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【経営学を学ぶ企画】第一章その4

挨拶

 予告通り、今回は株主総会の議決権等の仕組みについて解説になります。

株主総会の議決権とは

 前回、少し触れましたが、株主総会は株式会社の最高機関として機能しており、定款の変更や解散・合弁などの基本事項から株主の利益に関わる配当や取締役や監査役の選任と解任の権限も持ち合わせてます。わかりやすく言い換えると、株主総会の議決権は会社の運営方針を左右し、経営者の任命等の経営層における人事権があります

議決権の影響力

 議決権の影響力の強さは株式保有率で決まります。5%以上を持つ株主を大株主と言いますが、会社の規模によって影響力の差は支配力として現れます。。本シリーズその2でもやりましたが、議決権行使力を加えると以下のようになります。

私的所有(議決権を個人が80%以上占めてる)
個人が株式を80%以上保有

過半数所有支配(議決権を個人が50%以上占めてる
個人が株式を50%以上保有

少数所有支配(議決権を個人が5%以上占めてる)
個人が株式を5%以上を保有

経営者支配(議決権を個人で5%以上占めてる人がいない
個人が株式を5%以上を保有する者が不在

とみれば、わかるように株式発行数が増える、大きな会社では議決権で5%以上保有する大株主がいなくなることがわかります。そうした組織での課題は如何に経営者を株主の利益の為に動いてもらうかがポイントになります。

株式相互持ち合い

 かつて、日本の株式会社の株式の多くは安定株主と呼ばれる銀行、取引先、従業員持株会などの間で所有されてました。会社同士で株式の持ち合いをすることで第三者への売却を防ぐ効果があることから安定した株式になるという訳です。1990年代まではこうした安定株主の仕組みは所謂「乗っ取り」である敵対的買収を防いでいた側面もあったが、監査機能が弱まる為、経営者の権力が伸びてしまいます。これは持株側の株式保有率が低く、参加しない為の委任状が送られ、白紙で返され、多くの欠席が生じるからです。欠席分の議決席がない分、経営者の議決権が強まるということです。今では考えられないことですが、昔の大企業で反対者もない状態で議決内容が承認されることもあったそうです。経営者への議決権集中で株主総会の意味すら形骸化してしまうことも多く、総会時間も30分程度で終わるなど、意見交換するや議論をするには短すぎる時間設定だったりしました。加えて、証券市場での外国人の株式保有率も1990年は4.7%と低く、海外の投資家に対するハードルも高めでした。無論、外国の機関投資はコーポレート・ガバナンスが効いていない会社への投資行動を控える傾向もありましたので、経営者の監視の重要性がわかると思います。

近年の変化

 昔の資産取得は取得価格で評価してましたが、バブル崩壊後の何年かにおいて、様々な場面で問題(大手銀行破綻、不動産価格崩壊、政府の経済対策の誤り等の様々な要因)が起きた為、決算時の価格を評価する時価会計が使われるようになりました。時価会計の導入でそれまで不動産等の資産を担保とした銀行融資等の金融機関からの借り入れも厳しくなり、土地の売却が加速しました。加えて、銀行との株式相互持合も見直されることにもなりました。コーポレート・ガバナンスが見直され、様々な国際基準を導入し、外国の機関投資家からの評価も上がり、今では30%以上の株式が外国人投資家が保有してる実態があります。株式総会の開催時間も昔の倍以上になり、株主の比率が低くくても、意見は尊重されるようになったり、経営者の監視も強化され、コーポレート・ガバナンスが重要視されるようになりました。

あとがき

 今回は株主総会の話ですので、監査委員会等設置会社や指名委員会等設置会社の話は次回やります。


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