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☆本#216 15歳の恋と非識学「朗読者」ベルンハルト・シュリンク著を読んで

ケイト・ウィンスレットがアカデミー賞を受賞した映画「愛を読むひと」の原作。ドイツ語が原作だけど、映画は英語にするように作者が指定したとか。英語圏のほうが人口が多いので、広く知って歳以上年上の女性とひと夏の体験をするも、何も言わず彼女は去る。次に再会したときは、彼女はナチスの収容所の看守のひとりとして裁判にかけられていたときで、彼は法学部の学生だった。

少年時のピュアな愛は思いのほか長く続き、年上の女性にとって非識学であることが罪をかぶるほうがましだと思うほどの恥だった。

映画では、時間の関係で恋と非識学という点に焦点が当てられているけど、本のほうは、主人公が彼女が非識学であることを裁判官いいうべきかの葛藤がある。打ち解けない父親に話に行ったり、でも、父親はやっぱり打ち解けなかったけど。

戦時中は、生き延びるために正義がゆがめられやすい。誰でも、死を前にするとたぶん正義感維持は難しそう。

アメリカの行動経済学の調査で、看守役をさせると、させられてるだけなのに、「ひどい人」になっていくらしい、誰もが。人間に備わった一種の環境に慣れる能力というか、防衛本能だろうか。

映画は原作に忠実だったけど、最後が違っていた。
なぜ自分の娘を年上の女性の墓に連れていくのか、と思ったら、やっぱり原作では、自分が行っただけだった。こっちのほうがすんなり。

原作には著者の経験も含まれるのかなと思ったら、フィクションだそうだ。

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