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【コスト❷】コスト削減で創出した利益を企業のサステナビリティに活用しよう!

前回のコスト❶では、バリューチェーン思考を通して、企業の各プロセス(例:開発→購買→生産→物流→販売)を通して価値を付加して、最終的な価値をお客様にお届けするという考え方であることを説明しました。

即ち、企業のコスト削減において、お客様の「満足維持または向上」に念頭をおいて進めることの重要性をご理解頂いたのではと思います。

今回の投稿では、創出された利益の使い方について、提言します。

1. 企業は利益を創出して拡大再生産を続けて来た

VUCAの時代に突入する前までの企業は、成長することが最も重要な使命であったため、コスト削減で生み出された利益は、当然のように
❶新商品開発の研究開発費
❷新事業への投資
❸事業規模拡大のマーケティング

を中心に当てられてきた。

企業の成長は、もちろん重要である。しかしながら、これからは、企業のサステナビリティを考慮した利益の使い方が必要です。

2. コスト削減で創出した利益の新たな使い方

これは、あくまでも私の提言であるが、コスト削減で創出した利益を、企業が社会的な役割を果たすために、意識的に使うことができないかということです。

キーワードは、「従業員」「お客様」「地球」です。

それは、なぜか? 次章より、一つひとつ説明していきます。

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3.「従業員」が安心して働ける職場の提供

企業は、安定して雇用を創出し、その地方を活性化させる役目を持っています。私は、それに加えて、雇用した従業員(および関係企業の従業員、訪問者等)の労働安全と健康の維持が企業にとっての重要な使命だと思っています。

厚生労働省の「令和2年の労働災害発生状況」が公表されていますが、2020年1年間で休業4日以上の死傷者数は約13万人(うち死者は約800人)と2002年以降で最多となっています(但し、死者は3年連続で過去最低)。

そういった中で、製造業なら設備に安全装置を付ける、製造業以外でも営業車に自動ブレーキシステム等の安全装置を付ける投資を企業として積極的にやって行っては如何でしょうか。

4.「お客様」の満足

2000年以降、企業はお客様の満足は何かというテーマを追い続け、常にターゲットとするお客様が求める商品を開発し続けて来ました。しかしながら、ヒットする商品でも寿命がどんどん短くなり、企業は新たな商品を次々開発し導入し続けなければならないのが現状となっています。

上述の商品開発は引き続き行っていかなければならないと思いますが、一方では、「クレームを出さないこと」「お客様の安全・安心を保証すること」にももっと力を入れていくべきだと私は考えています。

「クレーム」を出すことにより、企業の信頼が損なわれます。更には、お客様の安全・安心を損なうような商品(自動車なら安全装置の不具合、食品なら微生物の混入等)があれば、企業自体の存続が危うくなる場合もあります。

そういう意味でも、クレームや不具合を出さないようにするための設備、人(教育)、品質保証体制(仕組み)に投資をすべきではないでしょうか。

5.「環境」保全

2015年に発行されたSDGsも日本において徐々に浸透して、環境保全を考えない企業は淘汰される時代がやって来ました。

企業は、商品のライフサイクル(原料、輸送、生産、商品、物流、使用、廃棄)全てに環境を意識した開発が求められています。

例えば、海外の植物原料を輸入する場合、それらが環境保全を阻害していないか(例えば、農地確保のための森林の伐採水の大量使用による環境破壊等)を調査しなければなりません。また、使用している機械をより省エネルギータイプに切り替えるとか、廃棄物を適正に管理しリサイクルするとか、環境に対する確実な対応が必要となって来ます。

6.「安全」「品質」「環境」に投資するメリット

実は、「安全」「品質」「環境」に投資をすると、コスト面の多くのメリットが享受できることをご存じですか。

【安全】
製造業で、いざ労働災害が発生すると、関連する生産ラインを全て止めて、原因追及し対策がなされるまで、生産ラインがストップしてしまいます。その時のロスをコストに換算すると、実は非常に大きな損失になります。

無災害は、生産ラインの効率化の一番の特効薬なのです。

【品質】
これも製造業の事例ですが、生産ラインで確実な品質管理ができていないと、クレームが発生し易くなります。その結果、労働災害と同じように、生産ラインを止めて、クレームの原因を明確にする必要があります。

また、品質の振れが大きくなると、生産ラインの効率が著しく悪くなると同時に、ロスが増えることになります。

即ち、「品質」を一定に保つことが、生産効率を飛躍的に高めることになります。

【環境】
環境保全は、コスト削減の宝庫です。

省エネルギー、パッケージの軽薄短小化物流の効率化等、環境保全をコスト削減と紐づけることにより、大きなメリットを得ることができます。

また、最近は、環境に配慮した製品は、お客様にしっかりアピールすることで、売上をアップさせる可能性を秘めています。

7.まとめ

❶企業は、コスト削減で創出した利益を、意識的に社会的な役割を果たす活動に投資することを提言する。
❷「安全」「品質」「環境」に投資をすることにより、社会的な役割を果たしつつ、企業にとってのメリットを享受できる。
❸企業が「安全」「品質」「環境」の活動を推進することにより、最終的には、新たなコスト削減に繋がって行く。


以前の動画の投稿で、「企業の価値創造の3つのステップ」について説明しました。

その中で、今日は、下図に示したステップ1ステップ2の関係について簡単に言及しています。

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ところで、「安全」「品質」「環境」の活動を推進していくには、ISOのマネジメントシステム(ISO45001、ISO9001、ISO14001)をうまく活用すると非常に効率化・有効化を図ることができます。

後日、ISOの活用について、詳しくお話したいと考えています。


企業のコスト削減に関して、今回説明した「安全」「品質」「環境」活動との関わりをもっと知りたいと思われた方は、下のメールアドレスにご連絡下さい。
mikiya.inaki@gmail.com

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