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連載小説マリアと呼ばれた子ども

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2020年9月の記事一覧

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第35回

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第35回

翌日、簡単な朝食を済ませると僕たちは【ドルフィン】と名付けられたタオライアーの制作に取り掛かった。作業場所は愛さん宅のリビングルームに続くデッキだった。まずは外形を鉛筆で下絵から取ると、ジグソーで外形を切り出した。
午前中にそこまで終わらせると、【昼食がてら、ドームハウス見学に行きましょう】とアンニカ親子が提案した。
ドームハウスというのは半球状の形状の家にことだ。阿蘇にはドームハウスをたくさん宿

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第34回

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第34回

「そうですね、今回みなさんと一緒に仕上げるタオライアーの名前を【ドルフィン】としたのは、おっしゃる通り私たちが地球に初めて転生して来た時、イルカだったからですよ。」愛さんはいつもの通り、おっとりした口調で答えてくれた。
僕以外、参加者がみな、うなづいて聞いていた。隣に座っているミッチーの横顔をそっと見ると、どこか懐かしい思い出に浸っているように、遠い目をしていた。イルカだった頃、レムリアに生きてい

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第33回

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第33回

僕は再び、愛さんと幸子、アンニカに質問をした。
「みなさんはレムリア時代のお仲間だったとのことですが、琴座の一等星の『ベガ』と関係があるんでしょうか。いや、実は僕はマリアとともに初めてタオライアー製作ワークショップに参加した時たまたま、シュタイナーの母国語であるドイツ語ではライアーを【Lyra 】と綴ると知り、そのことに興味を持ったんです。」
僕は説明を続けた。
【Lyra 】はもともとラテン語の

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第32回

ふと気がつくと、愛さんはいつの間にか白い麻のワンピースに着替えていらした。アンニカ親子も同じようなワンピース姿だった。きっとマリアと同じく、風呂上がりに着替えたのだろう。気がつくと、ミッチーも幸子も同じような白っぽい麻の生地で出来たパンツスーツを身に付けていた。
僕の中で白っぽい麻のゆったりした装束は、ライアーハープとタオライアーを演奏する人たちの中では【制服】のように感じられる。
愛さんはタオラ

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第31回

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第31回

僕たちが日帰り温泉から愛さんの住まいに帰ると、アンニカ親子も入浴を済ませていた。
温泉施設に向かう前に薪ストーブの上に掛けていた、大鍋に野菜スープが出来上がり、いつのまにか薪ストーブの下段にあるオーブンでは手作りパンが焼き上がっていた。
新鮮な野菜をたっぷり使ったサラダとともに、薄切りにしたハムやチーズが並べられた。平飼い卵の茹で卵も綺麗に櫛形に切られている。
「ご存知かもしれないけど、阿蘇は牧場

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第31回

僕とミッチー、マリアは、愛さんを長年サポートしている幸子の指示の下、台所で野菜スープの材料を切った。有機栽培された色とりどりの野菜は、どれもこれもピカピカした光を放っていて、生命力にあふれていた。愛さんが午前中に汲んできてくれた湧き水と共に大きな寸胴鍋に入れると、薪ストーブの上に置いた。このまま長時間、薪ストーブの火に任せてコトコト煮込めば、立派な夕飯になるはずだ。
アンニカ親子が到着したのを見計

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連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第30回

連載小説 マリアと呼ばれた子ども 第30回

愛さんが手作りされた優しい味わいのパンケーキと熊本産の美味しいグリ茶に、僕たちの旅の疲れはすっかり癒されてしまったようだ。
僕は愛さんとライアーハープ、タオライアーのことがもっと知りたくなった。愛さんは、日本にシュタイナーのライアーハープとタオライアーが入って来た直後からずっと、ここ阿蘇の別荘で演奏会や製作ワークショップなどを開催して来られた。いわば、先駆け的な存在だからだ。
愛さんはいつものおっ

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