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「アルコール依存症」の二次被害を知っていますか?

アルコール依存症は、一般的には長らく「アル中」という言葉で認知されてきていたし現状もその通りだと思う。
身の回りを見渡してみれば重度ではないにせよそういった気(け)のある人は思い浮かぶんじゃないでしょうか。
これを読む人達がどこまでその深刻性を理解しているかはわかりませんが、それぐらい社会に身近な依存症であり社会問題です。

WHOのファクトシートに基づく見解では「アルコール」は以下のような好ましくない結果があると結論づけられています。

・全世界でアルコールの過剰摂取の結果、毎年 300 万人が死亡しており、これは全死亡の5.3 %に当たります。アルコールの過剰摂取は 200 以上の疾病や傷害の原因因子です。
・障害調整生存年数(DALYs )で判定すると、 世界の疾病及び傷害負荷の全体の 5.1 %がアルコールに起因するものです。
・アルコール摂取は、比較的若年期の死亡や障害の原因となります。 20~39 歳年齢層の全死亡の約 13.5 %はアルコールに起因するものです。
・アルコールの過剰摂取と精神的行動的障害、 その 他の非感染性疾病、さらには傷害との間には、因果関係があります。
・最近では過剰飲酒と結核や HIV エイズのような感染症の発症との間にも因果関係が認められるようになっています。
・健康への影響だけでなく、アルコールの過剰摂取は、個人や広くは社会に重大な社会的経済的な損失をもたらします。

https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/alcohol/

この記事は具体的にアルコール依存症についての医学/科学的知識を学ぶ目的のものではないので詳細は省きます。
ある一定基準のファクトチェックを経ていない「見解」「個人的研究」は正しい情報といえず理解を誤らせるためです。
アルコール依存症の概要全般等は文末で理解に役立つWebサイトを記載するのでそちらを読んでみてください。

アルコール依存症について理解していますか?

「アルコール依存症についてどのように理解していますか?」
こう尋ねたときに多くの人は「常に飲酒している・酩酊している」といった漠然とした印象しか答えられず妥当な返事ができる人は少ないと思います。
理由として日本では教育の一環として正しい知識を学ぶ機会が少ないからでしょう。社会問題としての扱いが軽んじられているからだと考えます。

欧米のドラマや映画を観る人には馴染み深いかも知れませんが、ドラッグ依存症と並んでアルコール依存症に迫ったテーマのエピソードや丁寧にディテールを描かれた例を高い確度で目にすることと思います。

  • 例えば、アルコール依存症の主人公や近親者が失敗に苦しみ病院や教会主催の断酒会に参加したりセラピーを受け、それでも上手く続かずに失敗を繰り返してしまう。

  • アルコール依存症の親の元で悲惨な育ち方をして、犯罪者や歪んだ人格の主人公となってしまった背景が語られる。

    このように「社会の不都合の原因」として重く受けとめられ丁寧に描かれています。

なぜこの記事を書こうとしたか

なぜこの記事を書こうとしたか、理由をまず先にお伝えします。
わたくし自身はアルコール依存症ではありませんし現在は様々な理由で殆ど飲酒もしていませんが、父親が依存症でした。
成長過程や大人になってからも父親のアルコール依存症に起因するさまざまな問題に苦しんだ経験があります。
率直にいえば当事者はもちろんのこと近親者全員が不幸になります。
経済的な損失による不利益だけでなく人格形成的な不利益を「想像以上」に被ることになります。
どれだけ嫌なことか不幸になってしまうかを知ってもらうことで、この問題を自分事化してほしいという考えがあります。
ご自身が依存症の可能性があるなら、あるいは近親者がそうであるならば「人生を取り戻せる段階」で早期に治療に目を向けてもらいたいと思います。

アルコール依存症の多くは望んでなるもの

アルコール依存症の人の多くは「望まずそうなった」のではなく「望んでそうなった」ケースが多いです。
どういうことかというと、飲酒理由が「嗜み」ではなく自身が抱える問題から逃れるため意図しておこなっているからです。
依存症になる人達は、気が弱いから奮起するために、様々な悩みを酩酊して一時的でも忘れるために、身体の苦痛を痲痺させ忘れるために…など逃避目的で飲酒しています。
これは望んで摂取しているといえます。

アルコール依存症はほぼこうなる

摂取量と依存状態の深度は比例していて確実に進行増大します。
結果として、飲酒により心身不安(不調)が増加していくのでそれから逃れるために飲酒量は増えより悪い状態になります。
同時に言動や思考の異常から仕事やコミュニケーションが上手くいかず失敗を繰り返し孤立化し経済的にも追い詰められていくため飲酒量が増えます。
最終的にあらゆるものを失い不幸な死しか選択できない状態に陥ることでしょう。残念ながら例外はないです。

身近な体験で見たもの感じたもの

両親は飲食店を経営する自営業者でした。
酒類を伴う飲食業は店主・従業員がアルコール依存症に陥りやすい傾向があり、それは「酒のつきあい」によって顧客を得たり交流する機会が多いためと考えられます。
これは父のパターンで当てはまりました。
特に調理師職人でバブル期を経験しているため、酒にお金と時間を費やすことがステイタスやカルチャーであるかのような残念な認知を持った世代の代表です。
彼自身の精神的な弱さなども背景にありますが「飲酒=コミュニケーション」のような部分もあってハマってく流れがあり、その後は先に書いた通りの理由で深刻化します。

酒で繋がった友人や顧客は「同類」が多い

家庭で過ごす時間を犠牲にして仲間達との飲酒を優先してしまう。
気付くと過度の飲酒者の周囲には同類しかいなくなっている。
家庭で過ごす時間は短くなり親子の関係性はまず希薄になり、子は親の酔った/2日酔いの姿ばかりを目にすることになる。
心身ともに健全でたのしく酔えている状態は自他共に愉快かもしれないが、そうではなくなったときが悲劇である。

身近で見た光景

  • 自分の不幸を極度に恨むようになる

  • 他人の幸福を疎むようになる

  • 自分が上手くいっていない理由を外因(社会や他人)転嫁する

  • 被害妄想が強まっていく

  • 攻撃的で八つ当たりするようになる(言動・暴力などは個体差ある)

  • 失敗や非を認めない

  • 他人の意見を頑なに拒絶するようになる

  • 心身の状況が悪化していく

  • 経済的に追い込まれていく

  • 最終的に人間として破綻する

経験からいえること

実際にこういう現実を目の当たりにしながら子として育っていくと経験しなくてもいいようなろくでもない経験が積み重なるので、どう頑張ったところで早熟で屈折した人格に育ちます。
屈折度合いには個体差ありますが、非行に走り犯罪者になる人が多いというのも頷けるところです。また、後天的なサイコパスになるのも理解できます。
サイコパスの定義やそうなるプロセスは複雑なので気軽にいえませんが、異常化している親の機嫌を伺うことや火の粉を避けることを優先した生き方をしていくと結果として情緒や思考に普通にはない変化が発生するのは避けられないと思います。

幸運なことにわたくしは犯罪者にもサイコパスにもならずに済みましたが成長期にかけての人格形成には多大な悪影響を受けていますし、経済的な問題から結果として学習機会を失う経験をしたり、成人してからも親が残した負債に関する肩代わりをするハメになり、しなくていい苦労で年齢なりの呑気で楽しい時間を過ごせていません。
誰もこんな苦労はすべきではないです。これは大きな不幸です。

また、30代になって急激に泥酔者が許容できなくなりました。
たぶん、大人として「理解できない・許せない」という感覚が明確になるんでしょうね。
いま40代になりましたが、騒がしい飲酒の場(飲み会、居酒屋)が特に耐えがたいものになりました。
泥酔・酩酊している者を人間だと思うことは難しいです。
むしろ駆除・粛正すべき対象ではないかぐらいの憎悪感情を抱きます。

最後に

もし自身が、身近な人がアルコール依存症やその可能性があると気付いたなら、迷わずどんなに強引な方法でもいいので強制力のあるかたちで治療させるべきです。
少なくともそれで不幸は多少は抑え込めるんじゃないでしょうか。
アルコール依存症は自助努力で抜け出すことはほぼ無理だと考えています。
それは結果が示していることで、自助努力で依存症が治るのなら世界に依存症患者やそれが引き起こす不幸が溢れていることなんてないでしょう。
正しい治療方法で治すしかないと思います。
だから「お酒が好きだ」というひとを厳しく注視・監視して、異変に気付いたら素早く行動してください。そうやってアルコール依存症の人がひとり減ることでその周囲の人の不幸が緩和します。
それは社会を少しだけ良くする結果に繋がるでしょう。

参考になるWebサイト

減酒.jp(大塚製薬)
https://gen-shu.jp

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