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小ボケはライフハック?


新たに勤める会社の入社初日に、盛大に寝坊をかましてしまい、気が付いた時には11時、どうやって言い訳しよう‥‥という夢を見て起きた。あ、そっか、今日は入社初日ではない‥‥と安堵しつつ、超絶焦った。

実家のLINEグループでは、いつも「おはようございます」という挨拶を送り合って生存確認する習慣がある。いつものように挨拶をしつつ、夢の内容と、焦った〜、と書き加えた。

ちょっと聞いてよ〜、おぉ怖い怖い、と誰かに言いたかった。

そうしたら、両親からマジレスがきた。

「正夢にしないように、今から定時に起きるようにしないとね!」

「脳科学的に、絶対に遅刻してはいけない時に、遅れてしまう人がいるらしいよ。気をつけてくださいね。」

こうして文字に起こしてみると、いい大人になってまでこんなこと親に言わせて何やってんだって感じだ。私は甘やかされている。こういう風に言われるということは、前科があるからなのだ。

それだというのに、こじらせまくっている私は、そのLINEを見た瞬間腹を立てた。「なんでいちいちそんなこと言われないといけないの?」と。
いや、親の話しは正論だ。仕事をしていなかろうと、休みだろうと、定時に起きた方が絶対に良い。だけど、笑って「それはやばいね」程度に返して欲しかったのだ。

送らなければ良かったと思った。なんでこんなくだらないことで嫌な気分になってしまうのだろう。こうなることも予想せずに寝ぼけ眼で無邪気に送ってしまったことを後悔した。

すぐに返信したら、冷静さを欠いて暴言を吐くか、無愛想な返信をしそうだったので、時間を置くことにした。

数時間が経ち、家族LINEを開いてみた。やっぱりなんて返信すれば良いかわからなかったので、スタンプで返そうと、スタンプのページを開いた。そしてスタンプを眺めながらふと、そうか、ボケれば良いのか、という考えが浮かんできた。

クマちゃんが驚いて「ガビーン」みたいな顔をしているスタンプと、お布団をかけてスヤスヤ眠っているスタンプの2つを投下した。

投下してみると、これがボケるってやつか?とひとり自惚れて楽しくなってきた。モヤモヤする出来事も、ただイラつくのではなく、自分で自分のご機嫌を取って、小さくボケ倒していけば楽しい気分になるのかもしれない。
これに対して、「眠るんかーい」と軽くツッコんでいただければワハハで終えることができる。
これだ。これは今後もライフハックとして使えるかもしれない。

私はひとり、興奮していた。



今まではボケもツッコミもオチも意識して会話したことがなかった。大学時代の友人の多くは関西人だったからか、そういう感じで喋る人が多かったが、私はお笑いを殆どまともに見たことがなかったし、興味も薄かった。そういう笑いに抗っているのだ、無関係なのだ、みたいな変な矜持めいた精神でいた。(ボケツッコミをしている友人をただ眺めているのはとても面白かったが、自分がその会話に入っていかなければならないのがプレッシャーだったのだ。)

芸人さんは「笑われるのではなく笑わせろ」の人たちだと思うのだけど、私は大体、単に笑われていじられていただけだった。いじってもらえると仲間に入れてもらえたみたいで嬉しかったし、でも度が過ぎるとプライドがウズウズしてムカついていた。意図してボケていたわけではないからだろう。

それが最近『だが、情熱はある』というドラマを通して、苦労して自分たちの笑いのスタイルを見つける芸人さんの生き様、それをモノにしようとする俳優陣の情熱を目の当たりにして、お笑いって面白いのね、とか、笑うことってこんなに幸せ物質が出てくるのか、と感じることとなった。

ドラマ自体に感動してしまい、人生をサバイブする為の精神的な面でかなり救いを感じ、オードリーの若林正恭さんのエッセイを読み進めているところだ。

スタンプごときで、たいして面白くないのにその程度でボケだなんだと偉そうに語るな、とお叱りを受けそうだが、ボケがどうのと言い出すくらいには影響を受けているようだ‥‥。



結果、LINEは見事に既読スルーで終わった。

そして翌日目を覚ますと、時間は11時近かった。
呆れてものが言えない。

スヤスヤ眠ってないで、毎日定時に起きる習慣をつけましょうかね。どうか正夢になりませんように。おぉ怖い怖い🧸

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