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なぜ私がSocial and Emotional Learningが絶対日本に必要だと直感で思ったか。

こんにちは。

シンガポール在住、元保育園施設長のみはやしゆきです!

前回、シンガポールの教育の国家戦略とも言える、Social and Emotional Learningという教育アプローチについて、ご紹介をさせていただきました。

このSocial and Emotional Learningというアプローチに、なぜか強い興味を示す私がいる。もしかして、このアプローチは、日本の保育業界(いや、教育業界全体)を進化させてくれる1ピースかもしれない、と直感的に思うのである。

それが何故なのか?を突き詰めてみました。

今の段階で、私がどうしてSELが必要だと思うのか?の理由はこの3つだ。

(まだ勉強不足の段階なので、直感的です。)

■最初の第一歩が、”己を知ること”から始まること。

前々回の記事でも書かせていただいたが、私自身、アイデンティティというのが不在のまま36年間を過ごしてきた。自分の差異やルーツを見ずに、外へ外へ答えを求めるたびに、私自身の核になるものが空白になる。

そんな人生を歩む中で、ようやくたどり着いた”自分のルーツ”。故郷の地域文化や教えへの感謝。こここそが、やっぱり自分の核だったことに気づいたのである。

日本は島国だからこそ受け継がれし文化や風習もあったと思う。しかしながら一方で、自分がそうであったように、どこか”人と同じを好む(安心する)”ような文化があるような気がする。

でも、本来、いろんなバックグラウンドがあり、日本人と一括りでは表せないほどの多様な在り方がもっともっとあるはず。それが一人ひとり、自分から認め誇りに思うことこそ大事なのではと。

きっと自分を誇りに思えば、周りの豊かな多様さにも、もっと寄り添えるし、素晴らしいと思えるのではないだろうか。

SELはそんな、”自分を認識すること”から始まるアプローチだと思っている。幼少期からさりげなくクラスの中でそんなアプローチが組み込まれていて、自然と受け入れる土壌ができたら、日本の教育は今以上に美しくなると思うのです。

■先生、保護者へのアプーチがまず第一歩であること。

保育園の施設長として働いた2年間。

子どもの教育に熱心で、楽しんでもらいたいと言う熱い想い先生たちばかりだった。日本の先生も、海外から来て従事してくれた先生も。

でも、一方で、保育園の現場業務は本当に”大変”。大変という二文字におさめてしまうのは、チープな気もするが、何がというとまずもって、常に、”命”を預かるという緊張感があるのだ。

お家へ帰っても、子供たちのことが頭から離れない(いいことも、反省すべきことも)。明日の準備が気になる。今日の自分の声かけ、保護者のコミュニケーションへの反省も頭の中でグルグル。

営業やコンサルなどの他業種で、かなり鍛えられて、メンタル面も体力面もタフだと思っていた私でさえ、施設長についた序盤は常に頭の中が24時間、それこそ寝ている時も、保育園のことでいっぱいだった。

日本中の保育園で、”子どもが好き”で入った先生たちが、現場で、気付いたらバーンアウトしてしまう人も多いと聞く。

実際、少し古いデータですが、H26厚生労働省の調査(✴︎P5参照)によると、保育士資格を持ちながらも次の就職先として保育園を選ばない人が約半数もいる。その理由として、責任の重さや事故への不安という項目を選んだ人が40%と圧倒的である。

保育士のメンタルヘルス領域をもっと豊かにしていかなければ、サステナブルな職業になり得ない。そんな仕事だと実感した。

でも、”心身を豊かする”ことは、”国の政策や誰かにしてもらうのを待つ”のでは絶対養われない。つまりは、自分自身を司る、”強さ(レジリエンス)”と”スキル”の習得を自分ですることが必要なのでは、と思っている。

でも、今の保育業界は、ほとんどの研修や学びの機会が、”子どもの養護、教育”について。(←ここはもちろん大事という前提です)

”自分自身のマネージメントスキル”が学べる機会(と時間)がめちゃくちゃ少ない。

SELは、まずもって先生や保護者がそのアプローチ学んで、体得していくことから始まる。私はここが面白いと思っている。

つまり、先生自身が、自分の感情と向き合うことを第一歩大事にし、自分をマネージできてこそ、子供たちに伝えていけるものがあるし、子供たちを受け入れる温かい心を持ち合わせることができる。

この観点は、まだ日本では少ないのではなかろうか。

■瞑想(マインドフルネスのアプローチ)が入っていること。

私自身、ヨガをもう15年ほど続けてきているのだが、この瞑想や自分と向き合う時間に救われたことが何回あっただろうか。

感覚的に、学校現場で働く先生のマインドリセットと、とても相性が良いはずと思っていたが、SELではこの瞑想が積極的に取り入れられているのだ。瞑想によって、自分の感情と向き合う時間を作っていくためである。

人は目の前で起こった出来事や、人と人との間で生まれたコミュニケーションで心が揺れ動く。悩みの種となるのである。

その悩み自体が悪いことではないとよく言われているが、”今の自分の状態に気づいてあげる”こと。これこそ自己認知の第一歩なのである。

湧き出る感情に気づき、事実を整理すること。

その上で、相手の気持ちを慮ること。

そういうスキルを習得べき職業だと思うのですが、大事な授業の一つとして取り入れられていないのが現場な気がします。

この3つの観点から、私はSELがすごく保育現場で相性がいいのではと直感で思っているのです。

すでにアプローチ方法もアメリカのシカゴのSELを広めている団体CASELがある。欧米ではすでに学校現場で取り入れ始めているが、欧米とは状況が違うこともある。だからこそ、いかに日本の保育現場になじむべく実践していくか、が課題な気はしている。

英国ではSELのエキスパート保育士を育て始めているそう。これを皮切りに、私自身も勉強して、SELやマインドフルネスの観点がもっと保育現場に広まるように仕掛けていきたい。

★次回は、高野山と私の夢です↓



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