Kieli

自分の基盤であるフィンランド,憧れやまないカレリア。多くの伝統を共有しながらも,その伝統が異なる方向へと新たに「創造」されていく双方文化から目が離せません。しばらくは主にカレリア語独学記録,カレリア民話の和訳、ときどき伝統楽器カンテレやカレリアの音楽について綴っていきます。

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自分の基盤であるフィンランド,憧れやまないカレリア。多くの伝統を共有しながらも,その伝統が異なる方向へと新たに「創造」されていく双方文化から目が離せません。しばらくは主にカレリア語独学記録,カレリア民話の和訳、ときどき伝統楽器カンテレやカレリアの音楽について綴っていきます。

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自己紹介:フィンランド&カレリアと3つの kieli

自己紹介私はフィンランド企業に勤めるオフィスレディです もう四半世紀近くのあいだ フィンランドという国に触れて暮らしてきましたから どちらかと言うと無言を好みます 私は甘いものが嫌いではありません また言葉が文法も含めて大好きですが 会話や, 単語を覚えるのは苦手です 私は自分の名が表にでることにあまり関心がなく 名声欲というものに反感をもっています 生真面目な楽観主義者で、現実的な夢想家で、努力家ときどき怠け者です お財布にはたいした銭も札もありませんが 室内に大きな本

    • 第36回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 基数の格変化(単数)

      --- カレリア語のうち、狭義のカレリア方言-ヴィエナ方言(北カレリア方言)を学ぶページです。 方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。 --- 第10回で数詞(基数)を学びました。 今回は、この基数の格変化(単数形)について学びます。 基数の格変化(単数)各基数の語幹をまとめたのがこちら。 それぞれの語幹の作り方を確認していきます。 比較にあげる名詞のタイプに関しては第12回を復習してください。 1)yksi, kakši -si/-ši で終わっている

      • 第35回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 序数

        --- カレリア語のうち、狭義のカレリア方言-ヴィエナ方言(北カレリア方言)を学ぶページです。 方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。 --- 久方ぶりのカレリア語独学記録は序数のお話です。 数量をかぞえる際に用いる 1,2,3... のような数詞を「基数」と呼びます。 以前、第10回に「個数詞」として学びましたね。 それに対し、今回学習する「序数」は 1番目の, 2番目の... というように順番を表現するための数詞です。 基数と似ているものが多いですが、まっ

        • [カレリア民話] 主夫のじいさん(UKKO KOTIMIEHENÄ)

          主夫のじいさんむかし、おじいさんとおばあさんが住んでいました。彼らにはまだ小さな1人息子がいました。おじさんは森から帰るといつもおばあさんに「ワシが森で働いているというのに、お前はいつも家でぐうだらして」と冷たい態度でした。(ある日)ばあさんが言いました。 ―それじゃあ、こんな風にしましょう、私が森へ行くから、お前さんは家に残りなさいな。もちろん私は森で働くから、お前さんは私がしているようにただ家の面倒をみれば良いさ。 ―じゃあ、ワシは今日1日、家にいるとするか。お前は森へ行

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          [カレリア民話] カブ畑のじいさんと悪魔(UKKO TA PIESSA NAKRISMUALLA)

          カブ畑のじいさんと悪魔 むかし、おじいさんとおばあさんがいました。彼らはとても大きな畑にカブを植えました。彼らのもとでカブはどんどん成長し、ごろごろどっさり育ちました。 じいさんとばあさんのところから、毎晩のカブが盗まれるようになりました。すでにカブ畑の半分が盗まれてしまいましたが、誰がやって(盗みに)来るのか一向に分かりません。 ―じいさん、あんた夜中に見張りに行きなさいよ、泥棒を捕まえないつもりかい。 じいさんは夜中に見張りに行き、畑の端っこに座りました。そこへ恐ろしい男

          Kantele Advent Calendar 2022 : フィンランド&カレリア民話「ごきげんマッティ」

          昨年に続き、カンテレ奏者はざた雅子先生のHPでカンテレ・アドヴェント・カレンダーが始まっています。 今年はフィンランド&カレリア民話の『ごきんげんマッティ(Matti Veitikka)』を、簡単なアニメーションと素朴な5弦カンテレの音色でお届けしています。毎日1分弱、少しずつ物語をお楽しみ下さい。 --- Finnish & Karelian folk tale “Matti Veitikka(Jolly Matti)" Finnish retelling by TER

          [カレリア民話] 小鳥たちの予言(LINTUSIEN ENNUŠŠUŠ)

          小鳥たちの予言  むかし、じいさんとばあさんがいました。じいさんとばあさんには息子がいました。息子は小学生になるまで、いつでも一番賢い子でした。学校に通うことになりました。彼はあっという間に学び、習得しました。ところが彼は先生にこう言いました。 ―父さんと母さんには、僕の出来は悪くて、読み書きもよく出来るようにはならないと言って下さい。  そうして、母親にそう伝えられました。彼女はがっかりして、仕立屋のもとに学びに出そうとじいさんに言いました。息子は仕立屋のもとに出されました

          [カレリア民話] ツルと行き遅れの婆さん(KURKI TA VANHAPIIKA)

          ツルと行き遅れの婆さん むかし、あるところにツルと年を取った未婚の婆さんがいました。婆さんは薪から自分のための小さな小屋を建てました。そうして小屋に暖炉を設置しました。1匹のツルが、婆さんの婚約者になるべくやって来ました。婆さんは尋ねます。 ―何のためにやって来たんだい? ツルは言います。 ―お前さんの婚約者としてだよ、ワシの妻になっておくれ。 婆さんは言います。 ―お前さんの家はどこだい? ツルは言います。 ―ワシの家はあの小さな丘の上だよ。 婆さんは言います。 ―いいや、

          [カレリア民話] 愚か者のお話(HUPAKOH STARINA)

          愚か者のお話 むかし、もうそれなりに年をとった愚かな男がいました。(ある日)彼は鶏肉をバターで火にかけました。テーブルに運び、とてもお腹が空いたときにそれを食べようと、フライパンの上にお皿をかぶせておきました。 さて、男はお腹を空かせようと町へ(歩いて)出かけました。ドアに鍵をかけ、入口のふもとにある石の下に鍵を置きました。そうして彼が出かけると、向かい側から若い少年が2人やって来ました。愚か者は言いました。 ―若ぞうたち、ワシの家に行くんじゃないぞ。テーブルの上にステーキ

          PIENI SUOMI-KARJALA SANAKIRJA : フィンランド語-カレリア語小辞典

          9月26日は、欧州言語の日。 この日を祝して、東フィンランド大学とフィンランドのカレリア文化振興会(Karjalan Sivistys Seura)が共同でフィンランド語-カレリア語小辞典を作成し、インターネット上で無料公開しました。 カレリア語の主要方言であるヴィエナ、南部、リッヴィ各方言に対応しています。 --- Pieni suomi-karjala sanakirja フィンランド語-カレリア語 小辞典 編:Itä-Suomen yliopisto ja Kar

          カレリア語映画 東京上映会(2022/11/23)

          かねてより紹介してきたカレリア語映画『VENEH(小舟)』、『LINDU(小鳥)』の上映会を行います! カレリア語映画プロジェクトに関しては、過去の各記事をご参照下さい。 まずは11月に、東京・神楽坂にて第1回目の上映会を開催します。 --- カレリア語映画『VENEH 小舟』『LINDU 小鳥』上映会 日にち:2022年11月23日(水・祝) 上映時間:  ①1300~(12:30開場)  ②15:00~(14:30開場) 場所:神楽坂・光麟亭ギャラリー[MAP]

          [カレリア民話] 生まれてきた娘とシュオヤタル婆(TYTÄR LAPSI DA TARANKAZEN AKKA)

          生まれてきた娘とシュオヤタル婆 むかし、夫と妻がいました。彼らには6人の息子がおり、妻は7人目を身ごもりました。息子たちは森へ木を伐りに出かけ(るとき)、母親に言いました。 ― もし娘を授かったなら、入口の上に糸車をおいてください、そうしたら、家にもどります。もし息子を授かったのなら、鎌をかかげてください、そうしたらぼくたちは家には戻りません。自由にさせてください。 母親は娘を授かり、入口の上に糸車をおきました。シュオヤタル婆(タランカ婆)がやって来て、糸車を取り去ると鎌を

          [カレリア民話] 父からの遺産(PERINTÖ)

          父からの遺産 むかし、じいさんとばあさんが暮らしていました。彼らには3人の息子がいました。彼らはずっと貧しく暮らしていました。年よりたちは亡くなってしまいましたが、じいさんは息子たちに死んだときのための遺産を用意していました。長男にはひき臼を、次男には壊れかけのカンテレ(※)を、三男には漁網を巻上げる治具をあげたのです。 ひき臼をもらった長男は、こう考えました。「ここにいたんじゃ、どんなことをしても何も得るものなんてない。泥棒たちの家にこっそり忍びこんで、ヤツらが戻ってきたら

          [カレリアの口承伝統] なぞなぞ:Musta lehmä heinäsessä kytkyessä(低木の草につながれた太っちょさんって?)

          なぞなぞ1. Musta lehmä heinäsessä kytkyessä.   黒い太っちょさん(雌牛)が低木の草につながれているよ。 2. Ruskie lehmä heinäsessä kytkyössä.   赤い太っちょさん(雌牛)が低木の草につながれているよ。 3. Kiiltäy-kilcottau, aijan ravosta kaccou-kalcottau.   キラキラときらめきながら, 草むらからチラチラのぞき見しているよ。 4. Kesäl

          [カレリア民話] おじいさんとおばあさんのお話(UKON TA AKAN STARINA)

          おじいさんとおばあさんのお話 彼ら(おじいさんとおばあさん)には、息子が1人いました。その息子は言うことも聞かず、働くこともせず、何もしようとしませんでした。彼らは話し合いました。 ―この息子をどうすればよいんだ、何になるよう学ばせたらよいんだ? ―行商人になるように学ばせましょう。 おじいさんとおばあさんは言いました。 ―けど、ちゃんと学んでくれるかねぇ。 彼らは、売り物として雌牛と犬を息子に与えると、村へと送り出しました。 雌牛は30ルーブル、犬は3ルーブルと値段がつけ

          フィン・カレリアの天地創造 #1: 『カレワラ』にみる原始の卵②

          スラブ世界の天地創造に触発され、前回は『カレワラ』に描かれている世界のはじまりを紹介しました。 前回記事の解説でも説明した通り、現在の『カレワラ』(1849年完成版:俗称「新カレワラ」)では、ところどころに編纂者であるE.リョンロートの改ざんが加えられています。 今回は、『カレワラ』が編纂される際に題材とされた原詩にもっとも近い「原カレワラ」(Alku-Kalevala:Runokokous Väinämöisestä/ Lönnrot, E. , SKS, 1833)』