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「培養肉」は地球を救うかも。。。「味の素、イスラエルの培養肉新興に出資」【日本経済新聞2022.3.10朝刊より】

1. いよいよ味の素が培養肉ビジネスに本腰を入れてきた

本日は、昨日の日経新聞の「培養肉」に関する記事を取り上げました。

◆味の素、イスラエルの培養肉新興に出資【日本経済新聞2022.3.10朝刊】

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この記事は、味の素が、培養鶏肉の開発や製造を手がけるイスラエルのスーパーミート社に出資したというニュースです。

味の素は、スーパーミート社の培養肉製造技術と、自社の発酵や食品製造ノウハウを組み合わせて培養肉の商業化を進めるとのこと。

動物性たんぱく質は需要が高まる一方で、環境負荷が大きいとして問題視されており、今後、植物肉や培養肉のビジネス機会は大きいとのことです。


2. そもそも培養肉とは?

最近、ちょくちょくテレビやwebsiteで話題になる「培養肉」ですが、一体どういうものなのか調べてみました。

「培養肉」とは、ウシやトリ等の動物から取り出した少量の細胞を、動物の体外で増やしてつくる「本物の肉の代用品」のこと。

2013年、オランダのマーク・ポスト教授が、世界で初めて培養肉でハンバーガーをつくり、試食会を開催したのが始まりのようです。

それ以降、世界中で培養肉への投資や研究が盛んに行われているようです。


話しは少し変わりますが、私の大学の卒論は、ランの細胞の培養における環境調節でした。

ランの細胞を分割して、無菌状態で栄養分や酸素を管理した培養液で培養すると、驚くようなスピードで細胞が増殖します。

増殖した細胞を次第に土に馴染ませて、ランの花を咲かせるという卒論でした。

今では、高級なランの一部は、このように培養されたものが市場に流通しているのではないかと思います。

培養肉は、考え方は多分、このランの培養とほぼ同じですね。

この技術が、動物の細胞で展開されているとは非常に驚いています。


3.イスラエルのレストランで

日経新聞の記事で味の素が出資したイスラエルの「スーパーミート」の「培養鶏肉」に関する話題を以下のwebsite↓で見つけました。

◆DG Lab『地球に優しく殺生無用の「培養チキン」 イスラエルで進む食革命』 (2021.7.9)

「スーパーミート」に隣接する「ザ・チキン」というレストランでは、ラボで育てた「培養チキン」を使ったハンバーガーやライスロールを試食しているそうです。

試食会は、この培養鶏肉が食品当局の認可を得るまで定期的に行い、利用者の反応を探っているとのことです。

試食した人の反応としては、「見た目は鶏肉だし、味も鶏肉だ。知らなければ、普通のチキンバーガーだと思ったでしょう」ということで、ほぼ鶏肉を再現しているようです。

レストランの窓から見えるスーパーミートのラボで、技術者がステンレス製の発酵用の大だるを見守っているとのことです。

一連の工程には、ニワトリの卵から取り出した細胞の培養が含まれ、タンパク質、脂肪、糖類、ミネラルやビタミンを含む植物由来の液が、細胞培養に使われるようです。

細胞の成長が早く、ものの数時間で倍に育つという。

この技術を商業ベースに乗せるために、味の素の発酵技術を応用して、培養スピードを飛躍的に上げることになるのではないでしょうか。

今後の味の素とスーパーミートとの技術開発の進展が非常に楽しみです。


4.今、なぜ培養肉が注目されているのか

スーパーミートの開発状況を見ると、商業化のためには、もうしばらく時間を要しそうな感じです。

そこで、素朴な疑問として、今、なぜ培養肉が注目されているのか、培養肉のメリットは何なのかを調べて見ました。

以下のwebsiteに分かり易くまとめていましたので、ご紹介します。

◆科学技術振興機構のサイエンスポータル『楽しく悩んで、食の未来を変える ~「培養肉」研究の最前線~』(2019.10.24)

注目されている理由は4つだそうです。

それに加え、それぞれの理由に、私なりにSDGs目標とターゲットを当てはめてみました。

1)人口増加、食料増産への対応

・1キログラムの牛肉を作るのに、25キログラムのトウモロコシと2万リットルの水が必要という生産効率の悪さ。

【関連するSDGs目標】
・2 飢餓をゼロに(2.1飢餓、2.2栄養不良、2.3農業生産性及び所得、2.4持続可能な食料生産システム)

2)環境問題

・食肉増産のために必要な放牧地確保のため、違法な森林伐採が行われる。

・家畜の糞尿から排出される大量のメタンガスは、地球温暖化に悪影響。

【関連するSDGs目標】
・15 陸の豊かさを守ろう(15.1 陸域生態系と内陸淡水生態系、15.2 森林、15.4 山地生態系、15.9 生態系と生物多様性)

・13 気候変動に具体的な対策を(13.2 気候変動対策)

3)安全性

・培養肉は、衛生的な環境でつくられるため、人体に危険を及ぼすバクテリア等の付着リスクがない。

【関連するSDGs目標】
・3 全ての人に健康と福祉を(3.d 世界規模での健康危険因子の早期警告)

4)倫理の観点(フードロス)

・動物の生命を奪ってつくられた食肉のうち、かなりの量が賞味期限切れなどの理由で食べられることなく捨てられているという「フードロス」の問題。

【関連するSDGs目標】
・12 つくる責任 つかう責任(12.3 食品ロス)

これに加え、もし、技術が確立されれば、大都市等の消費地近くで生産することができ、輸送のためのCO2発生や物流費を削減できると思います。


5.まとめ

❶「味の素、イスラエルの培養肉新興に出資」という記事から培養肉に着目した。

❷スーパーミートの技術は風味・食感的には、かなり完成に近いようである。

❸商業化のため、味の素の発酵技術等により、培養速度を高める開発が今後行われるようである。

❹培養肉のメリットとしては、①人口増加、食料増産への対応、②環境問題、③安全性、④フードロス削減が挙げられる。

❺今後、培養肉の開発により、SDGsの目標のいくつかも達成できる可能性があり、非常に楽しみな技術である。


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