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【読書感想】記憶はスキル/畔柳 圭佑

「記憶はスキル」こちらの本、読みました。

勉強法関連の本は「勉強法のベストセラー100冊のポイントを1冊にまとめてみた。」「絶対忘れない勉強法」「資格試験のための最短最速勉強法 速学のススメ」に続いて4冊目です。

本書は「記憶」に関してなので、勉強法とはちょっと異なるかもしれません。
ですがどうしても記憶となると勉強のイメージが強いので、勉強法の括りとしました。


本の内容

まずはAmazonから本の内容を抜粋します。

本書では、記憶にまつわるさまざまな研究を紹介しながら、誰でもラクに覚えられる方法を提案します。
また、子どもや部下など他者の記憶力を上げる方法についても紹介します。
おとな自身の学び直しのためだけでなく、子どもの勉強をサポートするときにも、記憶についての知識が役に立つのです。

こんな感じの本です。

「さまざまな研究を紹介しながら」という点から、同じように「世界中の科学的研究から」書かれている「絶対忘れない勉強法」のテイストに近いものを感じました。

著者情報

本書の著者である「畔柳 圭佑」でネット検索したところ、いくつかヒットしました。
リンクしておきます。

本書のプレスリリース記事もありました。

いくつか引用と感想

記憶の4ステップ

記憶は「記銘」「保持」「想起」という3ステップから成り立つとされています。
「記銘」は、新しいことを自分の脳にインプットすることを指します。つまり、「覚える」ことです。「保持」は、そのまま脳に保存しておくことを意味します。覚えた状態を維持して、忘れないことと言い換えることもできます。「想起」とは、適切なタイミングでインプットしたものを取り出すことで、簡単に言えば「思い出す」ことです。
けれども、私はその3ステップ以前にも意識すべき大事なことがあると考えています。それは、「なにを覚えるのか」。つまり、記憶する対象を決めることです。
あたりまえに聞こえるかもしれませんが、なにを覚えるのかが明確に定まっていないばかりに、効率的に覚えられない場合が少なくありません。
つまり、私が考える記憶のステップは次のとおりです。
●ステップ1:なにを覚えるのか決める
●ステップ2:覚える
●ステップ3:覚えた状態をキープする
●ステップ4:適切に思い出す

今回の引用を読んで、「自分はけっこう記憶に対する認識がぼんやりしてたな…」と思いました。
たしかに記憶は「記銘」「保持」「想起」という3ステップの流れですね。

著者が言うにはこの3ステップ以前に意識すべき大事なことは「なにを覚えるのか」とのこと。

たしかに「なにを覚えるのか」も大事な気がしますが、やはり自分としては「覚える」フェーズがかなり重要な気がしています(現に本書でも「覚える」フェーズの割合が多めでした)。

正直、「記銘」「保持」「想起」の3ステップにすごく納得感があったので、それで満足していた感じもあります。

とはいえ、この4ステップの流れは納得なので引用してみた次第です。

ヒントから導き出すと定着しやすくなる

次に紹介するのは、自分で能動的に記憶をアウトプットすることが効果的だという知見です。これを「産出効果」といいます。
「能動的なアウトプット」は、ヒントにもとづいて自分で答えを出すことだと考えるとよいでしょう。
たとえば英単語を記憶したいとき、英単語を声に出して音読したり文字をなぞったりするよりも、英単語のなかの文字がいくつか隠されている単語を見て、それが完全になるように文字を補完するほうが、覚えられます。
対象を声に出して読むこと自体が能動的なアウトプットだと思うかもしれませんが、完全な状態のものを読みあげるのと、不完全なものを与えられて自分で考えて完成させるのとでは、長期記憶への定着しやすさがちがうのです。
産出効果は、ノーマン・スラメッカという研究者が1978年に発表しました。古い研究ではありますが、今でもとても有益な知見です。
(中略)
なお、少ないヒントで答えを産出したほうが、効果は大きくなります。

これは先ほど引用した記憶の4ステップの内、2ステップ目に該当する「覚える」からの引用です。

たしかにヒントからなんとか答えを導き出せると、自分の中でも印象に強く残る感じがします。
印象に残るので、結果的に記憶に残りやすいというか。

覚えるために教科書からノートにひたすら書き写す方法もありますよね。
ノートにひたすら書くので、やってる感も出ますし、謎の達成感もあります。
過去にそういった勉強をしたりもしていましたが、記憶する手段としては非効率だったかもなと。

ヒントをうまく出しながら答えを産出するのは、一人きりでの勉強だと難しいかもですね。
友達や知り合い同士で問題を出し合ったりすると効果的な気がします。

少ないヒントから答えを産出した方が効果が大きいとのことなので、ヒントを小出しにしながら問題を出し合うと、より効果が大きくなりそうですね。

ちなみに引用の(中略)部分は、ノーマン・スラメッカの研究内容が詳しく書かれています。
ですが、引用すると長くなってしまうので割愛しています。
代わりに、研究内容が書かれているサイトをリンクしておきます。

(よく見たら上記リンクの投稿者、本書の著者と同じみたいです)

先頭に出てくるものほど覚えやすい

次に紹介する「系列位置効果」は、記憶するべきものがいくつかリストとして与えられた場合、リストの最初と最後をよく記憶しているというものです。
(中略)
リストの最後のほうの単語は単純に短期記憶として残っているだけであり、時間が経つと、先頭付近の単語を記憶しやすい効果のみが残ります。
「単語帳のページの一番上の単語はなんだか覚えやすいな」と感じることがあれば、系列位置効果によるものかもしれません。
(中略)
先頭に出てくるものは覚えやすいと知っていれば、英単語を覚えるときにも、毎同じ順番で確認することを避けられます。
逆にどうしても覚えられないものは、系列位置効果を逆手にとって、毎日はじめに確認すればよいのです。
ここを変える!
Before:いつも同じ順番で学習する。

After:繰り返し学習するときは毎回順番をシャッフルする。

こちらも先ほどの引用と同様、2ステップ目「覚える」からの引用です。

今回の引用を読んだ時、以前の記事で引用した「初頭効果」「ピークエンドの法則」に近いものを感じました。

【読書感想】サクッとわかる ビジネス教養 行動経済学 - Q:良い印象を残すために大切なものは?

教科書や問題集は、最初から順番に勉強することが多いかなと思います。
そうなると、いつも同じ順番になってしまいます。

理想としては、引用でも触れているように毎回順番をシャッフルする。
ただ、教科書や問題集で毎回順番をシャッフルするのはなかなか難しいかなと。

対策の1つとしてはWeb上の学習サイト(ランダム出題機能付き)でしょうか。
だいぶ資格試験に寄った対策ではありますが。

例えばPing-tならランダム出題機能があったはずですし、模擬試験機能もランダム出題なので重宝しそうです。

ちなみに引用にある(中略)ですが、本書では実験内容が詳しく書かれています。
ですが、引用すると長くなってしまうので割愛しています。
代わりに、実験内容が書かれているサイトをリンクしておきます。
(さっきのリンクと同じです)

もう1つ、引用にある「系列位置効果」に関しても参考リンクを貼っておきます。

分散効果を使った復習

どのような復習の方法が最も効果的なのでしょうか。記憶の管理の難しさは、一生懸命覚えたことが本当に記憶できているのか、それとも忘却したのか、実際に思い出してみないとわからないところにあります。忘れたタイミングで「いま忘れたな」と知覚できればラクなのですが、そうはいきません。いつの間にか忘れてまうのです。
しかし、一度覚えたものを忘れてしまっても、復習すればはじめよりも少ない手間で再び記憶した状態になるので、復習が大切です。
復習は集中してやるよりも分散させたほうが高い効果が得られるという研究結果があります。これが「分散効果」です。
これは新しいものを記憶するときも同じです。同じ教科を集中して3時間勉強するのではなく、何回かにわけて1時間や30分ずつ勉強したほうが効率的に記憶できます。
(中略)
ここを変える!
Before:まとまった時間を確保して集中的に学習する。

After:10分でも時間をおいて、何度も同じ範囲を学習する。

これは最初に引用した「記憶の4ステップ」の内、3ステップ目「覚えた状態をキープする」からの引用です。

そして今回の引用を読んだ時、以下記事の引用を思い出しました。

【読書感想】資格試験のための最短最速勉強法 速学のススメ - Q:記憶を定着させるコツってあるの?

例えばテキストを1か月かけてじっくり1周すると、最初の方に覚えた内容をけっこう忘れてしまうのかなと。

それよりはサクサク読みながら1か月の間に2~3周する。
そうすると、最初の方に覚えた内容を忘れる前にもう1度同じ内容に遭遇できます。
そうやって遭遇回数を増やすことで、徐々に記憶に定着していくのかなと。

ポイントは同じ内容に何度も遭遇できるように工夫する。
上記の引用では「接触回数を増やす」と表現しています。

せっかくなので引用にある「分散効果」に関して、参考リンクを貼っておきます。

適切に思い出す

記憶の最後のステップは、適切に思い出すことです。
いくら記憶しても、適切なタイミングで思い出せなければ活用できません。ステップ1の段階で覚えたい内容を定義し、言語化しておくことが大切です。それによって、適切なタイミングで思い出せる扱いやすい記憶になります。
また、記憶の性質を利用して思い出す方法もあります。
そのひとつが、同じ環境では同じ記憶を再生しやすいというものです。記憶したときのBGM、周りの匂い、あるいは紙で勉強したのであればその紙やペンの色、感触・・・そういったものが思い出すときのヒントになります。
テストのときと似た環境でテスト勉強をしたり、テストに使う筆記用具で勉強したりするといった活用が考えられます。
どうしても思い出せないときは、記憶したときの状況からたぐり寄せることもできます。紙で学習したのか、スマホを使ったのか、タブレットだったのか、座っていた椅子の感覚などを思い出して、思い出すヒントにしてみましょう。
ここを変える!
思い出せないときは、あきらめる。

思い出せないときは、覚えたときの状況を思い出して記憶をたぐり寄せる。

これは最初に引用した「記憶の4ステップ」の内、最後のステップ「適切に思い出す」からの引用です。

私は勉強する時にBGMを流していることが多いです。
なので、学習した内容とその時に流れていたBGMをセットで思い出すことも多々あります。

そういう意味では、仮に学習期間が1か月だとして、その1か月間は曲が被らないようにBGM流してみる。
そうすると、どうしても思い出せない時にBGMから記憶をたぐり寄せることが出来るかもしれません。

上記は極端な例かもしれませんが、毎回なにかしら状況が違う環境を作り出せると良さそうだなと思いました。
毎回違う場所、毎回違う曲で勉強するというのは少し難しいかもしれませんが。

要は思い出すためのヒントをなるべく多くする、という感じでしょうか。

軽い運動で記憶力が上がる

記憶はもちろんのこと、脳の機能にとって大切なニューロン。実は、新しいニューロンが増えるのは子どものころだけで、成長してからは基本的には増えないことがわかっています。体の細胞であれば、皮膚は1ヵ月、筋肉は1年、骨は3年でそれぞれ入れ替わるとされているのに対して、脳の神経細胞であるニューロンは幼少期のまま同じ細胞が働き続けているのです。
ところが、記憶に重要な役割を果たしている海馬のなかだけは特別で、人が成長したあともニューロンが増え続け、古い細胞と入れ替わっていることがわかりました。この新しく生まれてくるニューロンが記憶の定着に関与していることもわかっています。
老化によって記憶に重要な役割を果たしている新しく生まれる細胞の数は減少してしまうのですが、新しく生まれる細胞の数を運動によって増やせるという研究結果があります。
つまり、老化による記憶力の低下を運動によって補えるのです。
運動は疲労の残るような強いものである必要はなく、ウォーキングなどの誰もが簡単にできるものでも効果があります。

これまでも何度かウォーキングの効果を引用してきましたが、またしてもウォーキングに関する内容だったので引用してみました。

一応、これまでのウォーキング(散歩)に関する引用をリンクしておきます。

散歩によって睡眠の質が向上するようですし、悩みごとを抱えている時にも散歩がオススメなようです。

そして今回の引用にもあるように、散歩は記憶力の向上にも効果があるようです。

おわりに

ということで「記憶はスキル」に関してアレコレ書いてみました。

今回の記事で引用したのは、

  • 記憶の4ステップ

  • ヒントから導き出すと定着しやすくなる

  • 先頭に出てくるものほど覚えやすい

  • 分散効果を使った復習

  • 適切に思い出す

  • 軽い運動で記憶力が上がる

の6つでした。

「記憶の4ステップ」に関して。

記憶を4つのステップに分けて、それぞれのステップに対してのテクニック的な内容を挙げていく構成で読みやすかったです。

「分散効果を使った復習」に関して。

私がよくやるのは、テキスト1冊をじっくり1周するというより、サクサク進めて何周かする。それによって同じ項目に何度か接触することで、徐々に記憶に定着させる。というような方法です。

昔はじっくり進めるタイプだったのですが、じっくり進めても結局何周かしてしまうんですよね。
それだと効率があまり良くないので、最初から何周かする前提でスピード感を持って進める感じです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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