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【鳴釜神事】占い師、日本最古の占いを受けにいく【不思議体験】

自分でも訳の分からない話だと思うのだが、その日は起きた途端に「鳴釜神事にいかねば!」と謎の使命感に駆られた日だった。

鳴釜神事とは、岡山にある吉備津神社で行われる占いで湯を沸かした釜の音で吉凶を判断する占いのこと。

雨月物語でも取り上げられているので、耳にしたことがある人もいると思う。

(内容としては愛憎渦巻く生々しいホラーだったりする)

【雨月物語 吉備津の釜】

日本の文献に残る1番古い占いなので、日本最古の占いとも言われているらしい。

今まで一度もやったことがないのでいつかはやってみたいと思いつつ数年前がたったのだが、
急に「行かねば」と思ったのは初めてだった。

こういった急にお参りに行きたくなったりすることを私たちの業界では「呼ばれる」というのだが私は甚だ懐疑的だ。

個人的には選ばれし者感のある、自意識過剰で恥ずかしい言葉だと思っている。

しかし、行きたい気持ちを抑えきれなかったので天気もいいことだし吉備津神社に向かうことにした。


吉備津神社

吉備津神社は歴史が深く、この辺りの神社の中でもかなり有名な神社だ。

雰囲気のある参拝道
参拝道を上がると社殿ドーン!


山の中腹にある神社なので、こんな感じで階段を登った後にすぐにお参りができる。

このようなダイレクト参拝ができるのもこの神社くらいだと思う。

あと特徴としては社殿がとにかくでかい。

社殿の規模は出雲大社よりも大きいとのことだ。

また、このお社は「比翼入母屋造」(ひよくいりもやづくり)と言われていて、かなり珍しいものだそう。

他にこういった造りの社はないそうなので、別名「吉備津造」と言われる。

側面から見たらこんな感じ

神事前のご祈祷

鳴釜神事を受けるためには、まずご祈祷を受けないといけない。

ご祈祷の際に、初穂料は3.000、5.000、10.000円〜から選ぶことが出来る。

ちなみに私は中くらいの初穂料にした。

11月で七五三があるからかご祈祷を待つ時間はそこそこかかったが、待合室の隣の池のぶりんぶりんに肥えた鯉を眺めてぼーっと過ごしたので無問題だった。


デカイ鯉たち

時間が来て首にかける小忌衣(おみごろも)を受け取り祈祷を受ける。 

この小忌衣、裏返すとしめ縄がプリントされているのでこのまま神棚にお供えができる優れものらしい。

本日は戌の日ということもあり、安産祈願や七五三の祈祷も聞けて興味深かった。

ぶっちぎりに多いのは車のお祓いだったので、岡山は車社会だなとしみじみ思う。

余談になるが神主さん、多分ご祈祷の時に私の住所を間違えて読み上げられていた気がする。

中学の卒業式も名前を呼ばれなかったので、多分私はこういう星の下に生まれたのだと思う。

帰りの御本殿へご挨拶する時にとりあえず訂正しておこうと思った。

鳴釜神事


祝詞をあげてもらった後に、そのまま御釜殿にお進み下さいと言われたので長い廻廊を通って御釜殿へと進む。

長い回廊

この御釜殿の下には吉備津彦命がはねた温羅の首が埋められていると言われているので、おっかなびっくり社殿に足を踏み入れる。


物々しい

鳴釜神事の説明

「鳴釜神事」はそんな吉備津神社の、今も行われる伝統的な神事です。
その温羅退治のお話。
大吉備津彦命は温羅の首をはねましたが、首は大声をあげ、唸りが止むことはありませんでした。
それではと骨だけにしても唸り声は鳴り響き……やむなく吉備津神社の御竈殿(おかまでん)の釜の下に埋めてしまったそうです。
しかしそれでも声は止まず、近郊の村にまで届いていたのだとか。
困り果てていた命(大吉備津彦命)の夢枕に温羅の霊が現れ、「自分の妻に釜を炊かせなさい。世の中に何かあれば、私の釜の前に来てみよ。幸あればゆたかに、禍あれば荒々しく釜を鳴らそう。吉凶を示し、市民に懲罰を与える」と言いました。
命がその通りにすると唸り声は収まり、これが鳴釜神事のはじまりと言われています。
その名の通り、釜が鳴った音の大小長短で吉凶禍福を判断します。
https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/127639/

和樂より

御釜殿の中は火がくべてあるので暖かく乾燥していたが、なんとも言えず物々しい雰囲気だった。

清潔ではあるものの長い間煙で燻されているからか、壁面のあちこちが黒光りしている。

正座をしていてじっとしていると、巫女である阿曽女(あぞめ)の方がそばに来てくれて鳴釜神事の時に起こった面白いことを教えてくれた。

阿曽女(あぞめ)曰く、

・神主と阿曽女(あぞめ)は聞こえるのに祈祷をしてもらっている人には聞こえないことがある 

・釜の音が後ろから聞こえた

・釜の音が四方八方から聞こえた

・家族で1人だけ釜の音が聞こえない人がいた

・社殿が振動するほど大きな音が鳴った

といった不思議なこともあるとのこと。
しかし最近は穏やかに鳴ることが多いのだそうだ。

鳴らないこともあるみたいだが、それは今のやり方を変える必要がという神託になるそうなので別に残念に思う必要はない。

そういえば商売が上手くいかず占いに来た人が、釜の音がならなかった時に商売のやり方をがらっと変えてうまくいったことがあるのだと昔聞いたことがある。


阿曽女(あぞめ)が立ち去った後に完全に手持ち無沙汰になったので、さてどうしたものかと思っていたが

目の前に賽銭箱があったので、お賽銭を入れた後に二礼二拍手をしてゴニョニョと自分の住所と聞きたいことについてつぶやきながら時間が来るのを待った。
ちなみに聞きたいことは占い師一本で働いて行くべきかというものだ。

面白いのが、お賽銭を入れる前にはチョロチョロとした火だったのだがご挨拶を終えて顔を上げると火がぼうぼうと燃え盛っていたことだ。
火が強いからか灰が至るところに舞っていた。


そうこうしているうちに、神主が来てご祈祷の準備がはじまった。

神主が来て厳かに祝詞を唱え始めてすぐに釜の音が響き出した。 

重低音なのかと思いきや、予想以上に柔らかくて高い音だった。 

細く長くゆっくりと釜の音が響いていたのでこれは吉かなと思っていたのだが、

突然誰かに頭を押さえつけられる感覚がした。

祝詞をされている時は軽く頭を下げていたため、
首が疲れたかと思ったので首を回そうとしたがそもそも頭が持ち上がらない。

これは参ったなと思っていたが、祝詞が終わった瞬間ふっと頭が軽くなった。

狐につままれたような顔をしながら動けないでいると、

阿曽女(あぞめ)が足が痺れたのかと気を使ってくれて「ゆっくりでいいですよ」と仰ってくれた。


頭にばかり気がいっていたので気が付かなかったが足もかなり痺れていたので、
ゆっくりと立ち上がる準備をしながら先ほどの頭が押されているような感覚があった出来事を伝えてみた。

話を聞いた阿曽女(あぞめ)が「そんなこと聞いたことがない」と言っていたので、
不思議なこともあるもんだなと思いながや社殿を後にした。

話は脇道にそれるが、そういえば大昔にここの神社で剣道の奉納試合をしたこともあるし、いろいろとご縁があるのだったという事を思い出した。

吉備津神社に祀られている吉備津彦命は武術の神様でもあるからだ。


お守り

鳴釜神事を終えてボートしながら境内をウロウロしていたのだが、面白いお守りを見つけた。


霊幻新隆な鈴

なんとも言えない顔をしている鬼鈴。魔よけに使えるらしいのだが、効果はどんなもんか。

仕事柄魔除けは必須となるのでお迎えすることにした。

おどろおどろしい御朱印
御朱印もちゃっかりゲット

用事を終えて帰る前に、1番大きな社殿に祝詞の時の住所の訂正をして、日頃の無事を祈願して山を降りていった。


吉備は温羅伝説やら古墳があちこちにひしめき合う不思議な土地だ。

吉備津神社は密かに占いの聖地でもあると思っているので、岡山に来られた際は、ぜひ鳴釜神事をしていってほしいと思う。

おまけ

神社の麓の茶屋で鬼が働かされていた。

さすが桃太郎伝説の里、おそるべし。


こころなしかうなだれている

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