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Google UX Design プロフェッショナル認定を修了した話

ユーザーエクスペリエンスデザイン、和訳すると”利用者の体験設計”でしょうか
これは色々な会社が取り入れている顧客体験を設計する考え方で、Googleもその一つ。なんと講座まで作っていて、一通り勉強してかけ出しのUXデザイナーとして仕事できる状態にまで持って行ってくれる内容ですので受けてみました
講座はCourseraというオンラインのプラットフォームを使って勉強が進みます。毎月固定費用のサブスクリプション的なコストがかかって、だいたい4500円/月くらいです


背景

私はこれまで電気回路やソフトの設計から始まって日米の現場で設計や商品開発のリーダー的立場や商品企画を長く担当してきました。ものづくりの会社での経験が主なので昔ながらの会社の中でしか通用しない感じのスキルも多いです
10年ほど前から管理職やってるのでさらに使えないスキルが増えた気がしますが、ここ数年は中堅〜若手の皆さんとUXデザインに取り組んでいます

講習を受けたり本を読んだり、みんなと実践して振り返ってみながらユーザーを中心に置いて考えることは、自分やユーザーを客観的に見ることができたり、彼らにとっての価値を常に意識できるので楽しいです

UXデザインって?

UXデザインですが、すごく簡単にいうと、私のいるようなメーカーにとっては商品企画機能をものすごく強くするための考え方だと思います
あとはユーザーとのコミュニケーションも体験と定義できますし大事なことだと思いますが、ものづくり色が強い企業はこういうのが苦手なので頑張ろうとしても壁だらけです。決してあきらめてはいけないのですが先手としてはモノを磨いたほうが手っ取り早いので学んで実践がやりやすい気がします

私のようなおじさんが学んでも大きな意味があると思いますが、比較的若い人が学ぶとこれからのキャリアでとても便利な考え方だと思います
上にも書きましたが、常に利用する人を中心に考えてモノやサービスを作っていきます。考え方の流れとしては以下のような感じです

UXデザインのプロセス紹介

1 課題発掘:
ここでは、誰のどんな課題を解決するのか決めます
利用者が嫌なこと、嬉しいこと、話を聞いてみるなどして発掘して図に落とし込んでいきます。どの問題を解決すると一番効果があるか決めていきます。いろいろな人にインタビューしてよく話を聞いて共感することがとても重要と言われています。つまりユーザーの立場になって考えることですね

2 アイディア出し:
ここでは課題をどうやって解決するか案を作ります
課題解決方法をいろいろな手法を使って試していきます。Google(というかアメリカの方)らしいおバカなアイディアもバカにしないところが良いです。とにかくたくさん出すこと、ブレインストームの練習にもなりますし、その中から使えそうなものを選んでいきます

3 試作:
ここでは解決案を試作していきます
出したアイディアをまとめて試作します。この講習では課題解決のためのスマホアプリやWebサイトを作ります。最初は紙の上にペンで書いていくのですが、サクサク作ることが大事。良さげなところをピックアップしてデジタル版を作って動くようにしていきます

4 テスト:
作った試作版をテストします。実際は試作もいくつか段階があってその途中でもテストします
UXデザインではユーザーにテストしてもらうことを大事にしていて、実際に試作したものを使ってもらい意見や行動を分析して製品に反映します。それぞれのステージで何度もテストします
最近のツールはとても安価で優秀で、この講習ではFigmaとAdobe XDを利用してアプリを試作しました。この中ではFigmaがとても便利で気に入っています

ものすごく簡単に書くとこういう流れで課題を解決していきます
アプリだけでなく、お仕事の課題について解決することもできるのかなと思います

実際の講義内容紹介

全体で7個のコースに分かれていて、全てオンラインかつ英語で進みます
毎週10時間やれば半年で終わる目安と書いてありますが私は倍以上の時間がかかりました
講義は主に動画と説明の読み物で進み、ところどころにクイズがあり一定のスコアで突破する必要があります。また、毎週なんらかの課題があり12問ほどのテストかワークで作成した資料を他の受講者と採点しあうものもあります

例えばこんなUI画面の案も他の受講者にチェックしてもらいます

けっこうしんどいです(これは50歳のおっさんだからかもというのもあるけど)
12問テストは講義の内容をしっかり覚えていないと答えられないですしワークはちゃんと作らないと世界のどこか他の場所にいる他の受講者が採点するので見てもらえません
これら全てを英語でやります

なので普段の仕事の傍らで行うのはかなりのエネルギーが必要になって、うまく進められない時期もありました。週に10時間確保って、自転車の練習の時間とそんなに変わりません
趣味の自転車が健康の問題でできなくなった時期にうまく時間を取って進められたのが修了できた背景の一つかもしれません

紙にペンでささっとUI案を描く演習も多々あります

実際にアプリ作ったりテストするだけでなく、後半はUXデザイナーとして就職するための準備やフリーのUXデザイナーで働くための内容もあったりしてアメリカの講義らしいところもあります
自分のこれまでの仕事を紹介するPortfolioという資料やサイトも作りました

講義に登場する講師はGoogleの方が多いので、Googleでの採用についても理解できますし、世界を相手にこういうお仕事をしてみたい人はこの講義は参考になることが多いと思います。本当にいろんな経験を持つ人たちが関わっているんだなと
というのも、当然ですがこの講義は世界中の人々が受けることができるのでより広く学びや就職の窓が開かれているということを意味します。ライバルは世界中にいるということです

受講のコツ

  • 全てメモを取る。私はEvernoteを活用してポイントを全てデジタルで記録しました。サクッと調べたい時に検索できないとかなり厳しいのでノートのデジタル化は絶対必要でした

  • 成果物の管理を効率よく行う。FigmaやGoogleのツールを使うのでオンラインで作れますが、ローカルに落としてどこに何があるか分かりやすくしておいた方が良いです

  • 時間作り。一日30分くらいしか取れないことも多かったですが動画を見るだけなら比較的楽なのでコツコツ進めたいところ

成果物紹介

私の受講の中で作ったものを紹介します

Portfolioサイト
勝手にMKデザインという名前で成果物を紹介しています。偉そうなことばかり書いていますが、アメリカでの就職のメンタリティは「俺できるので雇うといいと思うよ!こんなことできるので見てよ!」なのでそういう感じですw
3点のアプリやWebサイトがありますので興味があったら見てください

実際このサイト、Webブラウザで作れるので便利ですがフルスペックの高機能なもの使っちゃってて、有料なので9月いっぱいで閉じるつもりです
せっかくなのでスクショいくつか貼っときます

こういうサイトに上げた資料を見てもらって就職のインタビューにつなげますのできっちり作ることはとても大事なことですね。まずはこういうのがちゃんと作れるかとういうのがUXデザイナーとして働く最初の挑戦だと思います

Welcomeページ
私が作ったアプリの紹介部分というかリンク
作業内容の紹介
ペルソナも作ったよ。名前は有名人パクってるけど

試作アプリ
どうやったら使いやすいものになるのかという視点で作ったものです。UIだけですが何度も試作やテストを実施してここに至っています

  1. ワクチン接種管理アプリ リンク

  2. サンドイッチ注文アプリ リンク

  3. バイクショップのウェブサイト リンク

イラストやは海外の方に結構ウケます。かわいいと言ってもらえます

どれもツッコミどころ満載ですが、それぞれ学びながら作ったので当時の自分のレベルを反映していると思います。UI作る作業がほとんどなのでなかなかセンスが求められますね

ケーススタディ資料
それぞれのアプリを作成するプロジェクトの作業記録というかどういうプロセスを通ってきたか紹介する資料です。UXデザイナーとしてどこに着目して何をどうやって解決したかが紹介されます

< ワクチン管理アプリ >

< バイクショップのウェブサイト >

< サンドイッチ注文アプリ >

学びのまとめ

ここまでたくさんの資料を作るために多くの作業を行いました
まずはそれを作る過程でUXデザインの手法、デザイン思考の手法をたくさん学びました。これが大きな資産になったと思います

その中で常に意識することとして

常にユーザーが中心であること

これが最も大事だと思います

日本のものづくりメーカーではずっと前から顧客中心って言われていましたし当たり前だとも思いますが、実はできていないことです。心当たりありますよね?
常に競合を見て仕様競争したり売り場にどうやって押し込むかばかり考えて、実際の利用者を深く洞察して実は困っていることやこうなったら嬉しいことを発掘する作業を怠ってきたと思います

このような作業は時間もエネルギーもかかりますし、成功するとも限りません。数字で分かる性能が他社より少し良い方が誰にでも分かりやすいのはそうですが、その勝負をしていると多くの日本メーカーが陥った同軸競争にはまります。皆で同じ競争をして似たようなものしか作れなくなることです

成功するか分からないものに対するチャレンジ精神がとても少なくなっているのが日本の病気で、ちょっとした度胸ややり抜くガッツ(GRIT)、失敗要素を減らす努力などをしなければならないと思いますが、それができません。なぜなら、絶対失敗しない方法つまり”挑戦しない”を選んでいるから
これでは成長もしませんよね

イヤホンで大成功したApple AirPodsが分かりやすいですが、性能を気にしている人はごく一部で、あのイヤホンがもたらしてくれる音楽やその周辺の体験がどれだけ心地よいか、でAppleは勝負していると思います。iPhoneという強力なスマホがある上での勝負なので有利という面もありますが、それでも利用者のことを徹底的に考えたUXがあるなと思います
(私も買って利用してそのUXはいいなと思いましたがどうしても音質が苦手なので売却済ですw)

https://www.apple.com/jp/airpods-pro/

何を作って何を作らないか、そういうのを決めていくことのような気もします
まだまだ挑戦は終わらないですが、Googleとの学びは一段落したということでこれくらいにしておきます

もし興味があったらご連絡いただければ嬉しいです
UXデザインで一緒に世の中を良くしましょう!

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