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自己理解から始まる転職活動のススメ|マイチャレ三重

年齢を重ねてからの就職活動に不安はつきもの。そんな不安を抱える就職氷河期世代の就活に寄り添ってくれるのが「マイチャレ三重」。キャリアコンサルタント等の資格を持つ支援専門員が、仕事の探し方から自己分析、書類の作成方法や面接対策、就職後のフォローアップまで、就職氷河期世代の就活に対して、手厚いサポートを実施しています。

今回はさまざまなサポートの中から、自分の強みや弱み、そしてどんな仕事が向いているのかなどを知ることができる「適職診断」について、支援専門員の方に詳しくお聞きしました。

適職診断を受けるまでの流れ

津駅に隣接しているアスト津の3階にある「おしごと広場みえ」内に「マイチャレ三重」があります。まずは利用登録とガイダンスシートを記入し、働くことに関してどのような相談をしたいかをチェック。チェックした項目をもとに、支援専門員とカウンセリングを行います。

「働くことに関する悩みはそれぞれ違いますが、『どんな仕事を選んだらいいのかわからない』という方や『これまでの仕事は自分に向いてない気がする』と仕事の選び方について悩んでいる方も多くいらっしゃいます。そんな方には適職診断をお勧めしています」

マイチャレ三重では、性格特性や個性から自分の強みを探る『キャリアインサイト』、仕事をする上で必要な能力を測定する『GATB』という2つの自己分析ツールがあり、少し時間はかかりますが仕事に関する適性を知ることができます。

「就職氷河期の世代のほとんどの方たちは、こういった適職診断や自己分析を学生時代に受けることができていないんです。でも自己分析って、履歴書の作成や面接時の受け答えに非常に役立つもの。職種への先入観や給料や条件だけで応募先を決めるのではなく、自分の性格や能力に適しているかという視点を持って就職活動を行うことも大切なのではないでしょうか」

2つの自己分析

①キャリアインサイト
所要時間:40分〜1時間ほど
被験方法:PCを使用して、職業や自身に関する質問に答えていく。

<わかること>
自己分析の基本を学び、新たな自分の発見に繋げる。
自分の性格特性や個性から強みを探ることにより、自己PRポイントが見つかる。

筆者も実際にキャリアインサイトを体験してみました。自分がどのような分野に興味関心があるのか、仕事をする上で得意なこと・苦手なこと、さらにはどんな職場環境で働きたいかなど、さまざまな質問があり、選択肢の中から選んで答えていきます。

支援専門員の方に確認しながら進めることができます

その結果から、自分の興味関心が高い職業の相性も割り出してくれます。その中にはパーソナリティ(性格)と職業(働く環境)の特徴を6つのタイプに分類し、マッチングをはかる「スリーレターコード」という分析結果があり、自分に適した職業の方向性を見極めることができます。

筆者は、細菌学者や生物学者の適性があるとの結果が出ました。現職のライター業も適職の範囲内だとのこと。学者は予想外だったのですが、たしかに探求、分析することは得意なことなので納得の結果。もしこの結果を学生時代に知っていたら…学者を目指していたのだろうか?と想像し、少しわくわくしました。しかし、この結果をどのように転職時に活かせばよいのでしょうか。

「適性職種を知ることが大切なのではなく、これまで経験した仕事と自身の能力の適性を比べてみたり、自分が考えてる強みとキャリアインサイトの結果を照らし合わせみて、自己の振り返りをしていただくことが最も大切なんです」

さらに第2ステップとして、この結果を持ち帰り、各自で自己分析シートを作成します。自己診断を受けたことで見つけた自分の得意・不得意や、自分がどんな分野に興味を持っているのかなどの気づきをもとにシートをうめていきます。

「これまで転職活動がうまく行かなかったという方の中には、自己肯定感の低さから『こんなことは長所といえないだろう』とアピール文が書けていなかったり、エピソードが準備できておらず、面接でうまく受け答えができていないということがあります。こうした過去の失敗を防ぐためにも、自己分析シートを書きながら自己PRの種を一緒につくっていきます」

②GATB
所要時間:2時間ほど
被験方法:器具を使用したテスト、ペーパーテストを実施。

<わかること>
仕事をする上で必要な9つの能力(適性能)を測定。
検査結果を元に「結果の見方・活かし方」を作成し、強みを発見し進路選択に役立てる。

器具を使用したテストとペーパーテストから、仕事に必要な能力を測るGATB。文章や句の意味を理解する言語能力や、平面図から立体形を想像したり、考えたりする空間把握能力、数字を素早く認識し計算する能力など、9つの能力を測ることができます。

「結果から得意・苦手を整理したり、職業適性を検討するために役立てることができます。これまで製造業で働いていたけれど仕事が合わないと悩んでおられる方がGATBを受けて、やはり細かい作業が得意ではないという結果になりました。そうすると同じ製造業でも、例えば精密機器を扱うよりも、もっと大きな動きを必要とする仕事のほうが合うかもしれないと考えることができるのです」

キャリアインサイトは自分の意志や思考が反映されるのに対し、GATBは自分の身体・行動などの自らが持ち合わせている能力を知ることができるため、どちらも受けるとなお良いとのこと。

「結果を見て『今まで苦手な分野の仕事ばっかりしてたんだ』って言われる方が結構いらっしゃるんです。そういった気づきもあれば、これまで合っている仕事に就いていたことに気づいて、自信を持つこともできますよね。どんな仕事に就いたらいいかわからないと迷っている方にとっては、仕事を探すときの道標になるんじゃないでしょうか。人生において、時間をかけて自分の特性と向き合うことは、なかなかないと思うので、改めて自分のことを知る機会にしていただけたらと思います」

就職に向かって準備している方は、ぜひ自己分析を受けてみてほしいとのこと。

「年齢的にも早く就職しなくてはと焦る気持ちは大きいと思いますが、とりあえず給与が高い、働きやすそう、家から近いという条件面だけで選ばれると、やはりミスマッチが起こり離職につながるケースも少なくはありません。遠回りに思えるかもしれませんが、自分の適性を知ることで選択肢が広がる可能性もあります。ぜひこうした適職診断も就活に活用していただきたいですね」

応募書類作成、面接対策などの手厚いサポート

診断の後は、結果を見ながら自己分析を行い、自分の特性を踏まえながらどのような仕事が適職なのか、どんな職場環境で働きたいのかなどを支援専門員とともに考える時間を持ちます。

「こういう特性があるんだったら、こういう仕事や企業とマッチするのではないかということを一緒に見ていきます。求人票や会社のホームページを見ながら、『この仕事はどんなスキルが必要かな』『この会社はどんな人を求めているんだろう』と考えながら分析をするんですね。その分析がその後の履歴書の自己PR欄の内容や面接に活きてくるんです」

その後は、履歴書や職務経歴書の添削や面接対策などのサポートも受けることができます。

「最近は、就職対策の情報を見て、王道の答えをまる写しして、単語だけ変えているという話も聞きます。それでは、たとえ書類が通過したとしても面接ではうまくいかないことも多いんです。A社でもB社でも当てはまる志望動機や当たり障りのない自己PRでは、企業に熱意が伝わりません。だからこそ、自己分析の結果をうまく活用して伝わる言葉にすることが大切だと考えてサポートさせていただいています」

毎週木曜日には、面接のロールプレイング(模擬面接会)を実施。20分ロールプレイングをして、フィードバックを受けます。

「例えば『直近のお仕事で成果を上げたことは何ですか』とか『これまでの成功体験を教えてください』などの質問が飛んできたときに、よくある質問なのにうまく答えられないという方も多いんです。やはり自分のPRを文章化しておかないとすぐには答えられないし、もし言えたとしてもそこにエピソードがないと企業にとって魅力的な人だと伝わりづらい。特に自己肯定感が低い方はその質問がとても難しく感じてしまいやすいです」

答えづらかった質問についてヒアリングすると、「自分には成功体験がない」「成果がない」とおっしゃる方も。

「実はすごく大きな成功体験でなくてもいいんです。『過去に家族や友人、同僚からありがとうって言われたことありますか?』『それはあります。〇〇をしてあげたときに…』こんな風に質問すると皆さん、エピソードを話してくださるんです。自分の中にある想いや考えを前もって言語化しておくことで、面接で話す要素を増やすことができると思いますよ」

就職氷河期世代向けセミナーを開催
マイチャレ三重で、就職氷河期世代の就活に対する取り組みがスタートして約3年半。令和3年度は、290件、令和4年度は、335件と年々相談数は増えてきています。

「これまでは待ちの姿勢だったのですが、もっとマイチャレを活用していただきたいという気持ちから情報発信に力をいれるようになり、利用者の数が増えています。ネットやチラシ、関係機関からの紹介、最近ではSNSを見て来てくださる方も増えました。利用してくださる皆さんの疑問や悩みに答えられるように、イベントやセミナーなども企画しています」

3月2日に開催されるセミナーでは「県内就活の理想と現実」をテーマに、現場に立つ支援専門員だからこそ話せる就活のリアルを紹介。例えば、就職氷河期の年齢になると聞きづらい就活の初歩的な「いろは」から、県内でどのような就職氷河期世代対象の求人があるのかなどを詳しく聞くことができます。

「実は企業側と応募者のギャップがあるんですね。どんな仕事で何を求められているかがわかっていない方が応募してしまうと、やはり採用されるのは難しい。就職氷河期世代の方は、ご自身の年齢もあって時間がないと焦って就活される方も多いのですが、企業とのミスマッチを防ぐためにも求人票の読み取り方や企業分析を行い、自己分析のうえで応募書類や面接の準備をすることでそのギャップは埋められると思うんです。ですからこういったセミナーでまずは就活のいろはから見直し、ご自身にどんな情報が必要なのか見極めていただけたらと思います」

セミナーは対面でもオンラインでも参加可能。興味を持った方はぜひ、ご参加ください。

最後に支援専門員の方から、就職氷河期世代の方へメッセージをいただきました。

「自分だけで就活をしていると、不安や疑問も誰にも話せず1人で悩んでる方もいれば、前職で受けたトラウマからなかなか抜け出せなかったり、就職活動において傷ついた経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。そういった気持ちを相談員に話すことで少しでも癒やされ、進み出すきっかけになれば嬉しいです」

「決して就職がゴールではなく、安定して働き続けられるように、就職された後のフォローアップも行っています。マイチャレと繋がっていただくことで、為になるような情報を知ることができたり、頑張ってみようという気持ちをもっていただけるような支援を続けています。ぜひ、一度足を運んでみてくださいね」

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