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☆本#480 ここではない世界「街とその不確かな壁」村上春樹著を読んで

本作は「壁と卵」的要素の作品かと思ったら、著者にとって未完で、書籍化していなかった過去の作品の書き直しだった。
3部構成で、第一部で完了の予定が、著者はその後足りないと感じ、第ニ部と第三部も追加らしい。

第一部は、ティーンのファーストラブ、ここではない世界の存在、片方が失踪、男性主人公はあちらの世界へ行き…。
第二部では、主人公は40代半ばになり、ついに行動を起こし、転職し、新しい出会いがあり、不思議な体験をしていく中、職場である少年と出会い…。
第三部は、第二部で出会った少年が失踪し…。


第一部は著者の初期の作品を想起させる。
ページ数でいうと第二部が一番長く、一番動きがあり、主人公の行動は著者のほかの作品の主人公らと同様というか、なんだかいつもようにある意味安定感があって、作品の世界観も相変わらずな感じで、著者が描く主人公や女性ってこういうタイプ多いなって思い出したり、第一部でのポイントの一つは第三部ではもうそうじゃないんだなとか、その動きというか変化って作家歴40年の深みというか厚みからかな、とか。

第二部以降の舞台は福島の会津若松近郊。
最近、外国からの日本への移住者が気に入りの場所として猪苗代湖をあげていて、偶然の福島繋がりでちょっと興味を持った。

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