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【短歌10首連作】短夜を焦がす

2024/5/19(日)に発行した「性愛」をテーマにした短歌アンソロジー『性愛短歌アンソロジー Utopia for U』に寄稿した連作の再録です。

みじかを焦がす


白桃のごと剥きだしの吾になる麻縄でかき抱かるるとき
 
縄締まり声を漏らせば耳元であなたしづかに嘲り笑ふ
 
目隠しの闇にぼろんと三味線が響く 吊り縄きしんで鳴くも
 
この音に震へるようになったねと軽くばちで頬をなぶられ
 
たるれば花火が上がる ひりひりと夜空を焦がし散りゆく花火
 
足指の間を縄は滑りゆき解かれたあとの眩しさ 驟雨
 
しんと静かな林に入る心地せりあなたの黒い髪に包まれ
 
くちづけるふりして噛まれ、いつまでも鎖のやうな味が消えない
 
夏の果て 女王様てふ異名もつをんなに附いてゆけたら遠く
 
終電はもう疾うになくなわあとがネオンにあかく照らされてをり

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