起きちゃった結婚から考える出会いの現象

出会って1ヶ月で結婚することを決めた二人

「思うにわれわれの結婚はさ、」
「うむ」
「起きちゃった結婚だったのでは」
「なるほど」

出会いから結婚までのプロセスは
『する』『される』の世界ではなく
『生じる』に近い現象のよう。

結婚の申し出をした当日の朝も、
「あ、今日、自分は言うのか」
みたいに、気がつくような感覚だった。

結婚する予定はまったくなかった。
当時は電気屋の3階に住み込んでいたし
貯金もしていない

そんな自分が結婚することになって
「さて、これからどうしたものか」と、
起きたことに対して考えるという順序

思えば、
仕事に関しても近いものを感じていた。

自分の仕事を『作る』というよりかは
出会った人との間に『生まれる』
という表現のほうがしっくりくる。

『ああしたい』
『こうしたい』

という人の意図では動かない世界。
他者と出会うことで自然に『生じる』現象。

『〈出会い〉の現象学的分析』という論文を出したイタリアの精神科医フランコ・バザーリアは、

"出会いとは、ある直感的な関係性であり、そこにおいて医者と患者それぞれの単一性は溶解し、二つの単一実体の手前にただ一つの何かを形成するのである"

と言っている。

余計な力が入ってない関係性は、
思いがけない速度で
予想もしない展開で
スルスルと育っていく。

では、どうすれば出会えるのか。
出会い自体は、タイミングであり、縁。
人は出会いをコントロールできないー。

「だから、筋トレするのか!」

妻がなるほど、と手を叩く。

「自分がコントロールできることに力を入れるってわけね。」

そう、ですね。

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