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ブレンド型学習④高校英語実践(前編)

備忘録を兼ねて前任校でやっていたことと、今の学校でやっていたことを書いてみます。

何と何のブレンドかと言われれば、「アナログとデジタル」「従来型と未来型(っていうんかな?)」でしょうか。
従来では難しかったことを、ICTで可能にした例です。

アプリを使った音読練習

英語では4技能(読む・聞く・書く・話す[発表][やりとり])統合型の指導が大事だと叫ばれて○年になります。この中で、文字ベースでやりとりが可能な「読む」「書く」は、従来から筆記試験や課題で出されてきましたが、難しいのが「聞く」「話す」の2つ。

特に、話す力を伸ばすのって難しいです。時期によりますが、私は音読の指導から入る場合が多いです。

声に出して読むって楽しい!

音読は、英語が苦手な学習者でも取り組みやすく、また英語が苦手な学習者にとって有効だとされる学習法の1つ。

音読の効果には、内容理解の促進(卯城、2009)、単語認知の自動化機能(卯城、2009; 門田、2007)、語彙や文法学習への効果(卯城、2009)などがあります。

特に英語が苦手な生徒の場合、「単語をどう読めばいいかわからない」からスタートするんですよね。そんな生徒には、音声を聞いて、ひたすら真似して練習するように言います。

以前だったらCD買わないとできなかったんですが、新課程になり、教科書にQRコードもついているので、以前よりも個人で音声が聞きやすくなりました。

この「聞いて、真似する」ことは、リスニングの土台作りにも貢献してくれます。

でも、1人1人の音読を確認するのは、授業内ではなかなか難しい。できなくはないですが、授業時間数のこともあるし、放課後や休み時間にやるとなると、教員側もめちゃくちゃ拘束されてしまいます。

ただ、これらは全て同期型(対面)でやろうとしているが故の問題。それなら非同期でやればいいのではないか、ということで実践したのがこちら。

Flip(旧Flipgrid)を使った音読指導

動画交流アプリのFlip(旧Flipgrid)を使った音読指導の例です。

先に述べておきますが、少人数向けです。
10人以上になると、個人への細かいフィードバックは時間的にも労力的にも難しくなります。そういう時は、個人が動画で提出→全体にフィードバック、の流れに変えます。

これは前任校(滋賀県の県立高校)でのスピーチ指導の時の実践です。前任校はWifiどころか、校内は携帯電話の電波も入りにくいところでした。毎年、スピーチの原稿指導で手いっぱいで、音声指導がなかなかうまくできずに悩んでいたところ、この方法を思いつきました。これなら、わざわざ学校に片道○分かけて来なくても、自宅のPCやスマホでできます。

音読指導用グループを作り(画像はスピーチの音読指導)、
トピックを生徒人数分作っておきます。

生徒は自分のトピックにアクセスして、文章を読み上げた動画をアップロードします。

ここで、どこがどう良かったか、どこの発音が間違っているかをコメントで返却します。必要なら音声動画も添付します。

1番最初の指導の時のコメントによるフィードバック。
最初はどうしてもフィードバックフレーズが多くなります。

評価も入れるなら、形成的評価にして、期限○日までに動画アップ→フィードバック→修正して再度アップ・・・を繰り返します。

オマケに、Flipは自動字幕生成機能がついています。自分の音声がスクリプト通りの字幕に上がってくると、英語として認識されているということなので、テンションもあがります。

同じことが、Google ClassroomやMS Teamsを使ってもできます。Teamsの方には、音読指導用のreading progressという機能もありますね。

Flipの自動字幕生成機能にしろ、Teamsのreading progressにしろ、Google Classroomでやりとりをするにしろ、生徒は自分の音声を客観的に聞くことが出来ます。ここで、自分で修正を繰り返す力がつけば、「主体的に学ぶ力」にも繋がっていきますよね。

ここのフィードバックの課題が、指導する先生によって質が変わる可能性があること。質を揃えるならAIの力を借りると良いんですが、今のところそれができるのは、ELSAかなぁ・・・

長くなっちゃうので、一旦ここで筆をおきます。
ICTの導入で、非同期での音声指導が可能になったことって、めちゃくちゃ意味があると思います。動画でもできるというのも、大きいですよね。

「後編」では、データ収集系ツールやLMSを使った、弱点事前把握の例について書こうと思います。

<参考文献>
卯城祐司. (2009). 英語リーディングの科学:「読めたつもり」 の謎を解く. 研究社.

門田修平. (2007). シャドーイングと音読の科学.

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