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第29回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 格の作り方と基本的な用法(変格)

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カレリア語のうち、本カレリア方言-ヴィエナ方言を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。
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TRANSLATIIVI / 変格 [-kši]

変格の作り方

変格の語尾は -kši/-ksi です。格変化する際には語幹につけますが、階程交替のある語では、弱階程の語幹につけます。
単数語幹の作り方については 第12回 単数語幹と名詞のタイプ を確認してください。

冬  talvi > 語幹:talve- > 変格:talve-kši
少女 tyttö > 語幹:tytö-/tyttö- > 変格:tytö-kši
少年 poika > 語幹:poja-/poika- > 変格:poja-kši

格変化した後ろに所有接尾辞がつく場合、変革語尾は -kše-/-kse- という形になります。所有接尾辞については 第23回 所有接尾辞 をご参照ください。

tytö-kši > tytö-kše-ni

変格の用法

①状態の変化:「~に(なる, 変わる, 変える)」
変化を表す/引き起こす動詞とともに使われます。また tulla という動詞は変格と結びつくと「~になる」という意味を持ちます。

Šiä muuttu lämpimäkši.
気候は暖かくなる
Tyttö muuttu jouččenekši.
少女は白鳥に姿を変える

Taivaš tuli tummakši.
空が暗くなる
Mikko tuli tervehekši.
ミッコは元気になる

②時に関する表現:期間「~の間(の予定で)」

Poika viettäy ämmön luona koko kešäkši.
少年は夏の間中、おばあちゃんのところで過ごす
Hiän matkuau Moskovah kolmekši netälikši.
彼女は3週間の予定でモスクワへ旅行する

③時に関する表現:期限「~までに」

Mies tulee ruatamah tänne viijekši.
男性はここに仕事をしに5時までに来る
Kotih pitäy tulla kello kymmenekši.
10時までに家に帰らなければならない

④言語名と結びついて:「~語で」

Lapset paissah karjalakši.
子どもたちはカレリア語で話している
Šano sen venäjäkši!
それをロシア語で言いなさい!

⑤物事の結果・状態:「~(の状態)に」

Pešen aštiet puhtahakši.
私は食器をキレイに洗う
Mualuamma oven ruškiekši.
私たちはドアを赤く塗る

人称代名詞、指示代名詞、疑問詞の変格形

以下の通りです。

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応用

Tänäpiänä luven karjalaisen rahvahan šuarnan "Mušta šorša". Tämä on miun mielišuarna, luven aina ilosena šen. Nyt mie voin lukie šen šuarnan karjalakši.

Šiinä šuarnašša tyttö muuttuu muštaksi šoršakši Syöjätär-akan takie. Čuarin poika tulee tytön apulaisekši. Kun čuarin poika ottau käsih šoršan, še muuttuu skokunakši, čičiliuškukši, piiruan pualikakši. Čuarin poika kaikki ne revittelöy ta lopulta šorša muuttu kaunehekši tyttärekši. Čuarin poika voittau pahan. Tyttö tulee čuarin pojan moršiemekši ta hyö eletäh yheššä.

今日私は、カレリア民話「黒いカモ」を読みます。これは私のお気に入りの物語で、いつも楽しく読みます。今や私はこの物語をカレリア語で読むことができます。

物語の中で、少女は魔女のシュオヤタルのせいで黒いカモに姿を変えます。皇子が彼女の助けとなります。皇子がカモを手に取ると、カモはカエルやトカゲ、(生地をこねる)めん棒に姿を変えます。皇子がそれらをすべて引き裂くと、最終的にカモは美しい少女になります。皇子は悪に打ち勝ちます。少女は皇子の花嫁となり、彼らは一緒に暮らします。

学習後のつぶやき

これで主だった格については学びました(あと3つは頻度低し)ので、名詞の格に関しては次は複数形に入る予定です。その前に、受動表現(不定人称文)、関係代名詞、天候などを表現する状況文、接続詞 kun を用いた文章、序数・・・などなど、初級文法でもまだまだ項目が残っていますので、ゆっくり進めていきましょう。

応用に書いた民話「黒いカモ」はお気に入りのお話で、近々 カレリア民話として訳を紹介するつもりです。

>> カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - もくじ

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