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☆本#71 ネタがつきない「米原万里ベストエッセイII」を読んで

ロシア語通訳として有名な著者の本は他にも昔よんだことがあるけど、この人のエッセイはユーモアいっぱい。電車等で移動中読んでいるとついニヤッと笑ってしまいそうになる。

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ベスト本なので選りすぐり。

下ネタ系は世界共通で語彙が多いらしいんだけど、「かかあ」はロシア語では「うんこ」という意味らしい。ロシア人の前で話すときは注意が必要かもしれない。これ聞いたら笑っちゃうだろうし。
知らないだけで、たぶんこういうのいっぱいあるんだろうな。

著者は優秀な通訳だったので仕事の幅が広い。
ロシアの宇宙船に乗る日本人乗組員の選定の通訳もしている。選定は健康基準だったため、ロシア大使館で候補者の健康診断がなされたようだけど、がんの可能性が少しでもあるとだめ(宇宙から戻って発症すると、宇宙旅行反対派に宇宙のせいにされるかもしれないため)なので、触診で女性は乳房、男性は陰嚢の鞘膜腔(しょうまくこう)を調べることになり、候補者への最初の通訳が「パンツを脱いでください」。医療系は専門用語も多そうだから通訳も大変そう。

それで、その検査で実際ひとり腫瘍が見つかって、報告する際「鞘膜腔に腫瘍が」といっても相手に通じなかったので、直接的な表現を選んだそうだ。聞き手が理解できる言葉で説明しなければならないのだ。

それにしても、明治の政治家森有礼が1871年に「日本語廃止・英語採用論」を執筆とか、昭和の作家志賀直哉の「フランス語を国語にすべき」という提案がなされていたことは知らなった。
実現しなくてよかった。

ほかに、先進国首脳会議で日本語以外は直接それぞれの言語に訳されるようだけど、日本語だけまず英語に訳されるらしい。
なぜだろう...。

著者のネタは尽きることがない...。

14年前、56歳という若さで亡くなってしまったのがほんと残念だ。

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