[英詩]Louise Glück, 'Love in Moonlight'
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英詩のマガジン の本配信、今月3本目です(英詩)。
今回は、2020年ノーベル文学賞を受けた米国の詩人ルイーズ・グリク (グリュック) (Louise Glück, 1943- ) の第6詩集 𝑇ℎ𝑒 𝑊𝑖𝑙𝑑 𝐼𝑟𝑖𝑠 (1992, 下) に収められた詩 'Love in Moonlight' を取上げます。同詩集は1993年の Pulitzer Prize for Poetry を獲得しました。
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本マガジンでは、これまで4回、Glück の詩を取上げています。
[英詩]Louise Glück, 'Nostos' (詩集 𝑀𝑒𝑎𝑑𝑜𝑤𝑙𝑎𝑛𝑑𝑠 [1996])[2020年11月]
[英詩]Louise Glück, 'Hesitate to Call' (詩集 𝐹𝑖𝑟𝑠𝑡𝑏𝑜𝑟𝑛 [1968])[2021年1月]
[英詩]Louise Glück, 'The Magi' (詩集 𝑇ℎ𝑒 𝐻𝑜𝑢𝑠𝑒 𝑜𝑛 𝑀𝑎𝑟𝑠ℎ𝑙𝑎𝑛𝑑 [1975])[2021年5月]
[英詩]Louise Glück, 'Pietà'(詩集 𝐷𝑒𝑠𝑐𝑒𝑛𝑑𝑖𝑛𝑔 𝐹𝑖𝑔𝑢𝑟𝑒 [1980])[2021年7月]
最後に取上げてから少し時間が空きましたが、その間に、日本では大きな出来事がありました。Glück の初の訳詩集、ルイーズ・グリュック著、野中 美峰訳『野生のアイリス』(KADOKAWA, 2021年9月16日、下)が刊行されたのです。
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この詩集はこれまで取上げていませんし、初邦訳ということも記念して、今回一篇読んでみようと思います。
異例ですが、今回は、邦訳を検討しつつ分析してみます。
英米詩の研究者は、人にもよると思いますが、ふつうは他人の翻訳は参考にしません。自分で解釈を確立した後なら、比較のために参照することはあるかもしれません。もちろん、研究史をふまえるという意図なら、先行する研究を検討することはあります。
今回、邦訳を検討する理由は、オンライン書店で、ある読者評があったからです。引用します(アクセス日時 2022年9月3日)。
翻訳についての具体的な指摘であり、何らかの検討を必要とすると考えます。そこで、本マガジンでは、当該の詩について、本マガジンとしての通常の分析をおこなった後に、その邦訳を提示し、上記の指摘も考慮に入れ、考察してみます。
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🔶 Love in Moonlight
次の詩テクストは、Louise Glück, 𝑃𝑜𝑒𝑚𝑠 1962-2012 (Farrar, Straus and Giroux, 2012) による。
Love in Moonlight
Louise Glück
Sometimes a man or woman forces his despair
on another person, which is called
baring the heart, alternatively, baring the soul—
meaning for this moment they acquired souls—
outside, a summer evening, a whole world 5
thrown away on the moon: groups of silver forms
which might be buildings or trees, the narrow garden where the cat hides, rolling on its back in the dust,
the rose, the coreopsis, and, in the dark, the gold dome of the capitol
converted to an alloy of moonlight, shape 10
without detail, the myth, the archetype, the soul
filled with fire that is moonlight really, taken
from another source, and briefly
shining as the moon shines: stone or not,
the moon is still that much of a living thing. 15
(注)
9 the gold dome of the capitol 米国の多くの州議会議事堂のドームは金色に塗られている(例——マサチューセッツ州議会議事堂、下)
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