(読書&ドラマ)初恋、ざらり
初恋、ざらりとは
テーマは、「軽度知的障がいの女性の恋」
見どころと魅力
漫画、ドラマともに見どころは、障がいのある当事者とまわりのひとの様子をリアル伝えていることです。
また、主人公が『成人』であることもポイントです。
またわたし自身に境界知能&自閉症の子どもがいることにも関係するとおもいます。
漫画とドラマ
原作のあるものは、その世界観と乖離してしまいがちですが、ドラマ「初恋、ざらり」は完成度がとても高く、乖離度は少なめです。
原作漫画の「アリサちゃん」も「オカムラさん」もあざとさがありますがドラマでは、おふたりともとてもピュアな印象でふたりのかわいさが増しています。
ドラマの脚本家さんと演出家さんの手腕もすばらしく、原作へのリスペクトをひしひし感じることができます。
作品独特の「ざらり」感は、漫画のほうが伝わるように感じましたが、
それは、漫画特有の、読み手にゆだねられる余白があるゆえとおもいます。
一方ドラマならではの良さもあります。
補うエピソードを演出でふくらませており、
全体に淡いイメージの仕上がりは、観ている側をキュンキュンさせます。
またそのほかの登場人物を活かして、ふたりだけの物語にしていないところも好印象です。
登場人物
1 アリサの母
アリサ母。
ドラマ版と漫画版でキャラが少し違いますが、ドラマ版の「アリサ母」は、スゴイひとです。
しかしながら
そのスゴさは、視聴者に伝わりにくいかもしれません。
彼女の、子どもを信じ、真の意味で自立させようとしていること。
(危険が伴うことも、黙認する強さ)
障がいがある子どもに心配のあまりつい口出し手出ししがちなわたしゆえ、アリサの母の、【干渉しない姿勢】を見習いたいとおもいました。
2 オカムラさん
オカムラさんは、アリサの恋人で35歳です。
アリサにメロメロなのですが、、
これ、見方変えるとアリサが「ペット」のようではないですか?
またアリサから障害告知を受けてからのオカムラさんの思考の変化。
これ、「我が子に障がいがあるとわかったときの 保護者の目線や思考」とわりと近いんですよね。
「受容する」ということが、いかにむずかしいことかが、伝わるとおもいます。
オカムラさんは、おそらく長いこと恋愛から遠ざかっており、恋愛経験も少ない方だとおもいます。
正義感もありますが、自己愛も強く、『人間臭いひと』でわたしは、好感が持てます。
障がいと療育手帳
アリサの「普通になりたい」という願い。
対して「療育手帳」が取り上げられるていることに注目したいです。
各種手帳についての説明は割愛させていただきます。
あくまで、当人のとらえ方にもよるとおもいますし、障がいの種類や程度により、持つことがマストな場合もあるとおもいます。
だけど当事者も家族も悩むことが実際あるんです。
【子どもたっての希望】で手帳を返還したご家庭を知っていますし、
わたしの家では、本人の希望や状況で決めることにしており、いまだ未申請です。
デリケートな手帳をただしく表現され、提起されたことを高く評価したいです。
普通と環境をめぐって
アリサは手帳を返還することで「普通」を手に入れたいと考えます。
それほどまでに負担に感じるという真実に胸が痛みます。
環境が発達障害の軽減につながることもありますし、
障がいがある子どもには、いろんな場面で親がロールモデルになることがあるとおもいます。
逆に言うと、
環境に恵まれなかったり、モデルがない場合、育ちながら必要なことを自然に習得することがしにくいんです。
アリサの家事能力、経験不足のなさは、アリサ母が生活者としての能力が低く、機会が乏しかったからとも言えるとおもうのです。
また軽度の知的障がいの場合、相手の態度や言葉で、がんじがらめになったり、追い詰められていくことがあります。
ドラマでは、アリサが【人からの言葉】に影響をうける様子が描かれていましたが、これもまたわたしと子どもにも身に覚えがあることでした。
最後に
漫画、ドラマともに「初恋、ざらり」は、すばらしい作品であることは間違いありません。
正直申し上げて、わたしは「障がい」ものが苦手で、嫌いです。
ですが、心からおすすめしたい作品です。👏
最後までお読みいただきありがとうございます。
おしまい