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☆本#312-3 孤独「子のない夫婦とネコ」群ようこ著、「疼くひと」松井久子著を読んで

前者は短編集。中年夫婦、姉妹、熟年離婚した男性、シニアカップルらが、犬猫との暮らしを選び、振り回されつつ癒される話。
どれも読みやすく、主人公は大抵あっさりした性格で、淡々と厳しい現実を受け入れ、身の丈に合った暮らしを選ぶ。
周りにおせっかいなおばちゃんが出てきて時にコミカル、時にシニカル。

著者のエッセイによると、本人は昨年動物を飼えないマンション(?)に引っ越したようだけど、猫なしで大丈夫だろうか…。

後者は、元々は映画監督で団塊世代の著者による、70代の女性脚本家の年下男性との恋愛ストーリー。主人公は、シングルマザーで子育てしつつ、脚本家でブレイクした過去を持つ、自立した女性。

以前読んだミステリーでは、最後の方で主人公が高齢とわかる展開だったけど、これは最初から年齢が明かされているので、老化についても出てくる。でも、それがないと、中年以降の女性の年齢差ってわかりづらい。
主人公はSNSにコンタクトをとってきた15歳年下の男性とやりとりをするうちに直接会うことになり、恋愛に発展する。ただ、遠距離で会う頻度は少なく、数か月後、相手の突然の別れの言葉&SNSブロックで関係は終わる。SNSでの付き合いだったので、相手の住所や電話番号さえ知らずに。といっても、本人はプライドもあり、追うようなことはしたくない。偶然、彼の妻からの手紙で彼が既婚者だったこと、事故で亡くなったことを知り、彼女に会いに行くことにする。といっても、関係はばれておらず、話す予定もなく、修羅場な展開はない。
高齢であろうと、恋愛している女性にそう差はない。ただ結末が微妙。
映画で想起していた話を小説の世界で実現したのかもしれないけど、ビジュアルがメインの世界と、想像がメインの世界かとでは、結末は違っていてもいいような気がした。
主人公の以下のセリフが印象的だった。

人の人生で、絶対的なものは、死だけだ。

「疼くひと」

途中、昭和の映画監督の墓参りシーンがある。彼らの墓地が横浜とは知らなかった。

どちらの小説も孤独が背中合わせで、主人公らの年齢は著者に近いので、各世代の一部が投影されてる感じがした。

70代女性の恋愛ものは読んだことなかったけど、読み終わったころ、米国のNew Scientistという雑誌の以下ツイートを見つけた。70歳以上の高齢社511人のうち、31%が過去1年の間に何らかの性行為を行ったと回答している。多いのか少ないのかわからない…。

New Scientistのツイッター


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