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2017年12月の記事一覧

コラボ作品集 Special Thanks

コラボ作品集 Special Thanks

「 聖なる夜 」

今夜もたらふく酒を飲んだ。
屋台の主人も呆れるほど。

千鳥足。
駅をめざし歩く。独り。独り。

街の灯のまぶしいこと!
独り。妻子への手土産も忘れ。

あっ!と自転車とすれ違った。
天地が逆転したーーー

気づいたらベッドの上。病院。
そばにみんな居た。子供達が、妻が。

聖夜、
家族の前で初めて私は泣いた。

俳句 kusabue
140字小説 ku

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コラボ作品集 特別編 《クリスマス》5

コラボ作品集 特別編 《クリスマス》5

 
 
 
『たったひとりの』
 
  さぁ、子供達へメリークリスマス!
 
 くたびれたサンタの衣装を脱ぎ、モールの事務所に返す。今日は何人の子供の頭を撫でただろう。
 彼は立ち寄った店で、真っ赤なひざ掛けを買った。ラッピングされたその包みを持って、老妻のいる施設へ向かう。
 
 ふと、独り言が漏れた。
 
「今夜は俺を思い出すだろうか」と。
 
 
 
 
 
 

 
 
 
☆☆゚・*:.

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コラボ作品集  特別編《クリスマス》4

コラボ作品集  特別編《クリスマス》4

『思い出の甘さ』

「まぁた子供よりニヤけて」

 クリスマスケーキにニヤける貴方。
 忙しいご両親に誕生日も忘れられ、思い出、と言えばイヴのケーキだけとか何とか。

「だって昔、楽しみだったんだよ」
「ケーキが洋生(ようなま)って言われてた昔?」
「そんな昔じゃない!」
 ムキになる貴方が可愛い。

 私達との思い出になる、今。

俳句 kusabue
140字小説 悠凜

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コラボ作品集 特別編《クリスマス 》3

コラボ作品集 特別編《クリスマス 》3

『笠サンタ』

「あの雪達磨ってアレだよね」
 外を眺めていた君が言う。
「あれ?」
「ほら…贈り物くれる」
「サンタ?」
「違うよ!ほら、お礼に…」
(お礼?)
 不思議に思い、見れば昨日はサンタ帽だったのに、今日は何故か編み笠。
 積もるたんびに違う形もいいけど…。

「あれじゃ、笠地蔵だ」

 笑いこぼれる聖夜。

俳句 kusabue
140字小説 悠凜
イメージ 吉田翠

コラボ作品集 特別編 《クリスマス》2

コラボ作品集 特別編 《クリスマス》2

 
 
 
『そんな気分もいいじゃない』
 
  そこのバーテンダーは女だった。
 カウンター越しに、人生の悲喜交々を垣間見る。
 
『今日はみんな何となくいい嘘ついてたわ。イブだものね』
 
 閉店後のひと時、今度は自分のためのとっておきを作る。柑橘を加えたホットワインの、仕上げはシナモン。
 
 忘れたはずの人。その面影に「乾杯」と、グラスを傾けた。
 
 
 

 
 
 
 
☆俳句   

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コラボ作品集 特別編《クリスマス》1

コラボ作品集 特別編《クリスマス》1

『サンタは電車でやって来る』

 昔、誕生日は祝って貰ったけど『クリスマスは余所様の誕生を祝う日。ウチには関係ない』と言われた。

(そんな僕に聖夜の天使が訪れるとは思ってもみなかったな)

 厳選した二つの包みを手に改札を通る。
 明日の朝、君はどんな顔をするんだろう。

 息子の顔を思い浮かべ、僕のニヤけ顔も止まらない。

俳句  kusabue
140字小説  悠凜
イメージ

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