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乳がんの妻 パニック障害の僕

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#夫婦

#6 新型コロナではなかったが・・・

#6 新型コロナではなかったが・・・



 僕は今回を含めて2度救急車で搬送していただいたことがあるが、毎回野次馬が出てくる。
 前回も今回も、救急車が到着する頃には症状がやや落ち着いてたりするのだが、「もう大丈夫ですから帰ってください」とも言えず、よく調べておいてもらうためにも救急車に乗る。やや朦朧としていても周囲の状況は把握できており、どこの家のオバハンが出てきたとかは覚えている。

 心は弱っていても脳はハッキリしてるので、薄れ

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#5 待機中の不安

#5 待機中の不安



 2020年2月のダイヤモンドプリンセス号のニュースを見てるときは「乗ってる人ら、たいへんやな。金持ちじゃなくて良かったわー」と、まだまだ他人事だったのだが、4月に世界中の都市でロックダウンが始まったニュースを見ていたら、子どもの頃にみた小松左京原作の映画「復活の日」を思い出した。

 世界中でウィルス感染が拡がり、あらゆる生命体が絶滅していくという小松左京が1964年に書き下ろした小説を19

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#4 手術室へ

#4 手術室へ



子どもたちが生まれてから、徐々に二人でいる時間も少なくなり、僕は仕事仲間と、妻はママ友と過ごす時間が多くなっていた。
家庭内別居というほどのものではなかったが、それぞれの時間に干渉することもなく、必要な事以外での会話も少なくなっていた。
そもそも妻と趣味嗜好が違い、僕は好きなバンドのライヴへ一人で出かけたり、妻は子供たちとジャニーズのライヴへ行ったり。

妻は大学の後輩で、付き合いはじめた20

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#1 ステキな部屋

#1 ステキな部屋



間接照明で照らされた天井、バストイレ付きの18階の居心地の良い部屋。
ジオラマのような大阪の街並みをを一望できるこの素敵は部屋はホテルの一室ではなく、ある総合病院の病室である。