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☆本#404 スウェーデンが舞台の本と映画

「冬の灯台が語るとき」ヨハン・テオリン著
ストックホルムからエーランド島に移住し、灯台側の屋敷に住み始めたヨキアムと妻子。
ある日、仕事でストックホルムから帰宅途中のヨキアムに電話がかかる。島に赴任した女性刑事からで、家族1名が亡くなったという。本来電話で死者名を告げてはいけないのに、女性刑事は断れず、娘の名前をいう。
しかし、それは伝えた同僚の間違いで、実は妻のほうだった。ショックを受けるヨキアム。妻の亡骸確認さえ断る。

彼らがこの家に引っ越してきたのは訳ありで、妻の母親(画家)はこの家に住んでいたことがあった。長女も実は養子で、これも訳あり。
ヨキアムは、妻が事故死したと思えず、犯人がだれか探し始める。同時に、家に隠されていたものにもたどり着き。。。

女性刑事は不倫が噂されそうになり、島の勤務を希望した。この時はまだ彼との付き合いが続くものと思っていたのに、彼から別れを告げられる。ショックで妻宛てに暴露の手紙を書くも、投函する気にはなれず、鞄に入れて持ち歩く。のちにそれを叔父が読んでしまう。仕事に没頭して彼のことを忘れかけたころ、その彼が連絡を取ってきて、無視するも、彼女のもとを訪れ。。。

若者のひとり、ヘンリクはもう盗みはしたくなかったけど、率先して悪事を働くトミー兄弟から離れられずにいた。でも、もう最後にする予定でヨキアムの家へ彼らと行こうとするも、裏切られ、負傷したままヨキアムの家に向かう。

死者が戻ってくると言われるクリスマスに、若者たち、女性刑事とその元愛人がヨキアムの家を訪れ…。

ここでひと悶着あった後、ヨキアムは犯人に会いに行く。

この作品は著者のエーランド島を舞台にしたシリーズ第2弾で、時代設定は1990年半ば。

映画「幸せなひとりぼっち」(2015年制作)を観て
長年勤めた会社をクビになったオーベ(59歳)は、独自のルールというか、倫理というか、正義を持つ、頑固で怒りっぽい男性。

最愛の妻に先立たれ、両親もすでに亡くなっているオーベは自殺を試みるも、失敗。そんな中、家の向いに引っ越してきた一家のイラン出身の妻パルヴァネに頼まれ、車の運転を教える。彼女の余計なお世話に喧嘩しつつも、信頼関係が構築されていく。
彼はもともと聞く耳は持っているし、近所の知り合いに頼まれるとヒーターを修理してあげたり、子供の自転車も修理してあげたり、ふらついて線路に落ちた男性を危険も顧みず助けたりする。ので、実は周りに嫌われてはいない。

オーベが母親を亡くした子供の頃から10代の頃の父親の突然の事故死、その後住んでいた家の火事と嫌な奴らとの出会い、引っ越し後にソーニャと出会い、結婚し、二人で行った旅行先での事故、妻が障がい者になっても支援学校の教師になれた話等、少しずつ明かされていく。

車をめぐる競争(?)で長らく交流が途絶えていた友人の問題を、パルヴァネの一言もあって近隣の住民やほかも巻き込んで解決する。

最後、ファンタジーな終わり方がいい。
この映画はスウェーデンでは、国民の5人に一人が観たらしい。
てっきり、子供や動物による癒し系かと思ったら、いい意味で違った。子供と猫も出てきて、ほのぼのはする。

オーベは、先日観たトム・ハンクスが演じた「しあわせへのまわり道」のフレッド・ロジャースとは一見対極だけど、いい人には違いない。フレッド・ロジャースの場合、努力してあの域まで達しているのがすごい。そのロジャースに外見を似せていたハンクスもある意味すごい。

オーベが妻の眠る墓地へ行き、墓石横の芝生に寝転んで妻に話しかけるシーンが印象的。なんというか、ここの墓地って芝生が敷き詰められていて、墓石の前はミニ花壇的で、ひらけていて明るい。日本ではこれ無理だな。でも「鬼滅の刃」で伯治が父の墓碑にすがるシーンをちょっと想起。




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