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☆本#481、482 勇気「詐欺師はもう嘘をつかない」テス・シャープ著、繋がり「サンドの女 三人屋」原田ひ香著を読んで

「詐欺師~」の著者は10代のころ、うつ病や自傷行為に苦しみ、15歳になるまでに2度自殺を試み、ローリー・ハルツ・アンダーソンの「スピーク」を読んで救われ、自身も作品で人を救いたいと思い作家になったらしい。
この作品の主人公も苦しみつつ乗り越え、成長していく。

17歳の少女ノーラが、親友で元カレのウェスと今カノのアイリスと共に銀行へ行くと、銀行強盗に巻き込まれる。
ノーラは実は詐欺師の母親に技を鍛えられた過去を持つ。そこで冷静に強盗らの様子を伺い、姉にこっそりメッセージを送る。ふたりの間の秘密の言葉で。姉のリーは妹の窮地を知り、即行動を起こす。

ノーラとリーは年の離れた姉妹で父親が違う。リーの父親の死後、母親は詐欺師を始める。それでひどい目にあったリーは、家を出る。ノーラも小さい頃から詐欺の道具として使われてきた。
が、ある日母親がダークサイドのある資産家と恋に落ち、結婚。そこから義父のふたりへの暴力が始まるも、母親は洗脳されていて、ノーラに耳を貸さない。ノーラはついに行動に出て、姉の助けやFBIの力で自由を勝ち取るも、刑務所にいる義父から恨まれ、懸賞金をかけられ命を狙われているため、現在偽名で姉と生活していた。

強盗らが待っていた銀行の支店長は偶然事故に遭い、病院に運ばれたため、現場に来れない。計画が狂った強盗はなんとか貸金庫に入ろうとし、ノーラは封印していた詐欺師の技を使い人質を助けようとするもうまくいかず、ついに秘密にしていた義父とのことを駆け引きに利用し…。


ウェスもアイリスも、それぞれ傷ついた過去あり。
今カノのアイリスが所々大活躍。アイリスもノーラも元カレがいるので、最初からバイではなく、そういうケースってそういえばアメリカのセレブの例でもよくあるな。


「サンドの女 三人屋」は、3姉妹の長女の夜月と彼女が営むスナックを中心とした、ラプンツェル商店街が舞台の短編で、語り手は男性6人。
恋人との別れを予感しているゲイの青年(夜月のスナックで働き始める)、夜月のヒモ作家(3年経ってやっと書き始める)、3姉妹の次女まひるの愛人で格安携帯のワンオペ店長、3姉妹の末っ子朝日の彼氏で不動産系の資産家の子息(夜月の借金が判明)、夜月の店の常連で元カレでもあるスーパーの店長、夜月の店の常連サラリーマン。

3姉妹や周りの人々との交流は深く浅く。それぞれ、出会いや別れあり。


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