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☆本#283-7 「田園の憂鬱」「橋ものがたり」「婚活食堂6」「僕が死んだあの森」「二人」を読んで

「田園の憂鬱」は明治の作家の佐藤春夫著、「橋ものがたり」は藤沢周平著、「婚活食堂」は山口惠以子著。「僕が死んだあの森」はピエール・ルメートル著。

「田園の憂鬱」は描写とか流れとかじっくり読んだ。門弟3000人ってのはすごい。

「橋ものがたり」は短編集で、男性作家だけど女性描写に違和感がなく、男女間・親子間の感情は不変なのだなと改めて思った。多様化で広く浅くなってきた感じの世界に対して、時代劇は制約、不条理、人情の世界で、ある意味新鮮。著者はデビューが40代半ばごろで意外と遅かったと知る。

「婚活食堂6」はシリーズもので、間違って6から読んでしまったけど、設定・人物描写が安定しているので、たぶんどこから読んでも大丈夫そう。主人公の恵は、元有名な占い師で、現在カウンター席だけの食堂というかおでん屋を営んでいる。
印象的だったのは、彼女があるとき客に直球の物言いをしたところ。もちろんそれを受け止めらえる相手に対して必要とされるタイミングで。
店の物件のオーナーのセリフが印象的で、人を信じる基準はお金を貸せるかどうか。もしその人のせいではなく返済不可となった場合はしょうがないとあきらめる。貸す人と貸さない人はくっきり分かれている気がする。恋愛結婚数が見合い結婚数を超えた時の世代が50代の未婚者数にリンクしてるっていう考察は興味深い。料理シーンが美味しそうで、巻末にレシピ付き。

「僕が死んだあの森」は、日本では昨年出版された。12歳の少年アントワーヌが主人公で、フランスでは映画化されてるらしい。原題は直訳だと「3日と1つの命」。田舎に住むアントワーヌが森で6歳の少年を衝動的に殺してから3日間が本の半分以上を占め、心理描写がこれでもかと続く。アントワーヌは捕まらない代わりに、精神的に不安定で、不幸な結婚をし、結局生涯罪を背負うのだろうな。以前読んだほかの作家の本で、精神病のため裁判を受けれなかった人は、回復してから裁判を受けて罪を償った方がいいというようなのがあったけど、公的に罪を償った方が精神的には良さそうな…。

「二人」は、イレーヌ・ネミロフスキーが35歳ごろ書いた恋愛小説で、その4年後アウシュビッツで亡くなる。主人公マリアンヌは恋人のアントワーヌへの熱が少し冷めた頃彼から結婚の申し出があり、結局受ける。彼には過去とても愛した女性がいてある日彼女から手紙が届き、彼女の自殺を知りショックを受ける。マリアンヌは昔ほど彼を愛してないけど、結局一緒にいることにする。と書くとシンプルだけど、周りの人間模様、葛藤、期待、悲嘆、希望があり、人の心は複雑で、単純。

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