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新たなスキルや資格を身につけ、再就職に挑む「三重県立津高等技術学校」

皆さんは、「高等技術学校(専門校)」とは、どんな場所かご存知でしょうか。いわゆる専門学校とは違い、希望する職業に関する基礎的技能や専門的技能を身につけ、就職に繋がる公共職業訓練を行う学校です。今回は津市にある「三重県立津高等技術学校」を訪れ、就職氷河期世代がどのようなスキルを身につけられるのかをお聞きしました。

就職氷河期世代が受けられるカリキュラム

三重県立津高等学校が実施する公共職業訓練には、津高等技術学校の施設内で行われる「普通課程」「短期課程」と、津高等技術学校が民間の教育施設に委託して行われる「委託訓練」があり、そのうち就職氷河期世代が受けられるのは「短期課程」「委託訓練」となります。

短期課程は、津高等技術学校内で専門技術を持った講師陣から、ものづくりに必要な技能・技術・知識を学び、就職してから役に立つさまざまな資格取得をめざします。​​受講する科によって、受講期間(4か月、5か月と6か月及び1年)、入校時期が異なります。

訓練受講対象者:​ハローワークに求職申込をした求職者の方​、雇用保険受給資格があり公共職業安定所長の 受講指示を得られる方、または公共職業安定所長の 受講推薦・支援指示が得られる方

募集科:パソコンCAD科、オフィスビジネス科、住宅サービス科、ホームコーデ科、アーキデザイン科、マルチスキルワーク科、OA事務科、金属成形科

入稿案内
https://www2.tcp-ip.or.jp/~tsutech/pdf/data/tanki/tanki2023.pdf

委託訓練は、県内各地の民間教育施設において、就職に必要な知識の習得や資格の取得をめざします。受講する科によって、短期(3か月程度)と2年間のコースがあり、入校時期が異なります。

訓練受講対象者:ハローワークに求職申込をした求職者の方​、公共職業安定所長の受講指示を得られる方、または公共職業安定所長の受講推薦・支援指示が得られる方

2年間のコース:介護福祉士養成科、保育士養成科、栄養士養成科、製菓衛生士養成科
短期コース:パソコン・事務系、IT/Webデザイン系、介護福祉系、医療事務系など

入校案内:https://www2.tcp-ip.or.jp/~tsutech/pdf/data/itaku/R5_chirashi3kagetu/jyukounogoannnai2023.pdf

(入校までの流れ)※一例

①ハローワークで求職申込を行い、「どういった職業に就きたいか」「どんなスキルを身につけたいか」を相談。
②事前の説明会に参加。短期課程は月に2回実施。委託訓練は、各コースによって実施時期が異なります。具体的な訓練内容や、どのような就職先があるのかなどについて説明を受け、申し込みを行います。
③入校にあたり、自分が選択した希望科の訓練内容やその職業に適性があるかを見極める「適性検査」と「面接」を受け、選考の結果で合格となれば入校できます。

訓練目標に沿ったカリキュラムを受講し、就職までのサポートを受けることができます。短期課程では津高等技術学校で、委託訓練では各民間教育施設に就職担当のアドバイザーが在籍し、訓練実施期間に卒業修了後の進路や、面接対策について相談することができます。

修了が近づくと、就職に関する「相談日」が設けられます。ハローワークを訪れ、相談員と求人票を見ながら、応募する企業を選定し、就職までの道のりを明確にしていきます。

新たな道へ踏み出すチャンスを

就職氷河期世代の再就職となると、希望にあった給与や待遇などの条件に当てはまる就職先を見つけるのは困難なこと。そこで津高等技術学校や委託訓練では、新たな資格やスキルを身につけて再就職に挑む人も増えているようです。

例えば、津高等技術学校の「パソコンオフィスワーク科」(委託訓練)では、これまで自己流でやっていたオフィスのソフトウェア操作を学び直し、資格として身につけて事務職へ再就職をすることができます。「パソコンCAD科」(短期課程)では、建築製図補助等に必要な業務を学ぶことができ、ハウスメーカーへ就職するなど、既存のスキルをランクアップしたり、新たなスキルを身に着け、これまでとはちがった分野の企業や職種へチャレンジすることもできます。

マルチスキルワーク科」では、オートメーション化が進む製造業に対応できる機械や電気分野の知識・技能を習得し、製造業への就職をめざし、「ホームコーデ科」では、一般の建物・インテリア・水回り等住宅に関する知識・技能を習得し、小規模建築物を対象とした、多職種の知識・技術を身に付け、建築業界全般への就職をめざします。

委託訓練では、最近のDXやIT分野の人材を育成しようという流れから、委託訓練にWebサイトのコーディング知識・技能を学ぶことができる「フロントエンドプログラマー科」、ITエンジニアの基礎教養を得られる「ITスキルマスター科」が設置されました。もちろん適性試験を受けてから受講できるかが決まりますが、今後も成長が期待される分野へ関わることができる、大きなチャンスとなるかもしれません。

また、「介護福祉士養成科」では、座学での知識習得と実践に即した技術を習得し、介護福祉に関する専門的知識と技術を持ち、介護現場での就職をめざします。

新しい技術を身につける際に大切なことは、「自分がどんなことに興味があるかを知ること」だと、津高等技術学校の先生たちはおっしゃっています。

「例えばですが、親御さんに勧められた通りに、ご本人はまったく興味がないコースを受けたとしても、やはり続かないですよね。本当に自分がやりたい、学びたいという強い気持ちがあってこそやりきれること。です。まずは説明会に足を運んで、しっかりと自分がやりたいことなのかを確認してほしいと思います」

短期課程は月に2回、委託訓練はコースごとに説明会を開催しています。興味を持った方はぜひ、足を運んでみてくださいね。

委託訓練先を取材

取材に訪れた委託先のこの学校では、日商簿記検定(3級)やワープロ検定などの資格を取得し、事務処理能力を生かした「一般事務職」をめざすコース、医療事務に関する資格を取得し「医療関係の事務職」をめざすコースなどがあります。

受講生は年間約40〜70名ほど入校し、多くは離職後再就職に向けてのスキルアップのためや、別の職種に再就職をめざし能力開発のため学んでいます。年齢層は40~50歳が多く、女性の割合が9割以上だそうです。

授業を拝見すると、先生の話に耳を傾ける皆さんは真剣そのもの。授業外ではどんな雰囲気なのでしょうか。

「印象は明るく元気。皆さん和気あいあいとしていますね。なかには20代の人もいるんですが、年齢が違うせいか、ライバルというよりフラットな関係がそういうクラスの雰囲気にさせていると思います」

担当者は過去に印象に残った話を教えてくれました。

「20代の方で『自分はうつ病なんです』と入校時に教えてくれた人もいます。いろんな人がいて当たり前なんです。でも少し心配はしていました。しかし40代や50代がいるクラスに入って溶け込むうちに、みるみる表情が明るくなっていき、最後には就職まで結びついたんですよ。担当の先生と『人間の力ってすごい』と喜んだことを今でも覚えています。勉強はもちろん、その過程で『生きる力』を養ってくれたんです」

ここでの全コースの期間は3ヶ月。2ヶ月目には授業で履歴書を作成したり、担当の先生と進路について確認しながら就職活動をすすめているそうです。

今回取材をしたこの学校のように、あなたの再出発をサポートしてくれる場所があります。気になった方は、まずはハローワークで相談を!

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