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☆本#363,364,365 超長編 「今はもういない」「数奇にして模型」「有限と微小のパン」森博嗣著を読んで

「今はもう~」はなかなかトリッキーな作品だ。
西之園萌絵はやっと犀川助教授に休暇を取らせて、避暑地に出かける。デートドライブ中、避暑地でのミステリーを話す。それは、避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせの部屋で死体で見つかった話。しかも、密室。
たまたま事情があってそこに滞在していた西之園家のお嬢様が、頼りなくてフィアンセもいるアラフォー男性笹木と解明に乗り出す。
最適と洗練の違いは、「最適でないものを許すことが洗練だ」という犀川助教授の言葉が印象的。

「数奇にして〜」は、模型交換会会場と工業大学で死体が発見される。どちらも密室。二つの事件に関わっている男性に嫌疑がかけられて、偶然前者の会場に居合わせた萌絵が事件に巻き込まれる。喜多助教授と、犀川助教授の友人で萌絵の従兄の大御坊という濃いキャラが登場。

ページ数が700弱もあるので長い。そして、異常者の思考がコワイ。

「有限と微小のパン」は800ページを超える長編。1作目で登場した真賀田博士が登場。数冊前から関係者が出て来ていて準備されていた。

長崎にあるテーマパークを株主優待で訪れた萌絵と友人2名。到着早々人が死に、その死体が腕だけ残して失踪。萌絵は犀川助教授に連絡し、知り合いの刑事に地元の警察を紹介してもらう。犀川は事件の背景に気付き、車で現地に向かう。

シリーズ2作目のように、主役がメインで事件が起き、ちゃんと時系列で解明していく流れ。また密室が出るけど、今回は設定が大掛かり。

正直ラストは微妙だし、相変わらず事件の動悸が不明瞭なところが引っかかるけど、もうシリーズ最後と思うと若干ロスが…。巻末の広告ページに、犀川の最後の事件があることを知り、その後のシリーズにも彼らが登場することを知る。

著者はそもそも同人誌で書いてた経験があり、萩尾望都の影響を受けてる(?)とかで、最新作はその世界でのミステリー?

とはいえ、もう小説は引退していて、今はエッセイのみという記事も見たけど、本当のところはどうなんだろう。初期のシリーズにはプロフィールにN大学と書いてるのが、最近のだと明らかにしていて、今は好きなこと(趣味)だけして暮らしているらしい。

作品は理系思考で、独特のスタイルとはいえ、もう少し横山秀夫の要素があれば賞を取れそうなのに、と思ったら、賞には一切興味がないらしく、メディアインタビューも受け付けないらしい。多分犀川っぽい思考と思われるエッセイも、いずれ読んでみたい。


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