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小学3年生のフィンランド留学体験記 第9章(全9章)

第九章 9月

目次
1.フィンランドの森
2.ピアノの授業
3.友達の前に立ちはだかる言葉の壁
4.教科書の落書き
5.秋の森で遊ぼう
6.ブレタ
7.僕の時間割
8.新しいサポートの先生
9.友達のために
10.ウクライナから来た転入生
11.スケーターズワルツ
12.僕の誕生日
13.日本を紹介しよう!
14.参観日
15.羊毛フェルトでボールを作ろう
16.エストニアの日
17.インドの日
18.ドミニカ共和国の日
19.憧れの小さな先生
20.ウクライナの日
21.最後の個人面談
22.ハンメルンの笛吹き男の劇
23.トルコの日
24.初めてできたフィンランド人の友達
25.イタリアの日
26.学校生活最後の金曜日
27元クラスメイトのトルコ集団
28.大根抜きの戦友カレヴィ
29.フィンランド語ゲームで連続チャンピオン
30.ブルガリアとモルドバの日
31.僕のお別れ会
32.フランチェスコ
33.ありがとうフィンランド
 

登場人物
りくと:主人公。フィンランドの小学校の外国人クラスに通う。
エンミ先生:担任
カリナ先生:サポートの先生
アンサ先生:サポートの先生
ステファニア先生:サポートの先生
アラン:3年生の元クラスメイト。親友。クルド人。
エレナ、ジェレン、マリアム、ネヒル:元クラスメイト。トルコ人。
ジェシアン:5年生のクラスメイト。アルバニア人。
ブレタ:6年生のクラスメイト。ジェシアンの姉。アルバニア人。
フランチェスコ:6年生のクラスメイト。イタリア人。
ジェミフル:3年生のクラスメイト。トルコ人。
エリオン:5年生のクラスメイト。
ヤミル:フィンランド人クラスにいる友達
ローベルト:フィンランド人クラスの友達。ロシア人。
アミル:特別支援クラスに通う友達
メフメット:6年生の友達
クリスティーナ:同い年のクラスメイト。住んでいるアパートも同じ。ウクライナ人。
アンドレイ:2年生のクラスメイト。クリスティーナの弟。
アリシア:2年生のクラスメイト。ウクライナ人。
アナ:3年生のクラスメイト。ドミニカ共和国人。
アイラ:3年生のクラスメイト。インド人。
レニー:2年生のクラスメイト。エストニア人。
 
 

1.フィンランドの森


9月になった。フィンランドの小学校で過ごすのもあと1カ月だ。とても寂しい。新学期になって弟と登下校ができない日が増えた。そこで、僕は1人の時は自転車を使うことにしている。フィンランドの歩道は広くて走りやすい。自転車通学の日は家を遅く出られるのがいい。でも半袖だと寒すぎるので朝はジャンパーを着て登校するようになった。
授業で小学校の隣にある森に出かけた。エンミ先生が
「森には3種類あります。原生林、天然林、人工林です。フィンランドにはこの3つ全てがあるよ」
と教えてくれた。さすが森と湖の国フィンランドだ。先生が落ち葉、ブルーベリーの葉、キノコなどの名前が書かれた紙を1人ずつに配った。これからこのリストに載っているものを森で集めるらしい。集めたものはリストの上に並べることになった。僕たちは森に散らばった。クリスティーナは片手では持てないような大きなキノコを見つけた。それ、紙のリストの上に収まる!? フランチェスコはレインボーキノコを見つけた。絶対食べたら美味しくないやつだ。雨上がりの森は湿っていてスニーカーがすぐ濡れて靴下にまで水がしみ込んできた。エンミ先生は
「思っていたよりブルーベリーが多いね! タッパー持ってこればよかったね!」
とのんきに鼻歌を歌いながらブルーベリーを食べていた。僕もブルーベリーをたくさん摘んで食べた。指先はすぐにブルーベリー色になった。みんなはリストを全て埋めることができたのかな? 僕はブルーベリーに夢中になりすぎて全然植物を集めなかった。帰り際、エンミ先生が
「はーい、みんなリストの上の植物をポイして! 学校に帰るよ!」
と言ったのでほっとした。9月は森と天気に関わるフィンランド語を覚えることになった。今日の宿題は面白くて、森の色々な種類の葉を集めようというものだった。
 

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