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9月2日は第二次世界大戦の終戦日!?~国によって違う終戦~

いきなりですが、みなさんは8月15日が何の日かわかりますか??

…そうですね!終戦記念日もしくは終戦の日です!!!

正式には「戦没者を追悼し平和を祈願する日」と日本政府によって定められています。
1963年に全国戦没者追悼式実施要項が閣議決定されたことで、政府主催の全国戦没者追悼式が行われるようになりました。
そして、1982年に8月15日を戦争を知らない世代に対して戦争の経験と平和の意義を伝えるため「戦没者を追悼し平和を祈願する日」として閣議決定されました。

現在の10代、20代にとっては当たり前の終戦記念日(終戦の日)は、今から35年前に閣議決定によって定められたものだったのです。

現在に生きる大半の人々が生まれる前の出来事である終戦について日本と海外におけるあれやこれやに触れながら今回はみなさんと考えていこうと思います。

◎終戦の日と終戦記念日どっちなの?

毎年8月15日前後に戦争に関する報道や特集番組が増えますよね。
そのときに、終戦の日や終戦記念日といった言葉が混在していることに違和感を持つ読者の方もいるのではないでしょうか。
そこで、5大紙とキー局では終戦の日と終戦記念日のどちらを主に使っているのかを調査してみました。

終戦の日
NHK、フジテレビ系列、テレビ朝日系列、TBS系列、産経新聞

終戦記念日
毎日新聞、読売新聞、テレビ東京系列

終戦の日と終戦記念日
日本テレビ系列、朝日新聞、日本経済新聞

といった結果となりました。

こうみてみると、終戦の日が多いものの特に決まりはないことがわかりました。

終戦の日という表現を使う理由についてNHKでは、記念日という喜ばしい日に使う言葉のニュアンスが終戦の日にふさわしくなく、不快な思いをされる視聴者もいるからだとしていました。

◎日本の終戦の日はなぜ8月15日なの?

日本の終戦日の候補には8月14日、8月15日、9月2日の3つがありました。
この3つの候補の中でどうして8月15日となったのでしょう。

・8月14日
天皇陛下が御前会議でご聖断を下し、実際に日本がポツダム宣言を受諾することをジュネーブ経由で連合国側に通告したのが1945年8月14日でした。そのことは全世界に公表していたものの、日本人にはまだ知らされていませんでした。

・8月15日
1945年8月15日は戦争後の日本の終戦後のあり方を定めたポツダム宣言を受諾したことを日本国民と大日本帝国軍人に「玉音放送」という形で天皇陛下が直接語り掛けた日でした。つまり、玉音放送によって国が国民に武器を置くことや敵対行為をやめることを命じ、戦闘状態を休止することを宣言した日なのです。ちなみに、帝国国軍が戦地に赴いている軍人に対して武器を置くように命じた日は、次の日である8月16日なので、一般国民のほうが伝達が早かったことがわかります。

・9月2日
ポツダム宣言受託時に1945年9月2日に降伏文書調印をすることが決められていました。降伏文書調印式が東京湾上に浮かぶ米戦艦ミズーリ号で行われ、降伏文書に調したことで国際法上戦争が終結しました。

このようにどの日も日本の終戦にとって意味があったことがわかります。8月15日が終戦記念日となった一説として、「玉音放送」の印象が国民にとって強かったことや、8月14日と9月2日は右派と左派のイデオロギーで対立があったのでそれを政府が避けるために間をとったなど様々な説がありますが、残念ながら現段階ではっきりとした理由はわかっていません。

◎世界各国では第二次世界大戦が終わった日はいつか。

日本では8月15日が終戦の日とされていますが、一体海外ではいつが終戦日とされているのでしょうか。
そこで、いくつかの国をピックアップして紹介していきます。

・アメリカ
米戦艦ミズーリ号の上で調印式を行った後にトルーマン大統領の演説で9月2日を正式に対日戦勝記念日とし、第二次世界大戦を勝利で終えたことを宣言したことによって、アメリカの第二次世界大戦の終戦は1945年9月2日ということになりました。この前に、アメリカでは1945年8月14日に日本が降伏することが報道されると同時に、9月2日を対日戦勝記念日とする予定であることも報じられていました。

・ソ連(ロシア)
ソ連時代とその後のロシアとでは終戦記念日が変わっています。ソ連時代では降伏調印翌日の9月3日を対日戦勝記念日としていました。それは、降伏調印が行われている9月2日に、北方領土の歯舞島攻略作戦を実行し、5日に千島列島全島の占領したことのつじつまを合わせるためです。
1989年に冷戦が終結しソ連が崩壊した後も戦勝記念式典の開かれた9月3日を正式な対日戦勝記念日と定めていましたが、2010年7月にはロシア連邦共和国議会が、9月2日を「第二次世界大戦が終結した日」と制定す法案を提出し可決したため今では9月2日が終戦の日とされています。

・中国
中華民国は当時中国大陸で戦闘に参加しており、連合国の一員としてポツダム宣言にも参加していました。日本とは1945年9月9日に南京で正式な降伏調印をして国民党軍に降伏していますが、国民党政府はミズーリ号上の降伏調印日である9月2日を一区切りとして、9月3日~5日までを抗日戦争勝利記念の休暇としたこともあり、今でも中華民国では9月3日が記念日となっています。
一方、中華人民共和国では2014年から9月3日に対日勝戦に関する行事が行われるようになりましたが、それまで1945年8月15日まで日本軍は中華人民共和国と中華民国のどちらの軍と戦っていたのかという問題があったので正式な終戦記念日は存在していませんでした。誰と戦っていたのかという問題の背景には、日中戦争では日本と国民党軍との闘いでしたが、北部の華北地方では日本は共産党軍と戦っており、そこに日ソ不可侵条約を破ったソ連が南下してきたこともあって複雑化した背景がありました。

・韓国
韓国は日本の無条件降伏により独立した8月15日を記念し、国権回復を祝う行事が全国的に行われます。いわゆる「光復節」です。
韓国の独立記念日である「光復節」は現代の韓国、そして韓国人の思考を作り上げたと言っても過言ではなく、「3•1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」と大韓民国憲法の前文にも明記されているほどです。
この日は韓国で大々的に行事が行われます。国の至る所に国旗が掲げられ、独立運動に身を捧げた人々に感謝し、敬意を表します。
さらに、8月15日は大韓民国政府の樹立の日でもあります。重要度は増します。大統領が直接記念演説を行うことが定例行事です。この演説を通じて韓国政府の平和観、そして日本に対する認識が伺えます。

・北朝鮮
北朝鮮は8月15日を「祖国解放の日」と呼び、韓国と同じく祝日として指定しています。
北朝鮮の住民は毎年この日になると平壌の金日成•金正日の像を訪れて参拝し、マスコミは各階層の労働者と学生が金日成•金正日の像に花かごや花束を献花したとの便りと写真を公開しています。 北朝鮮は1930年代の金日成の抗日武装闘争を絶え間なく自国の歴史に含めてきました。それに伴い、住民たちに「金日成が抗日遊撃隊を主体とした光復軍を作り、日本を破って祖国を解放した」と教えているそうです。
実際に、金日成が満州で小規模に抗日武装闘争を展開したのは事実ではありますが、実質的な朝鮮半島の解放は第二次世界大戦で日本が連合軍に降伏し、朝鮮半島から撤収した結果に基づいたものです。 また、北朝鮮は金日成のパルチザン闘争を誇張し「革命伝統を代を継いで継承、発展させるべし」との口実を元に権力の世襲の基礎を築いてきました。金日成の息子である金正日も先軍政治に対する正当性をこの「祖国解放の日」を通して住民らに宣伝しています。 つまり、北朝鮮における「光復節」は金日成のために存在していることがわかります。

・ドイツ
ドイツでは5月8日を連合軍に無条件降伏し、新たに戦後史が始まった日として零時(Stunde Null)といわれています。しかし、戦没者の追悼に関しては11月の第3日曜日に行われる「国民哀悼の日」が強調されています。ここから、現在のドイツとナチスドイツを分離して考えるドイツの思想が見て取れます。
また、5月8日は終戦の意味もありますが、ナチスドイツからの解放が主としてとらえています。上述通りに戦後の歴史が始まり、国の再建が行われたという認識に基づいていると見られます。

ドイツ以外のヨーロッパ諸国では、ヨーロッパにおける勝利を記念する日として5月8日はヨーロッパ戦勝記念日とされています。第二次世界大戦はヨーロッパ戦線と太平洋戦争にわけることができ、太平洋戦争の終結が第二次世界大戦の終わりですが、ヨーロッパ諸国は一足先の5月にドイツが降伏したことにより終結していたのでした。

以下で紹介しきれなかった国を一部まとめてみました!
8月15日 
独立記念日・・・インド
8月17日
独立記念日・・・インドネシア
9月2日 
対日戦勝記念日・・・カナダ・フランス・イギリス
独立記念日・・・ベトナム

◎まとめ
以上のように、終戦と一言でも勝敗によって国の未来が決まる日でもあります。
海外の終戦日から、終戦日は太平洋戦争時に日本の占領国であった国では8月15日、西側諸国では9月2日、東側諸国では9月3日が多いことがわかりました。
そして、名称からもその国の立場を反映していることがわかります。終戦の日は国の複雑な事情も考慮に入れて作られた日であることが見て取れるでしょう。各国の記念日はその国の歴史が反映されるものであり、その国の国民がある出来事についてどう感じるのかを知る手掛かりになるものです。
戦後72年がすぎ戦争を体験していない世代が増えた今だからこそ、日本側の目線ではなく様々な国の目線も考慮にいれて客観的に考えてみる事ができるのではないでしょうか。


≪参考≫

Wikipedia

 ・第二次世界大戦 

 ・終戦の日

NHK放送文化研究所

8月15日は「終戦記念日」「終戦の日」?

朝日新聞記事データベース

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