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☆#370 ヒトの奥深さ「靴ひも」ドメニコ・スタルノーネ著を読んで

映画を観たいと思っていたのに、結局タイミングが合わず、原作を読むことにした。

3部構成。
第一の書は、妻から浮気した夫への数回にわたる手紙。それぞれ違う状況で、進捗がありつつ、怒りがぶつけられている。冷静なようで、感情的なような。
ああ、いつまで続くんだろうと思っていると第二の書が始まる。

第二の書は、語り手が夫。高齢になった二人がバカンスから戻ると部屋が荒らされていて、猫が消えている。二人が別れていない理由はなんだろうと思って読み進むと、いろいろ背景や事情がわかってくる。で、書斎で妻からの手紙を見つけた夫はそこからいろいろ回想して、あることに気付き焦る。彼は浮気者で、戻ってからもまた浮気を繰り返した。けど、1番好きだったのは最初の浮気相手。彼女は自由な女性だったけど、密かに付き合おうと提案したら距離を置かれるようになり、結局別れる。

第三の書は、アラフィフの二人の子供のやりとりや行動がメイン。二人はお金を巡って超不仲。しかし、妹がなんとか兄を誘って両親の家で会う。
両親が不仲による子供たちへの影響や彼らの気持ちや、話の流れでの衝動的な行動や、それで妹がスッキリした気持ちが描かれる。

著者は男性だけど、妻の手紙はなかなか濃い。
妻は結構強烈なタイプで、夫は小心でズルく、子供たちは犠牲者かもしれないけど、たくましく。人格形成には環境の影響も大きい。

最後に意外性があって、読後感は悪くなかった。
で、やっぱり映画の方も観たい。あの長い期間の話をどうやって短時間にまとめたんだろう。何を残して何をカットしたか気になる。


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