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好きだった


今まで好きだった人たちのことについて書きます。


① 鐘を一緒に鳴らしてくれなかった
確約していないだけでもう付き合っているものだと思っていた。半年も宙ぶらりんでした。宙ぶらりんなんて言葉は可愛らしいもので、保留、みたいな言葉の方が正しい気もします。
江ノ島にふたりで行くなんてもう、付き合っているのだと思っていました。
恋人同士がふたりで鐘を鳴らすと永遠の愛がどうの、というあれを私は鳴らしたかったのです。それを鳴らすことによって気持ちを確かめる、みたいな自信のなさに溢れた恋でした。
それでふたりでその近くに行って、私が鳴らしたら「勘弁してよ」と言われました。

② 手がきれいだと思った
これから一大イベントだ!みたいな時に円陣を組んだりするときがたまにあります。
例えば演劇の本番の前とか、一生懸命頑張る前には気合を入れようというのがある気がします(そういうことに意味を感じない、或いは苦手という人も大勢います)。
その時はまだコロナ禍で、今もまだコロナ禍なのですが、より人との接触を避けていた時期、手を近づける(触れない)ことにより円陣の役割を果たそうとしたときに、手がきれいだなぁと思ってそれだけで好きかも、と思ったことがあります。
つるんとしているとか、ふっくらしているとか、爪が磨かれているとか綺麗な色をしているとかそういうことではなく、ゴツゴツしていて細くて、でもあんまりみたことのない形の手でした。
あんまり人のことをパーツで好きか嫌いかとか思ったことがありませんでした。所謂フェチみたいなのもあまりピンときたことはないのだけれど、まさかこの人の手が良いと思って好き、とまで思うかしら…と今でも信じられません。

③ 手が荒れていた
好きな人の手がいつも荒れていました。体質のせいなのだと、本人から聞きました。
幼い頃、お手手を繋ぐ遊戯のときにその人はお友達に手が荒れているから繋ぎたくない!と言われたそうです。好きな子だったとも聞きました。
クリームを何度も塗っているところも好きでした。荒れてしまってひどいときはグローブをしていました。
私はその人のことが好きだったとき、今よりも他人との距離の取り方が下手くそすぎて、何度かその人の手を触ったことがあるのですが、すごく気を遣わせてしまっていたと今でも後悔しています。小さくて、いつも荒れていたけど私はその人の手が好きだなあと思っていました。

④ カブトムシみたいなリュックを背負っていた
半ば憧れみたいな気持ちで好きだった人がいました。
割と長い時間、その人のことを好きだったのだけれど、大学生になってから私服でその人を見かけることがあって、カブトムシみたいなリュックを背負っていて気持ちが急速に萎えました。
全然ただ茶色くて形がカブトムシっぽいだけで、それを模したリュックではなかったのだけれど。すごく素敵だと思っていたのだけど、カブトムシ………と思いました。
共通の友達からあの人カブトムシみたいなリュック背負ってるね、と言われたのも原因かもしれません。

⑤ 結婚するって言われた
好きかも!と思って、恋かも!と認定するまでに割と時間がかかった恋愛で、ちゃんとこれは好きと認めようと思った次の日、その人から電話がかかってきて結婚すると言われた。
隕石に当たったような気持ちだった。吹っ飛ばされた。
誰にも言う前で本当に良かった。スピード感にびっくりした。相手もそんな素振りは全くなかったし、恋人がいるというわけでも多分なかったし、とにかく知らなかった。諦めずに、とかそれでも、とかそんな芯のできるまえの気持ちだったから粉砕して消えてしまった。
なんだかびっくりして泣いてしまったのだけれど、悔しいとか悲しいとかではなかった。驚いて、それだけで泣いてしまったのでした。

⑥犬が好きだった
好きかどうかわからないけれど、相手の家によく通っていた時期があった。デートしたりとか何度かして、仲良くなったのだった。
その家では犬を飼っていて、本当に可愛くて毎回会うのが楽しみだった。貢物もたくさんした。写真を撮ったり一緒に寝たり、散歩させてもらったり絵を描いてあげたりもした。
そのうち、飼い主に会いたいから家に行っているのか犬が好きだから行っているのかわからなくなった。
犬が家の都合でどこか遠くに行ってしまったとき、別にもうその家に行きたいと思わなくなったから犬が好きだったのだと気づいた。
プレゼントしようと思って買っておいた犬のおもちゃの処分に困っています。

⑦ クリスマスに敗北した
デートするという経験がなさすぎたので、いい感じかも?という人とクリスマスに一緒に出かけるというイベントが人生で初めて発生した時に大慌てしてしまった。
関係初期の段階で、でもデートは3回目で、よもや?よもや??と思っていた。
だから本当はイルミネーションを見たあと、食事をどこでするか打ち合わせた時に気づくべきだった。向こうは大戸屋を提案していたのだ。大戸屋はクリスマスに恋人になりたい人行くべきところではない。どう考えても、これから告白するような場所じゃない。
大戸屋を打診された時点で、この人とは違うのだと認識するべきだった。
大戸屋は混んでいたのでやめた。クリスマスに大戸屋に行きたい人がたくさんいてびっくりした。温野菜……的な店に落ち着いて、温かい野菜を食べた。
僕はクリスマスプレゼントを初めて人にあげたのだけれど、向こうは何も用意しておらず、すごく気を遣わせてしまった。
浮かれすぎた。別に、別に良かったのだけれども…!!
あ、これ違うって帰りの電車で認めることができた。

⑧ 短歌になっていた
これは別の媒体でも何度か言ったことがあるのだけれど、初めてできた恋人が歌人だった。
付き合い始める前の段階で歌にされていた。もう浮かれていたので私はのんきに喜んでいたのだが、別れ際も歌にされた。ひどい別れ方だったと記憶している。ほとんど一方的に、かつ不誠実な理由で。
歌にされて、それも連作で、ネットプリント可にされて、しかも文学フリマで無料配布されていた。無料。テイクフリー。
私はわざわざセブンイレブンで印刷してみたのだけれど、本当に嫌だった。本当に嫌だったのにプリントしてしまった。しかもあんまり良い歌ではなかった。未だに許せない、と思っている。

⑨ できるだけ一緒にいた
本当に心配で、できるだけ一緒にいた。別にそんなに弱い人ではなかったと思う。
バイトをすごく頑張っていて、私はそれができないから心配だったのだとも思う。だけど、突然やりたいことを諦めた風に見えていたから、できるだけ一緒にいようと思った。
よく一緒に鍋をつくったり、たこ焼きを焼いたりした。
できるだけ頼ろうと思って無理やり頼っていたところがある。でも頼られると嬉しそうだったから、私も助かったし本当に一緒にいてよかった。
恋愛だと思って好きだったわけではないかもしれない。でも私としては本当に好きだった。

⑩ スピリチュアルだった
スピリチュアルな人だった。武道の動画を見せられて、神秘的だよね……と共感を求められた。風の時代の話を積極的にされたりもした。
本が好きな人で、よく本の話をしてくれた。僕が好きな本も多分読んでくれたと思う。
お花のサブスクに入っていて、一輪だけお花をくれたことがあった。最後に会ったのがその時で、少し嬉しかった。最後まで不思議な気持ちだったけど、多分好きだったのだと思う。何が好きだったかというと顔がすごくタイプだった。いつも灰色のスウェットを着ていた。ミニマリストだったのかもしれない。



aikoと同じ精神性で生きているので、恋がとても多いです。同じ人で別エピソードを書いているパターンもあります。
ふとした時に好きになってしまうこととか、思い返すとあれは恋ということが、たくさんあります。
多分書くと無限にあるのでまた書きたくなったら書きます。キモすぎると思ったら消します。流石にキモすぎる気もします。

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