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すいか

すいか、すいか、すいか。

すいか、すいか、すいか。

すいか。

すいかが食べたい。いつもスーパーに行くとお母さんと値段を確認してた。安かったら買い時だから。でも、いつも少し高くて一緒にスーパーマーケットに行っても買ってもらえなかった。

いつも眺めていた。お小遣いで買うほどではないが、きらきらして見えた。もし、お小遣いを使うなら食べ物じゃない他のものがいい、例えば文房具。鉛筆、色鉛筆、筆箱、シャープペンシル、消しゴム、蛍光ペン、ノート。そんな文房具。どれも今では色とりどりなものや、最新のもの、かっこいいもの、そんな文房具はいつも私を金欠にさせた。そうやって集めた文房具でノートに蛍光ペンですいかの絵を描く。すいかの絵は、ノートの中に消えていく。

夏といえばすいか。すいかといえば、お父さん。仕事帰りにたまに買ってきてくれた。他にも、お菓子、炭酸のジュースも一緒に。仕事が忙しくて、遅くに帰ってきたお父さんとみんなで夜食で食べる。それは、ただゆっくりしている時だったり、勉強の合間だったり、暑さしのぎだったりと、色々だったが楽しい時間だった。

そういえば、ノートに描くすいかの絵は、蛍光ペンで描いていたが、難しい。何の絵だかわからなくなる、とても似ている他の絵があるから、見分けがつかない。どんなに下手なすいかの絵でも、ノートの中に消えていくので問題はないのだが。

すいかは、他のものとは全く違うだろう。色、におい、形。全てにおいて特別に感じる、私にとっての特別な食べ物。あんなに私を夢中にするなんて。いや、私にとっての特別な食べ物はもう一つある。それはお父さんがすいかと一緒に買ってくるチョコレートだ。いつも、いつも、いや、絶対に一緒に買ってくる。特にダークチョコレート、あの苦味があるのに甘い感じ、すいかに負けず劣らずの私の大好物だ。どちらも、みんなが大好きな食べ物のはず、そうでなければおかしい。だって、あんなにおいしいんだもの。

そんなおいしくて思い出のある食べ物、すいか。

すいか、すいか、すいか。

すいか、すいか、すいか。

すいか。

酢イカ。お酒のおつまみ、酢イカ。あの食感、そしてにおい。一袋に少ししか入っていないのに高くて、買えない、あの酢イカ。おつまみなのに、家族みんなで炭酸ジュースやお菓子と食べる、酢イカ。それは、私の大好物。お父さんが買って来てくれる酢イカ。

今は日本にいないから食べられない、日本に帰ったら絶対に食よう。

いや、食べないわけがない。

だって、お父さんが買わない訳がないんだもの。


Mia




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