。休憩が取れない、サービス残業、持ち帰りの仕事、自腹で買った文房具の持ち出し、など、色々ありますが、保育士自身が自分の時間を大事に使うことをプライドを持って訴えていかなければ、何も変わらないと思っています。なので、早速私は今の保育園では、早番より早く行く早朝手当が出ないことを疑問に思い、園長や本社に掛け合って、出してもらえるようになりました。
個人の満足度を高めることも、保育について本来かけるべき情熱を発揮出来ることにも繋がるでしょう。


どのようにこれからの子育て社会に対して働きかけをして行くのが私に一番合っているのか、模索しているところです。子どもは、未来にとって欠かせない存在です。それを育てて行く専門性をこれからも学んでいきたいものです。





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