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プロへのボーダー

オーストラリア5年目

今日も今日とてファームにてブルーベリーを取り続ける。


仕事内容はひたすら単純作業。ブルーベリーの木がどっさり生えた一列に二人が入り、一方は片側から、もう一方は別の側から成っている実をただ取っていく。

矢印のあるところに人が入っていく

作業スピードは人によって異なるため周りの人と距離が空くこともあるのだが、同じくらいのスピードの人が近くにいると会話しながら作業することもよくある。


今日一緒に作業をしていたのが、僕よりやや年上の男性の方。

オーストラリアに来たのが今年の5月。

ワーホリが可能な年数もそれほど長くはないが、とりあえずセカンドビザを取るためにファームで過ごしているのだという。

日本では長い間野球をしていたというこちらの方。僕は小学校にソフトボールを少々嗜んでおり、野球もそれなりに好きであるところからその話で盛り上がった。

高校野球、プロ野球、パワプロ…一つの競技でもアングルを変えればいくらでもネタはありそうだ。


その方は高校の頃にはプロを目指していたらしく、実際に球団から声をかけられるようなこともあったんだとか。

だが、最終的に諦めざるを得なくなったという。


選手生命が断たれるほどの、大きな怪我をしてしまったそうだ。



学生時代に出会った友人でも、そんな人間を一人知っている。

東京の高校で野球を続けていたピッチャーの彼は「左腕の怪物」として知られており、プロチーム入団は周りから見ても明らかだったそうだ。

しかし、高校在学中に肩を壊すことに…

現在は他の道で名が知れている彼だが、ショックは相当なものだったに違いない。


一年ほど前にオーストラリアの別のファームで出会った友達。

京都の福知山成美にてピッチャーとして活躍しており、彼もプロを目指して野球を続けていたのだが…

あることがキッカケで退部せざるを得なくなり、プロの道を諦めることに。


フィジカルスポーツで食っていくためには、それ相応の実力がないといけないことは間違いない。

だが、実力があっても不慮の事故や様々な事情でそこまで手が届かなかった人たちというのも、五万といるのだろう。


そこに入れる人と入れない人とのボーダーは何なのか。


「運」とだけで片付けるのはあまりにも残酷なように思える。



そんなことを考えつつも、その人とは野球のバットの話だけでなく、下のバットの話もするなどしてゲラゲラ笑ったのであった。

現在の生活には満足しているとのこと。

今が楽しそうで何よりです(謎目線)。


P.S.
済美負けたんか。残念


【本日聴いたアルバム】
「脳みそショートケーキ」 つしまみれ
「燦々」 カネコアヤノ
「春と修羅」春ねむり


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